「ぼくらの7日間戦争」を観てきました。
ストーリーは、
ひとりで本を読むことが好きな鈴原守は、幼なじみの千代野綾に片思いしていた。綾は親の都合で1週間後に東京へ引っ越すことが決まっていたが、間近に迫る17歳の誕生日をこの街で迎えたかったという綾の本音を知った守は、綾や友人たちと古い工場に潜り込み、そこで綾の誕生日までの7日間を、大人たちから逃れながら過ごそうとする。しかし、そこで不法滞在者のタイ人の子どもと出会ったことから、守と綾と仲間たちは、思いがけない事態へと巻き込まれていく。
というお話です。
物静かで歴史オタクの鈴原守は、高校のクラスでも本を読んでいることが多く、クラスメイトとの関わり方がよく解らない。幼馴染で隣家に住む千代野綾に片思いをしているが、幼稚園の頃から告白が出来ていない。ある日の朝、学校へ行くために家を出ると、隣家の綾も出てきて、父親と口論している。どうも1週間後に引っ越すことになったらしく、怒っている。綾も守に気が付き、父親の手を振り払い、守の手を取って、一緒に学校へ向かう。
綾は引っ越しを嫌がっており、一週間後に引っ越しでは綾の誕生日を一緒に祝う事が出来ない事に気が付いた守は、”家でしちゃうっていうのはどう?”と綾に話す。すると、綾もそうすると言いだし、何人かを集めて、1週間、どこかに家でしようと計画を始める。
町の近くの森の中に立つ古い工場跡に一週間、家出することに決めた彼らは、食料などを集めて工場跡に運び込む。何人かのクラスメイトを集めて、6人になった彼ら。鈴原守、千代野綾、の他、綾と仲が良い建築会社の娘・山咲香織、軽いノリのクラスメイト緒形壮馬、明るいムードメーカーの阿久津紗希、阿久津の幼馴染で無理やり連れてこられた本庄博人、この6人でギクシャクしながらも、家出を成功させようとするのだが、1日目の夜、奥の方で音がして、守と壮馬で調べに行くと、そこにタイ人の子供・マレットが潜んでいる事を知る。この子は家族で不法滞在をしており、捕まりそうになった時、両親とはぐれてしまい、この工場に潜んでいたらしい。両親を探したいがその手立ても見つけられず、入国管理局に追われていた。
この子を匿っていたら、犯罪になってしまうと騒ぐ本庄だったが、既に工場に入っている事で、不法侵入だから一緒だと言われ、みんなどうするべきか悩んでいた。すると、そこへ入管の職員がマレットを捕まえに来て、子供に手荒なことをする。怒った守がマレットを助け、入管と敵対することになってしまう。
入管は次の日、部隊を連れて工場を取り囲み、総攻撃を仕掛け始めるが、守は歴史上の決戦を元に、綿密な計画を立てて、入管に対処していく。そして、一旦は入管を外に押し出すことに成功する。しかし次の日、今度はショベルカーを投入して、工場の外壁を壊し始める。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
うーん「ぼくらの7日間戦争」って、もっと面白かったような印象が残っているんだけど、現代風にアレンジしたことで、何だかスッキリしないというか、無理やりに現代の問題を盛り込んだことで、それぞれのキャラクターの性格もブレてきて、全体的に平坦な感じになってしまっていたのが、とても残念だと思いました。
まず、地方議員が中央の政治家の後釜に入れそうと判って、直ぐに家族で引っ越すぞという事なのですが、この千代野議員、マジで金まみれっぽいし、車の中で暴言を吐くし、秘書の椅子を蹴り続けるし、どこかの地方の女性議員みたいなことしているんです。それに、公共事業を回してやっている建築会社を使って工場を壊そうとさせるし、警察にまで手を回して、あり得ないでしょ。職権乱用が酷くて、ここまでしてたら、今時、直ぐにSNSにアップされると思うんだけどね。
SNSでの風評被害の恐ろしさも描いていて、守たちは、どんどん精神的に追い詰められていくのですが、それも「3年a組-今から皆さんは、人質です」のように、中に居る方が情報を出し始めると、外部の憶測よりも内部からの方に注目が行くから、情報戦は勝てると思うんですけど。それは高校生なんてお手の物じゃないの?動画を交えて情報を中から発信したら、同情が集まって、入管も、千代野の父親も、手出しが出来なくなると思うんだけど。現代風にしている割には、読みが甘すぎて、現代にマッチしていないんですよねぇ。
子供たちは、SNSの攻撃でバラバラになった仲間との絆を結ぶために、本当の自分を見せ始め、団結を強めていきます。ここら辺は、まぁ、感動的なのかな。LGBTの子もいたり、家族の為に友人に近づいていた子もいたり、自分の考えを表に出せずに胸に溜めていた彼らが、全てを吐き出して、やっと本当の友達になれるというのは、子供向けの映画としては、良いのかもしれません。でも、これって、昭和っぽいよねぇ。地方の子供たちだからって事なのかしら。高校生がこんなに素直だったら、どれだけ嬉しいか。中央の高校生とかって、もっと世間を知っていて頭が良いですよね。このシチュエーションなら、大人を出し抜いてマスコミを集めて、綾が残れるように千代野議員を脅しにかかるんじゃないかな?
まぁ、素直な高校生たちの、ひと夏の経験ということで、良かった良かったというお話と思えば、良い映画かなと思います。あの宮沢さんが声を演じた中山ひとみが言うように、この後も、何とかなるのでしょう。
でもね、一つだけ言わせてもらうと、不法滞在の人たちは、やっぱり放置してはいけないと思います。映画の中で可哀想だからってことで済ませてしまっていたら、収集が付きません。犯罪を見逃すというのは、じわじわと自分の首を絞めていくのと一緒ですからね。一人は良い、二人は良い、じゃ、10人は?となったらどうするの?子供も観るのだから、そこら辺はきちんとした対応にして貰わないと困ります。
うーん、ごめんなさい。私は、感動は出来ませんでした。何だろう、キャラが好みじゃなかったこともあるし、無理やりにLGBTの問題も絡めたり、問題を無理に詰め込んだ感が見え見えで、ワザとらしくて鼻に付きました。あー、昔の実写映画の方が良かったなぁ。昔のほうが、子供たちの映画って感じで素直に観ることが出来ました。今回は高校生だもんねぇ。この年齢は大人ですよ。
私は、この映画、まぁ、お薦めしても良いかなぁと思います。私は、あまり好みではありませんでしたが、素直に真っ直ぐみれば、それなりに感動が出来るかもしれません。でも、現代の高校生と思って観ると、あまりにも現実離れしているかもしれません。中学生なら解るかな。気になったら観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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