【演劇】「風博士」明るい喜劇に見せているけど、内容は辛い現実を描いていました。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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舞台「風博士」を観てきました。

 

ストーリーは、

 

ある大陸、ある戦中。

ある中隊駐屯地にて、青空を眩しそうに眺めながらのんびり一杯やっている四十代半ばの男がいる。この駐屯地の傍らに寄り添うように建つ一軒だけの”ピー屋”(軍専用の女郎屋)の主人、フーさんだ。

 

どうやらもともとは風船爆弾を研究する科学者だったらしい。そこになじみの客、広瀬大尉がふらりとやって来て、ワケありの娘を一人、しばらく預かってほしいと言い出した。二十歳そこそこのその娘サチ子は爆弾で家族を亡くし、ショックで頭のネジがおかしくなってしまったのだ。

流れのままにサチ子を預かることにしたフーさん。

 

元新橋芸者のふれこみで”フーさんのおっかけ”を自称する鶯や、”女子営業社員”の梅花もサチ子をやさしく迎え入れる。

 

夜のとばり。

フーさんの店で酔い潰れた堂島曹長を迎えに来たのは、スガシマという若い二等兵だった。須賀島歩一、まだ十九歳。

サチ子とスガシマは心通わせるようになるが、戦況は悪化の一途をたどっていて・・・。

 

というお話です。

 

 

内容的には、結構、悲劇的なお話なのに、中井さんの飄々とした演技や、段田さん、渡辺さん、吉田さんの明るい雰囲気、そして林さん、趣里さんの可愛くて若々しい雰囲気が、暗い感じを吹き飛ばし、楽しいお芝居として描かれていました。

 

坂口安吾の「風博士」は、戦争中のお話でありながら、喜劇となっていて、”死”は近くにあるけど、あまり目の前に見えてこないというお話でした。でも、明るくて、楽しそうにしているけど、誰もが”死”という恐怖を抱えていて、それでも未来を信じて生きて行こうという内容が、何だか、とっても頼もしいというか、好きなお話でした。

 

 

ミュージカル仕立てになっていて、お芝居の合間に歌が入ってきます。みなさん上手いのですが、吉田さんがあまりにも歌が上手くて驚きました。今まで、吉田羊さんの歌って聞いたことが無くて、本当に上手いなぁと思って考えてみたら、アナ雪2のお母さん役で声を当ててらして、”伝説の歌”を歌いあげていたんですよね。私、歌だけは歌手の方が歌っているのかと思ったら、歌:吉田羊って書いてあったので、ご自分で歌ってらしたんですね。いやぁ、驚きました。歌手顔負けだと思います。というか、歌手もやったら良いのに。そこらの歌手に負けないと思います。いやぁ、マジで驚きました。

 

林遣都さんと趣里さんが、戦地で出会って、心を通わせていく若者たちなのですが、中井さんや段田さんというベテランの中で、二人がキラキラしていたなぁと思いました。きっと敗戦になるだろうと判っている戦況の中で、二人の姿だけは未来を夢見ているように見えて、幸せな気持ちにさせてくれました。この舞台、人物たちのバランスが素晴らしく良かったんですよ。こういうバランスの良い舞台は、本当に観ていて気持ち良いです。

 

 

最後は、ちょっと驚くような展開が待ち受けているのですが、それでも明るく、楽しく、そしてどんな状況にあっても、人間は歩いて行けるんだってことを描いていて、良い舞台でした。私は、この舞台、超!お薦めしたいと思います。素敵な舞台でした。キャストも素晴らしかったです。もう一度、観たいと思うような舞台です。ぜひ、チケットが手に入るようでしたら、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

「風博士」

https://setagaya-pt.jp/performances/kazehakase20191112.html