「HUMAN LOST 人間失格」を観てきました。
ストーリーは、
医療の革命的な進歩により人が死を克服した昭和111年の東京。人々は体内のナノマシンと、それらを管理するネットワーク「S.H.E.L.L.」によって無病長寿を実現したが、その社会システムが生み出す経済格差や、「S.H.E.L.L.」ネットワークから外れて異形化する「ヒューマンロスト現象」を生み出していた。そんな世界に暮らす青年・大庭葉藏は、ある日、ヒューマンロスト化した異形体「ロスト体」に遭遇し、対ロスト体機関「ヒラメ」に属する不思議な力をもった少女・柊美子に助けられる。そして、それをきっかけに葉藏自身もまた、人とは違う能力を持っていることを知る。
というお話です。
これ、私のあらすじで分かって貰えたかしら。説明がとても難しいんですよ。専門用語が沢山あって、それを説明するのが大変なんです。でも、今の日本が進んで行ったら、もしかしたらこうなってしまうかもという、誰もが健康を追い求め、行きつく先を描いているんです。
健康で人が死なない日本だけど、誰もが身体の中にナノマシンを埋め込まれて、19時間働かされて生きているんです。それって、生きている意味あるの?と聞きたくなりますが、どうしてそうなったのかなぁ。そんなに健康になったのなら、19時間個人の好きな事をして、後の5時間だけ仕事をするで良いんじゃないの?誰もが健康になれるような開発をしたのなら、その開発を他国に売って、国がお金持ちになれば、国民が働く必要は無くなるでしょ。なんでそうなったのかな?不思議でした。
そんな日本で、もうヤダ!と叫んだ竹一はロスト化し、葉蔵はアプリカントという特殊変異種でロストしても元に戻れるんです。意識も無くしません。なので、自分は人間失格だと思って、何度も自殺を試みていた葉蔵は生き続けることになる。何とも皮肉な内容で、確かに、太宰治の「人間失格」を元に作られていると思いました。
この映画の中で、健康な老人が”合格者”として珍重され、彼らのように長生きが出来るようにと、彼らとナノマシンのネットワークで繋がるのですが、老人たちは一切働かずに、若い人々のそれこそ生き血を吸って生きている感じなんです。本当に老害で、文句ばかり。若い人たちを従わせているんです。今の政治家たちと同じですよ。若い人の未来の事なんて考えてないんです。自分たちが長生き出来れば良い。現代の悪い部分を、上手く批判していました。若い働き盛りの人々が、どんどんロスト化してしまい、日本が崩壊するという予測が出ているのに、老人は何の対策も出来ずに文句ばかり。もー、繋がれてる老人を全部ぶっちぎっちゃえば良いのにと思っていたら、まぁ、それに近いことが起きるんですけどね。まぁ、映画を観てください。
この映画、理解出来た人が少なかったのかしら。評価があまり良くないのですが、これ、長生きする為に生きて行くのか、人生を楽しむ為に生きて行くのか、本当の生きるとは何ですか?という事を描いているんです。人間のあるべき姿とは何ぞやという事なので、この日本に生きる人々は、生きているけど人間失格なのではないかなと思いました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。私は、好きなのですが、ちょっとSFオタクっぽい人でないと、楽しめないかな?一応、主人公の葉蔵の生き方は、太宰の”人間失格”で描かれている葉蔵と同じ道を辿っているなと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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