「家族を想うとき」家族を想いながらすることが、家族を壊してしまう典型です。傑作だと思います。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「家族を想うとき」の試写会に行ってきました。感想を書く前に、公開されちゃいましたね。あせる

 

ストーリーは、

イギリス、ニューカッスルに暮らすターナー家。フランチャイズの宅配ドライバーとして独立した父のリッキーは、過酷な現場で時間に追われながらも念願であるマイホーム購入の夢をかなえるため懸命に働いている。そんな夫をサポートする妻のアビーもまた、パートタイムの介護福祉士として時間外まで1日中働いていた。家族の幸せのためを思っての仕事が、いつしか家族が一緒に顔を合わせる時間を奪い、高校生のセブと小学生のライザ・ジェーンは寂しさを募らせてゆく。そんな中、リッキーがある事件に巻き込まれてしまう。

というお話です。

 

 

イギリスのニューカッスルに暮らすターナー一家。父親のリッキーは、家族の生活を良くするため、フランチャイズの宅配ドライバーとして独立することにする。仕事場へ行くと、幾つもの制約があり、理不尽に思えるような事ばかりだったが、既に前の仕事を辞めてしまった為、後戻りも出来ない。配達用の車も用意しなければならず、フランチャイズと言いながらも追跡装置を持たされ、仕事を管理されてしまう。

 

しかしリッキーは、慣れればきっと楽になるし、最初の出資はあるけど、稼いでいけば、それも取り戻せると考え、妻のアビーが使っていた車を売って、配達用の車を用意する。

 

 

一方、アビーは、パートタイムで介護福祉士として働いていたが、車が無くなり、バス通勤となってしまう。色々な場所に住んでいるお年寄りの家を周り、介護をしていくのだが、バスで周るのは限界がある。それでもアビーは頑張り、その上、それぞれのお年寄りが大変そうだと、時間外まで介護をしてあげるほど、彼女は人が良かった。きっと、人に尽くしていれば、良い事があるだろうと信じていたのだった。

 

二人には、高校生の息子セブと小学生の娘ライザ・ジェーンがおり、家族仲良く暮らしていたのだが、両親の仕事が忙しくなり、家族で過ごす時間がドンドン減って行ってしまう。夕食も一緒に取れず、一日の会話もほとんど無いほどになり、セブは段々と学校に行かなくなり、他の事に気を取られていく。ライザは、素直な子供だが、やはり毎日、夕食を一人で食べるのは辛そうだった。

 

 

リッキーは、宅配の仕事を精力的にこなしていたが、余裕など一つもなく、始める前に思っていたようには稼ぐことが出来ない。そんなある日、配達中に、リッキーはある事件に遭ってしまう。怪我を負ったリッキーは、病院に行き診察を受けると、骨が折れていて、酷い状況だった。そんな状況でも、会社は、ノルマを押し付け、配達する約束だから仕事をするようにと言い、病院にいる時間も催促の電話をしてくる。あまりの事に、アビーが怒鳴るのだが、会社側はびくともしない。そして、リッキーは・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

この映画、心が痛くなりました。このフランチャイズ制って、酷い制度なんですよね。いくつかのフランチャイズを立ち上げた会社に居たことがあるので、よく解ります。日本では、宅配のフランチャイズで一番問題になったのは「赤〇」という会社ですよね。まだやっている会社なので、大きな声では言えませんが、トラックを買わせて、この映画のようにノルマがあって、まぁ、酷い話でした。何人もの人が、トラック代金の借金が残ったまま、身体を壊して辞めるしかない状況に陥っていました。酷い制度です。

 

 

私は、建築関係のフランチャイズに関係していたのですが、元会社は決して損をしないように組まれているので、契約した本人が身体を壊す程に働かない限り、儲けは出ません。あまり言ったら怒られるかな。コンビニチェーンも同じですよね。良くコンビニが潰れるのは、元会社の取り分が多すぎて、払えなくなるからです。同じことを、この映画で描いてくれているので、真実を知ってください。

 

リッキーは、これで家族の生活が良くなり、家も買えるようになるし、息子も大学に行かせてやれるという夢を描いていたのですが、それが、ボロボロと崩れていく姿を描いています。あまりにも現実的なので、本当に観ていて辛くなりました。これ、フィクションですけど、ほとんど、この状況は、ノンフィクションと同じです。同じ状況を知っていますから。

 

 

アビーは、夫が頑張っているので、自分も頑張って働いているのですが、彼女、とっても良い人なんです。情に厚くて、老人が困っていると、賃金を貰えなくても、助けに行ってあげちゃうんです。会社側は良いですよね。お金は払わないで、誰かが老人の面倒を見てくれて、その料金は会社に入るんですから。酷いと思いました。良い人ほど損をする世の中なんです。だから、人に雇われるんじゃなくて、自分でやるべきなんですよ。もちろんリスクもあるけど、大企業に喰われるばかりです。

 

息子のセブは、建物や色々な壁に、ゲリラ的に絵を描いているんです。バンクシーとは言わないけど、結構、考えられたデザインで、もし、大学の芸術に進めば、良い成長をしたかもしれない。でも、こんな状況なので、大学は諦めているんです。その姿も可哀想でした。才能のある子は、どこかで救済してあげたいですよね。

 

 

娘のライザは、とても優しい子で、お父さんの配達に付いて行って、一緒に配ったりしていたのですが、配達用の車に配達人以外を乗せていると会社から文句を言われ、それも出来なくなります。ライザの優しいお手伝いは会社に潰されてしまいます。酷いでしょ。他人じゃなく、娘だし、まして小学生ですよ。考えられないと思いました。

 

そんなターナー一家が、どうなって行くのか、ぜひ、観て欲しいと思います。私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。今回は、最高評価です。やっぱり、ケン・ローチ監督の作品は、心に刺さりますね。決して、面白い話ではありませんが、私たちが生活をしていく中で、こんな人たちがいて、それを助けてあげられる社会になっていないというところが、何とも悔しいと思いました。

 

 

私に言ってくれれば、フランチャイズ制の宅配なんて、決してしてはダメだって言ってあげたのに。本当に気を付けてください。フランチャイズ制というのは、元会社の人間たちが働かなくても、金を集める為の制度です。楽して儲けるというのがこれです。もし、契約をするなら、契約書をよく読んで、自分が苦しくならないように、気を付けてください。ああー、フランチャイズの会社に怒られそうだけど、本当の事だしね。そういうシステムを組んでいたから解ります。

 

話を戻して、ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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