【TIFF2019】「死を忘れた男」ベトナムのまるでドラキュラ伝説のような映画でした。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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東京国際映画祭2019 24作目は、クロスカット・アジア「死を忘れた男」です。

 

ストーリーは、

謎の洞窟に迷い込んだアンは、不老不死の力を身につけた300歳の男フンと出会うが。

というお話です。

 

 

夢遊病のアンは、今日も目を覚ますと、全く知らない海辺のデッキに倒れていた。裸足のまま、知らない内に歩いてきたらしい。仕方なく、人に助けてもらい、家に帰るのだが、何故か、いつも同じような夢を見るようになる。

 

その昔、フンという男は、大きな農場主の家に生まれた。しかし、家族に疎まれ、兄が家を継ぎ、フンは邪魔者として殺されてしまう。背中を切られて絶命していたフンを、たまたま呪術師の男が助ける。呪術師は無念のフンに再生の黒魔術を使い、復活させる。

 

フンは、殺された恨みと、自分の恋人を兄に取られた恨みを晴らそうと、呪術師に力を借りて、自分を殺した人々と兄を呪い殺す。呪術師は、一度だけなら力は使えると言ったのだが、兄と、自分を殺した奴らを両方呪い殺したため、”ヨモギ”の木の力がフンに入り過ぎてしまう。

 

呪術師は、フンを助ける為に、再度、術を施すが、お前の一番大切なものが消えることになるという。そして、フンは復活を遂げるが、愛していた女性とお腹にいた子供は死んでしまう。その日から、フンは不老不死になり、300年の年月を生き続けることとなる。

 

アンは、夢に見る場所を訪ねていくと、そこには石碑があり、その下を掘ると、日記が出てくる。そして、それを読み、石碑の奥にある洞窟に入って行く。するとそこには日記に出てきたフンが生きていて・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

 

ベトナム映画で、ファンタジーホラー映画かしら。不老不死の男の話でして、アジアのヴァンパイア伝説っぽい感じでした。私は、面白かったですよ。色々なものを望めば望むほど、手から零れ落ちていくという、何とも悲しい話で、長い年月を生きていても、欲しいものは手に入らないという事なんです。ま、当たり前かな。

 

彼女は、何度も生まれ変わり、その度に、フンと関わることになるのですが、アンは、どうもフンがおびき寄せたようでした。アンという女性は、母親であり、子供が余命宣告を受けるような脳腫瘍の病気で、苦しんでいるんです。そして、不老不死というフンに出会い、子供を生かして欲しいというのですが、もちろん、フンにそんな力はありません。でも、”ヨモギの木”には、あったのかな。

 

フンは、最初、お金持ちの家のお坊ちゃんで、結構、イケイケの遊び人っぽい感じなんです。でも、酷い事をされて、反撃をしちゃって、その地域の権利を全て手に入れるのですが、好きな女性を死なせてしまってから、おかしくなっていきます。

 

 

実は、この作品、ネタバレをしないと、監督のお話が書けないので、ここでネタバレです。ベトナムでは、黒魔術などで人が成功するなどのお話は検閲が通らないそうで、今回、上映された映画は、意図したものとは違うそうです。

 

今回は、最後が、アンの夢オチっぽくなっています。洞窟に文字は書いてあるけど、フンという人物は、アンの夢の中だけの人物だったのかもしれませんというオチなんです。でも、監督が描きたかったラストは、アンは、もちろんフンと出会って、フンも実在しているんです。不老不死のフンは、もう終わりにしたいと言って、アンと一緒に洞窟に石油をばら撒き、全て燃やそうとするのですが、アンが、ふと思い返し、不老不死の力を手に入れれば、何か出来るのではないかと、ブラックな思いを抱くという場面で終るとしたかったそうです。

 

国によって、人々に不安を与えるような黒魔術などを真剣に禁止するところもあるんですね。日本なら、漫画やアニメみたいなもんだと思ってしまいますが、まだベトナムだと、そういう考えには至らないようです。

 

でも、この監督が描きたかったラスト、観たかったな。ブラックな考えを抱いて、アンとフンは、何をしようとするのかしら。面白そうですね。アンには子供がいるから、もし、ここで踏みとどまって、不老不死の力を何かに使い始めるということだと、「妖怪人間ベム」みたいになるのかな。既に人間だから「早く人間になりたい。」は無いと思うけどね。

 

フン役の俳優さん、カッコ良かったです。ベトナムの映画も、これから頑張って欲しいなぁ。なんか、ちょっと無茶な部分もあると思ったけど、でも、映画をここまで撮れるようになったのだから、素晴らしいと思います。もっともっと、映画業界を活性化させて欲しいな。ベトナム映画、もっと観たいです。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。私は、こんなにも頑張ってきたベトナム映画に声援を送りたいと思いました。もっともっと、ベトナムに頑張って欲しい。もっと観たいです。ベトナムには、まだまだ、色々な問題があると思うけど、そんな中でも、少しづつ、好きな映画が撮れるようになっていくと良いですね。日本公開は決まっていませんが、ベトナム映画は珍しいので、ぜひ、日本でも公開して欲しいです。出来たら、監督が描きたかったラストで見せて欲しい。観る機会があったら、ぜひ、観てみてください。

ぜひ、楽しんでくださいね。カメ

 

 

東京国際映画祭2019 「死を忘れた男」

https://2019.tiff-jp.net/ja/lineup/film/32CCA04