【TIFF2019】「50人の宣誓」イランの法律ってヤバいと思うのは私だけ?真剣だけど笑いが。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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東京国際映画祭2019 22作目は、アジアの未来「50人の宣誓」です。

 

ストーリーは、

50人が集まって法廷で宣誓すれば判決を覆すことができる――。妹を殺されたラズィエの一行を乗せたバスは裁判所へ向かう。イラン特有の法制度を背景にした驚愕のドラマ。

というお話です。

 

 

イランでは、ある犯罪があった場合、容疑者が無罪となったとしても、被害者の男性親族が50人集まって、法廷で宣誓をすると、その無罪となった判決を覆すことが出来るそうです。

ラズィエは自分の妹が亡くなり、夫のDVによって亡くなったのではという裁判をしたのですが、夫は無罪となり、妹を殺した犯人は判らずじまい。迷宮入りしてしまいます。

 

妹が亡くなってから5年、ラズィエは納得が出来ず、長い間親族の男性を説得し、やっと裁判所へ行って宣誓をして判決を覆そうと、今、一族を載せて、バスで裁判所へ向かっています。明日には、裁判所へ行き、50人で宣誓をし、妹を殺したのは夫だという証明をして、犯人=妹の夫、を死刑にしてやると息巻いているのでした。

 

そんなラズィエの思いとは違い、親族は旅行気分で歌ったり踊ったり。昼飯はどうするのかと心配するなど、どう見ても、裁判の事や、妹の事など、重要に考えていないようです。その上、親族同士でも、犬の事で仲違いをした2人は一緒にバスに乗りたくないなど、まるで子供のような話まで出てきます。

 

弁護士と連絡を取り、何とか妹の為と思ってラズィエは動いていますが、バスを追ってきた車が一台。ラズィエの夫でした。彼は、妹の夫の会社に世話になっており、5年も経って訴えるのを止めに来たのです。ラズィエは折れず、たとえ離婚となったとしても宣誓をすると言い、バスを走らせます。しかし、バスの中でも、もし妹の夫が冤罪だったらと心配する声も出て、話は段々と以外な方向へ向かって行きます。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

 

この映画、面白かったなぁ。とても良く出来ていました。イランの不思議な法律にも驚いたけど、この映画の展開が、途中からとんでもない方向に転がって行って、とても楽しめました。脚本が本当に上手いです。

 

監督がおっしゃるには、何か事件が起こって、大騒ぎをすると、簡単に宣誓をしてしまう人たちが多く、それによって、冤罪が引き起こされてしまうというのが、とても良くないと思って、このような映画を作ったそうです。確かに、証拠が無いから無罪になったのに、あいつがやったはずだと言って、確証も無いのに勝手に宣誓をして、裁判所の判決を覆すなんて、やっぱりおかしいと思います。これ、今のSNSの問題と一緒でしょ。あの女が犯人だと言って、情報を晒して拡散してしまったら、全くの別人だったというのと一緒ですよね。恐ろしい話です。

 

この主人公のラズィエは妹が殺され、絶対にやったのは義弟だと思っていて、お金持ちだったけど、彼の所に嫁にやったのが間違いだったと、とても後悔しているんです。なので、どうしても一族で復讐をしなければならないと考えていて、5年もかかったけど、親族を説得して、裁判所で宣誓をして、判決を覆そうとしているんです。

 

 

ここでイランの問題は、やっぱり女性の地位は無くて、男性にしか宣誓する権利が無いという事です。それも父方と言っていたかな。女性は、兄妹なら良かったけど、それ以外はダメだったような気がします。酷い差別でしょ。この判決を覆すという法律もおかしいけど、男性だけの宣誓というのもおかしくて、うーんと思ってしまいました。

 

50人と言っているんだけど、実は38人くらいしかいなくて、どうすんだって言ったら、回ってすればいいとか言っていて、このいい加減さにビックリでした。そんなんで裁判所がOKにしちゃうわけ?もー、酷いです。

 

そんな、笑ってしまうエピソードを交えながらも、一応、真面目に妹の復讐をしたいと思っているのですが、途中の弁護士との電話のやり取りや、ラズィエの夫の登場で、急展開していきます。え?そうなの?どうすんの?って感じで、話が変わっていき、親族たちは冤罪になるかもしれないなら宣誓したくないとか、それぞれに言い始めます。そりゃ、そうですよね。義弟が必ず殺したという証拠は無いんですから。

 

バスは街の裁判所へ近づき、ラズィエは早く向かいたいけど、バスの運転手はラズィエの夫の友人で、バスを止めるように要求され、親族は宣誓はするけど処刑とかではなく賠償金が目当てだったり、と、それぞれの思惑が交錯して、このバス、どうなっちゃうのよぉ~!っていうところが、本当に面白かったです。最後の最後まで、ずーっと目が離せず、楽しめる作品でした。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。でも、日本公開は決まっていないんですよ。うーん、勿体ないなぁ。こんなに面白いのに。もし、日本公開されたら、ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんでくださいね。カメ

 

 

東京国際映画祭2019 「50人の宣誓」

https://2019.tiff-jp.net/ja/lineup/film/32ASF04