【TIFF2019】「列車旅行のすすめ」彼が言うことは真実なのか調べようのない現実をどう受取る? | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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東京国際映画祭2019 15作目は、コンペティション「列車旅行のすすめ」です。

 

ストーリーは、

コソボ戦争に赴いて片腕で帰還した男、不幸な結婚を繰り返す女、正体不明の医師…。複数のエピソードが互いに絡み合いながら、奇想天外な結末へと邁進する熱量の高い物語。何が現実で何が虚構か?

というお話です。

 

 

妻・エルガが家に帰ると、夫が”うんこ”をテーブルに乗せていじっている。唖然とした妻は、夫を郊外の精神病院へ入れ、これから列車で家に帰るところだ。列車に座っていると、前に座った男が話しかけてくる。アンヘル・サナグスティンと名乗る男は、精神科医で、先ほど夫を預けた病院に勤めているらしい。サグナスティンは、ファイルをテーブルに起き、沢山の不思議な案件を診察してきた。少しお話をしましょうと話し始める。

 

ある女性から手紙をもらったサグナスティン。女性には兄がおり、父親の望みで軍隊に入隊し、勤務先から手紙を送って来ていたが、ある時、突然に失踪してしまう。心配して待っていると、何年かして、家に帰ってくる。兄は左手を無くしており、空軍を追い出されたと言う。任務先の病院で女性医師と仲良くなったが、悲劇的な事件があり、自分だけ空軍を放り出されたと話す。しかし、父親はその話を信じず激怒し、兄は家を出て行ってしまった。それからしばらくして、 父親も亡くなったという手紙だった。

 

 

サグナスティンは、気になって、その手紙に書かれたヒントを元に彼女の家を探し、訪ねて行くと、実は、その手紙の内容は嘘で、兄はいるが、軍には入隊出来ずに、ゴミ収集車の作業員をしていて、片腕を無くしたらしい。そして、それを話してくれた女も・・・。

 

エルガは、あまりにも変な話に茫然としながらも、嫌な顔をせずに話しを聞き、彼が停車駅で買物をしている間に列車が発車してしまいファイルを残して別れた後も、何か気になり、彼にファイルを返そうと考えながら、エルガは、自分のこれまでの過去を思い出し始める。彼女は、夫とは犬が縁で知り合い、結婚することになった。当初、夫とエルガは、とても上手くいっていたのだが、夫の犬への思いが大きくなりすぎて、段々と狂った方向に行ってしまう。そして・・・。

 

 

社会の中で色々な情報が飛び交い、目の前にいる人物が、本当は誰なのか、本当の事とは何なのかという事が交錯し、彼らはどうなっていくのか、後は、映画を観てくださいね。

 

うん、この映画、不思議で面白い内容の映画でした。今回のコンペティション部門の「動物だけが知っている」も、幾つもの話が繋がっているという、とても脚本の組み方が上手い作品がありましたが、この「列車旅行のすすめ」も、同じように、幾つかの話があり、それが人物を通して繋がっているんです。でも、その話が、真実なのか作り話なのか、話している人物は、本当にその人物なのかという、基本が揺らいだまま、確定していないまま、話が進んでいくという内容で、とても面白いなぁと思いました。

 

 

エルガという女性は、本当に描かれているとおりの、元編集者で、夫を精神病院へ入れてきたという女性ですが、彼女に関わってくる人物が、最初に名乗った人物なのか、それとも話の中に出てきた人物なのか、はたまた本当にそんな人物が存在するのかという、もう、何を信じて良いのかわからないというお話なんです。

 

そんな中でも、エルガ本人の話は、結構、衝撃的なお話でした。夫が犬にこだわっているのですが、犬にこだわるのを通り越して、妻も犬にしてしまうという、良く解らない男でして、どう考えても、妻に対してのDVなんだけど、エルガは抵抗しないのよねぇ。私なら返り討ちにして、夫を監禁とかしちゃうけどなぁ。(笑)

 

 

とにかく、脚本が上手くて、え?って思っていると、全然、違う展開に入っているとか、そんな感じなんです。恐いと思ったのは、ゴミの収集車の仕事って、一歩間違えば機械に腕とか挟まれたりって危険があるんですね。恐いなって思いました。音楽が、何故か日本の音楽を使ってあって、それが、何となく親近感が持てて好きでした。

 

話としては、まるで”玉ねぎ”のようで、一つ話を剥くと、次の話が出てくるという感じで、最後に何が残るのか、楽しみにしていてください。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。とても面白い脚本で、原作者の方もいらしていたのですが、原作も面白いようです。この原作を映画にするのは無理だと言われていたものを、映画化して、成功したという感じです。日本公開は、決まっていないようですが、もし、観る機会があったら、観てみてください。

ぜひ、楽しんでくださいね。カメ

 

 

東京国際映画祭2019 「列車旅行のすすめ」

https://2019.tiff-jp.net/ja/lineup/film/32CMP01