東京国際映画祭2019 14作目は、コンペティション「湖上のリンゴ」です。
ストーリーは、
辺境の地。伝統楽器の名人になる夢を持つ少年は、師匠のお供で遠出をする。そして女の子にリンゴの土産を約束するが。
というお話です。
伝統楽器を持った男とタバコを吸っている男が凍った湖を歩いている。ふと見ると、何か赤いものが湖の氷上に置いてある。何かと思って近づくと、リンゴのようだ。寒く凍った湖面に、人かじりされたリンゴが置いてある。一人が不思議に思い、近づき、拾っていいか?かじっていいか?と尋ねるが、楽器を持った男は、危ないから食べてはダメだと言う。男が、このリンゴで何か一曲歌ってくれよと言い、楽器を持った男は歌いだす。
1960年代。干ばつに苦しむアナトリアの北東部。10代の少年ムスタファは、アシークという民族音楽の歌い手を夢見て、先生の所へ通っている。まだまだ、練習が足りないが、少しづつでも夢に近づくよう、頑張っている。
ムスタファは、まだまだ遊び盛りで、今日も友達と走り回って遊んでいる。古くから言い伝えのあるお墓にオシッコをしちゃおうと言って、友達と二人でお墓に向かってオシッコをしていると、バチが当たると怒られてしまう。そんな時、村から煙が上がっているのに気が付き、何か起こったのかと戻ってみると、女性は小麦を料理しており、問題は無かった。そこには、ムスタファが思いを寄せている少女がおり、気になって、食べ物が喉を通らない。
それから数日後、村では、あまりの干ばつ続きで、雨ごいの生贄を捧げる事が決まり、みんなは肉が食べられると喜ぶが、干ばつが続くのは困ってしまう。ムスタファは、自分が墓にオシッコをしたことで罰が下っているのかと心配していた。生贄を捧げる日、ムスタファが思いを寄せる少女の父親は友人と話しており、そろそろ嫁に行かせる年齢だからと話している。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
トルコ映画です。うーん、とても美しい映画で、雰囲気も良いのですが、ムスタファの心の動きを映像で映し出しながら、思うようにはいかない世の中の道理を描いています。トルコの田舎の生活は、とってもアナログで、子供たちは子供らしいのですが、とにかく、話の動きが少ないので、眠くなるんですよぉ。美しい映像で、穏やかな音が聞こえて、時間がゆっくり過ぎている地域のお話なので、もう、あまりの気持ち良さに、睡魔が襲ってくるんですぅ~!何度か、ウトウトしてしまったのですが、何故か、ほとんど映画の内容は変わらず、問題無く観れました。
まるで、環境映画のようで、ヒーリングにいいなぁと思ってしまいました。少年の淡い恋、思春期の思いなどが描かれていますが、ガチャガチャした地域に住む私たちからしたら、なんて純粋で、可愛いのだろうという感じでした。
という訳で、あまり感想を書くことが無いんです。ゴメンナサイ。トルコの北東部って、こんなに広くて、気持ち良いところなんですね。何処までも平原が伸びていて、何とも不思議な光景が観れました。凍り付いた湖上のリンゴも面白かったけど、山の上の方で暮らすムスタファたちの生活も、穏やかで人間が生きるという感じがして良かったです。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。とても芸術性の高い作品ですので、娯楽作品として観るには、ちょっと辛いかもしれません。とても映画祭向けの映画だと思いました。なので、映画を娯楽として楽しみたい方には、あまりお薦めは出来ませんが、これから映画に関わっていきたいとか、芸術性を勉強したいという方には、凄くお薦めしたい作品だと思いました。日本公開は決まっていないようですが、もし、観る機会があったら、ぜひ、観てみてください。
ぜひ、楽しんでくださいね。
東京国際映画祭2019 「湖上のリンゴ」
https://2019.tiff-jp.net/ja/lineup/film/32CMP06