東京国際映画祭2019 11作目は、コンペティション「チャクトゥとサルラ」です。
ストーリーは、
モンゴルの大地で暮らす夫婦。夫のチャクトゥは都会に越したいが、妻のサルラは反対する。そしてモンゴルの平原にも変化が忍び寄る。
というお話です。
モンゴルの大地で暮らす夫婦のチャクトゥとサルラ。仲の良い夫婦だが、チャクトゥは大地での暮らしだけでは物足りず、都会に出て暮らすことを望んでいる。しかしサルラは、昔ながらの放牧民の生活を変えるつもりはない。小競り合いをしながらも暮らしていたのだが、ある日、チャクトゥが羊を売りトラックに変えて、都会に出て行ってしまう。しばらく帰ってこず、サルラは彼を探し回ったが、諦めて生活をしていると、しばらくしてチャクトゥは帰ってくる。何も悪気が無いような顔をして、飄々と帰ってきたチャクトゥに、腹が立つサルラだったが、彼に土産を貰い、機嫌を直して、また生活を始める。
そんな事が何度も続き、チャクトゥの友人は、都会での仕事を紹介する。せめてサルラにお金だけでも送ってやって欲しいとの気持ちだったのだと思うが、チャクトゥは、自分の事だけで、都会に出てしまえば、サルラの事は忘れてしまう。
そして、またしばらくして、家に帰ってみると・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画に描かれているモンゴルの雰囲気や、彼らの生活、状況は、とても現実に沿った描かれ方をしているそうです。出演されている俳優さんたちも、実際に放牧をしていたり、ご両親が遊牧民だったりするそうで、今、モンゴルはこんな感じなんだよとおっしゃっていました。
彼らは、遊牧民として暮らすことが良いのか、都会で暮らすべきなのか、悩んで迷っているように見えました。昔ながらの生活をすることも大切なのだと思いますが、日本も同じように、都会で便利な生活の仕方を知ってしまうと、スマホを持って、どこででも連絡が付いて、欲しいものが手に入るという事が日常となってしまい、昔ながらの事が不便と思ってしまうのかもしれません。
夫婦となったら、やっぱりお互いの事を考えながら、押したり引いたりして、意見を合わせて生活をして行かなければ続かないですよね。片方は都会で暮らしたいと言い、片方が田舎で暮らしたいと言って、どちらも曲げなければ一緒には暮らせないし、だからと言って、じゃ、俺だけ都会に行ってくるねって出ていくのは、どうかなぁと思いました。このチャクトゥって、本当にいい加減なんです。気が向くと、ふっと都会に行ってしまい、ある程度遊んでから土産をもって帰ってくる。都会で稼いで、そのお金を沢山持ってくるならまだしも、全く無いんだから、トンデモナイわよね。
サルラは、チャクトゥを愛しているけど、あまりにもいい加減すぎる部分には頭に来ていて、凄く怒るんだけど、目の前に帰ってきて、謝りながら土産を渡されてしまうと、つい、許しちゃうんです。もー、甘すぎるのよっ。二度と帰ってくんな!って言ってやれば良いのに。とても献身的な女性でして、可哀想でした。そんなサルラも妊娠し、子供が産まれると言うのに、またもチャクトゥは居なくなってしまいます。酷いでしょ。
でも、こんな生活の若者たちが多いようです。何処の国にも、色々な問題があるんですね。考えさせられました。世界が進んでいくと、便利にはなるけど、どうしようもない弊害も出てくるという事です。せめて、人間の関係性は変わらないでいて欲しいけど、家族の形も変わって行ってしまうのかもしれませんね。寂しいです。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。何かが凄く変わっていくと言う訳ではありませんが、じわじわと変化が伝わってきて、人々の暮らしはどうなって行くのだろうかと考えさせられる内容に、心を動かされました。日本公開は決まっていないようですが、モンゴルという国を知るには、とても良い映画だと思うのですけどね。公開して欲しいなぁ。もし、観る機会があったら、観てみてください。
ぜひ、楽しんでくださいね。
東京国際映画祭2019 「チャクトゥとサルラ」
https://2019.tiff-jp.net/ja/lineup/film/32CMP04
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