「真実」母と娘の行き違った気持ちが長い時を経て交差する。吹替版の方が理解出来ると思います。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「真実」を観てきました。

 

ストーリーは、

フランスの大女優ファビエンヌが自伝本「真実」を出版し、それを祝うために、アメリカに暮らす脚本家の娘リュミールが、夫でテレビ俳優のハンクと娘のシャルロットを連れて母のもとを訪れる。早速、母の自伝を読んだリュミールだったが、そこにはありもしないエピソードが書かれており、憤慨した彼女は母を問いただすが、ファビエンヌは意に介さない。しかし、その自伝をきっかけに、母と娘の間に隠されていた愛憎渦巻く真実が次第に明らかになっていく。

というお話です。

 

 
世界中にその名を知られる、国民的大女優ファビエンヌが、自伝本「真実」を出版。米国で脚本家として活躍している娘のリュミールと、その夫でテレビ俳優として人気の娘婿・ハンク、そのふたりの娘シャルロットは、本の出版を祝うためにフランスの母の家を訪ねてくる。ファビエンヌは、現在のパートナーと暮らしており、彼女の公私にわたるすべてを把握する長年の秘書が彼女の身の回りの一切を取り仕切っている。
実家に着いたリュミールは、母に出版前に内容を送ってくれるって言ってたのに、というと、ファビエンヌは送ったと思うけど行き違ったんじゃないのと誤魔化してしまう。実家には既に本になった「真実」が積まれており、リュミエールは内容に目を通す。
 
翌朝、本を読んだリュミエールは、あまりにも現実と違った自伝の内容に怒り、文句を言うが、「真実など退屈だ」と全く取り合うそぶりも無い。ファビエンヌは、彼女のライバル女優だったサラについて、一言も書いていないのだった。サラは彼女の友人でありライバルで、リュミエールも可愛がってもらったのだ。サラは若くして亡くなり、彼女の為にも自伝に書いてくれるものと思っていたリュミエールは、落胆し、怒っていた。
秘書のリュックは、ファビエンヌはサラの事を忘れた訳ではないと話すが、リュック自身も、自伝に一言も書かれなかったことに不満を持ち、仕事を辞めると言い出す。
 
 
そんな中、ファビエンヌは新作映画の撮影に入ます。SF映画で、母親は年を取らず、娘だけ年を取って母親を追い越していくというもの。その娘の晩年の役をファビエンヌが演じることになっていました。実は、この映画の母親役をやる女優が、サラの再来と呼ばれている女優だったんです。
 
リュックがいなくなり、仕方なく少しの間だけ母親の付き人として手伝うリュミエールは、母親の撮影現場で彼女の女優としての顔を再認識し、母親を助けます。そして母親は、女優を夢見ながらもなれなかった娘に対しての自分の本当の気持ちを思い返します。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
 

 

是枝監督の新作映画です。いつもながら、深い映画なのですが、これ、字幕版だと伝わりにくいかなぁと思いました。吹替版だと、二人の女優の気持ちがストレートに伝わるので、その方が良いと思いました。フランス語だと、この是枝監督の微細な心の動きを表しきれないというか、字幕では日本人には伝わらないような気がしました。うん、これは難しいよ。あのドヌーブの、高飛車でムカつくババア的な発言が、日本語吹替だと、ちゃんと奥深い所に愛があることに気が付くと思うんです。字幕だと、感情が入らないから、ただ冷たく見えるんですよね。言葉で聞くと、イヤミを言いながらも楽しんでいるとか、優しい気持ちがあるとかが分かるんです。

 

吹替版だと、宮本さんが演じてらっしゃるので、ドヌーブの愛情深い部分が投影されていて、感動すると思いました。もちろんリュミエールも、母親への愛があるのに、つい、反発してしまう気持ちも、吹替だと表現されています。フランス語だと難しいですよ。モニョモニョって聞こえて、字幕で冷たい言葉が並べられるんですから、それを頭の中でリンクさせて、彼女たちの気持ちを汲みなさいと言われても、そう簡単には出来ません。

 

 

で、吹替で観ると、もちろん大女優のファビエンヌは、とっても我が儘でムカつく女なんだけど、そこに愛があることが分かるんです。そうでなきゃ、秘書のリュックが長年仕えてくれる訳が無い。彼は、ファビエンヌの天邪鬼的な性格を知っていて、時々、嫌がらせの仕返しをしながらも、愛ある仕事をしてきたのだと思いました。

 

リュミエールは、母親の仕事に憧れて、子供の頃に学芸会で舞台に立ったりしたけど、結局、自分には合わないと思って諦めて、自分に合った脚本家という道を進んだのかなと思いました。それでも、どうしても母親と全く違う仕事ではなく、同じ世界にいると言う所で、母親が好きなのだと解りますよね。そんなリュミエールが懐いていたサラは、ある理由で若い頃に亡くなります。リュミエールは、サラの死に母親が関係すると思っていて母親を責めますが、実はファビエンヌにも、色々な思いがあって、サラを友人として、ライバルとして、好きではあったけど、許せない部分もあったことが分かってきます。ここら辺が、とっても深いなぁと感じました。

 

 

誰でも、仕事などで忙しいと、家族の事が疎かになってしまう事もあるけど、だからと言って、自分の家族が自分をハブにして他の人たちと楽しく過ごしていたら、ヤキモチを焼くでしょ。家族の為に働いているのに、私だけほおっておいて、そちらで楽しくいているなんて、許せないって思う事もあると思うんです。凄く我が儘な言い分かも知れないけど、でも、自分を見ていて欲しいと思っている気持ちがあるでしょ。ファビエンヌも、若い頃に頑張って大女優になったけど、本当は家族にいつも見ていて欲しかったんじゃないかな。そんな気持ちが観て取れました。

 

 

娘も、母親に構って欲しいのに、いつも仕事でどこかへ行ってしまっていたら、傍にいる知らないオバサンの方が良くなっちゃう時もあるわよね。でも、娘にとって母親は永遠で、いつも目標なんだと思います。

 

そんなことを考えさせる映画でした。私は、凄く感動したし、これ、母親の気持ちや娘の気持ちに寄り添ってみると、とても良く理解出来ると思うんです。男性だと、どうなのかしら。この母と娘という、女同士の気持ちのせめぎ合いって、解るのかしら。男同士とちょっと違うような気がするのよね。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。でもね、もし、これから観る方がいらっしゃるなら、出来れば吹替で観ることをお薦めします。フランスの雰囲気を楽しみたいなら字幕だろうけど、映画の内容を、より深く理解したいと思うなら、吹替で観る方が理解出来ると思いますよ。やはり言葉の壁は辛いです。セリフで話すのと、文字で現れるのでは、やっぱり違いますから。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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