「蜜蜂と遠雷」原作が良すぎて映画に収めるのが大変だったのではないかと思いました。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「蜜蜂と遠雷」を観てきました。

 

ストーリーは、

ピアノの天才たちが集う芳ヶ江国際ピアノコンクールの予選会に参加する若き4人のピアニストたち。母の死をきっかけにピアノが弾けなくなったかつての天才少女・栄伝亜夜は、7年の時を経て再びコンクールへの出場を決意する。他に、音楽店で働く高島明石、名門ジュリアード音楽院在籍中のマサル・C・レビ=アナトール、世界最高峰のピアニストからの「推薦状」を持って現れた謎の少年・風間塵。熱い戦いの中で互いに刺激しあい、それぞれ葛藤しながらも成長していく4人だったが・・・。

というお話です。

 

 
3年に一度開催され、若手ピアニストの登竜門として注目される芳ヶ江国際ピアノコンクール。

かつて天才少女と言われ、その将来を嘱望されるも、7年前、母親の死をきっかけに表舞台から消えていた栄伝亜夜は、再起をかけ、自分の音を探しに、コンクールに挑む。
コンクールで3人のコンテスタントと出会う。岩手の楽器店で働くかたわら、夢を諦めず、“生活者の音楽”を掲げ、年齢制限ギリギリで最後のコンクールに挑むサラリーマン奏者、高島明石。
幼少の頃、亜夜と共にピアノを学び、いまは名門ジュリアード音楽院に在学し、人気実力を兼ね備えた優勝大本命のマサル・カルロス・レヴィ・アナトール。
そして、今は亡き“ピアノの神様”の推薦状を持ち、突如として現れた謎の少年、風間塵。
 
 
誰もがそれぞれの音楽を奏で、その腕を競うのだが、栄伝亜夜は、コンクールのピアノの前に座ると、母親の死を思い出してしまい、本当に自分の音楽が出来るのか不安でいっぱいだった。そんな亜夜の前に突然に現れた塵。先ごろ亡くなった偉大な音楽家ホフマンが入れ込んだ少年であり、彼をコンクールに送り込んできたのだった。「彼は劇薬。音楽人を試す為に神から与えられたギフトか災厄だ。」という言葉を添えて。
 
審査員たちは、風間を脅威と感じながらも、審査を続けていく。そして栄伝、高島、マサル、風間は、第1次予選を勝ち抜き、第2次予選へ。ライバルたちと互いに刺激し合う中で、亜夜は、かつての自分の音楽と向き合うことになる。音楽の神様に愛されているのは誰なのか。そして、最後に勝つのは誰か?後は、映画を観てくださいね。
 

 

この映画、原作が有名なのですが、今、私は読み中です。実は、映画を観た後に、ゆっくり読みたいと思っていたのですが、映画がイマイチだったので、直ぐに読み始めました。これ、映画では、栄伝亜夜が主人公になっているのですが、小説では、亜夜も大勢の中の一人なので、やっぱり違和感があったのかなと思いました。

 

 

確かに、原作がある場合には、誰かを主人公として描いた方が、観る人に解りやすくなるのだと思います。でも、長い小説を2時間に収めようとしたために、随分と端折っているので、原作を読んでいる方が頭の中でリンクさせながら観るのなら良いのですが、最初から映画だけを観る人間には、結構、辛い飛び方ではないかなと思いました。サッサッと予選を通過させて、その合間、合間で、それぞれの演奏者の個人的な思いや生活を描き、本選に向き合って行くという進み方でしたが、途中で消えていく人とかも、簡単に居なくなるので、”あ、落ちたんだ。”くらいしか感想が無くて、もう少し、音楽の素人たちにも分かるように、何が違ったのかを言葉でとは言わないけど、解からせてくれたら良かったかなと思いました。

 

 

有名音楽家ホフマンの推薦で現れた風間塵ですが、イメージはとても合っていたと思うのですが、どーも災厄にもなり得るほどの天才という感じに見えなかったんです。彼がオーケストラと演奏する時に、楽器の位置を変えさせたというシチュエーションを、セリフだけで伝えるのでは無く、あの幼い雰囲気で指揮者と渡り合いながら、その希望を指示していく姿が観られたら、天才という言葉に見合う部分が見つけられたのかもしれませんが、ただただ、審査員などからの天才だという言葉で描かれていたので、実感が湧きませんでした。

 

 

生活者の音楽をという高島ですが、サラリーマンの姿や子供の送り迎えを描くことにより、”生活”ということに近づけたと思うのですが、それを描くことにより、音楽が素人っぽい雰囲気に見えてしまい、音楽の質が低いような感覚になってしまいました。生活に密着しているのは良いのですが、自宅防音室での練習は狂ったようにピアノに向き合い、家族を蔑ろにしているくらい描いてくれれば、コンクールに出るには、やっぱり犠牲を伴うんだなと思って、さすがと思うのですが、誰にでも良い人では、音楽のトップには上がれないのでは?と思ってしまいました。

 

 

原作が良いと、どうしても描き切れない部分があるのかなと思った、典型的な映画でした。きっと、それぞれに努力をして、良いものを作ろうとしたのだと思いますが、やっぱり難しいですよ。文字で伝える感覚と、映像で伝えるのでは、どうしても違いますもん。特に音楽だと、小説を読む人の自分のレベルで、天才的とか一般的とかの音楽が頭の中に流れるわけでしょ。映画になってしまうと本当の音楽がそこに流れるわけで、音楽のプロが聞き分けるほどの微細な違いでは、一般人には違いが分かりませんもん。それを天才的とかなんとか言われても、その素晴らしさが認識出来ないんです。

 

と文句を連ねてしまいましたが、演技は皆さん、とても良かったと思います。それぞれのキャラクターが生きていて、栄伝さんの気持ちや、高島さんの気持ちがとても良く伝わってきました。森崎さん、貴公子役、とても合っていました。カッコ良かったです。新人の鈴鹿くん、可愛いですね。これからが楽しみです。審査員役の斉藤さんがやっぱり上手かったなぁ。彼女のおかげで締まったような気がしました。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。ちょっと解り難い所もありますが、原作を読んだ後に観に行くと、端折られた部分が埋まるので、良く解って、楽しめると思います。私は観た後に原作を読んでいて、今、抜けた部分を埋めていますけど。でも、音楽が素晴らしいので、感動出来ると思いますよ。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

蜜蜂と遠雷|映画情報のぴあ映画生活