「ジョーカー(IMAX)」これ程に”人間”を描き切った作品が今まであったかしら。驚きです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ジョーカー」IMAX を観てきました。IMAXで観て良かったです。

 

ストーリーは、

「どんな時でも笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸に、大都会で大道芸人として生きるアーサー。しかし、コメディアンとして世界に笑顔を届けようとしていたはずのひとりの男は、やがて狂気あふれる悪へと変貌していく。

というお話です。

 

 
「どんな時でも笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸に、コメディアンを夢見る孤独だが心優しいアーサー。都会の片隅でピエロのメイクの大道芸人をしながら、心の壊れた母の介護をし、同じアパートに住むソフィーに密かな恋を抱いている。
 
ピエロの恰好でセールの宣伝をしていたアーサーは、町の悪ガキに宣伝看板を盗まれ、追って行った挙句に暴力を振るわれてしまう。ゴッサムシティは、金持ち優遇の政策が取られ、貧富の差が非常に大きくなってしまい、貧困層の人間は不満が溜まり、今にも爆発しそうなほどに町が荒れていたのだった。
 
 
仕事帰り、アーサーが地下鉄に乗っていると、富裕層の証券マンが3人乗っており、ずっと笑っているアーサーに文句を付けてくる。脳の障害で突然に笑い始めて止まらなくなることがあるアーサーに、何が可笑しいんだと言って暴力を振るい始める。最初は黙って我慢していたアーサーだったが、とうとう、同僚から貰った拳銃で3人を撃ち殺し、逃走してしまう。証券マン3人の射殺事件は大きなニュースになり、富裕層には恐怖を、貧困層には喜びを与えたのだった。
 
ゴッサムの貧困層の一人であるアーサーは、仕事は上手く行かず、同僚にも嫌がらせをされる始末。市の福祉施設でのカウンセラーを受けて精神科の薬を飲むことで、何とか持ちこたえていたアーサーだったが、市が福祉の予算をカットすることになり、カウンセラーも無くなり、薬も貰えなくなってしまう。
 
 
ある日、母親のペニーが以前働いていたウェイン家の当主に宛てた手紙を見てしまうと、そこには、アーサーがペニーとウェイン氏の子供だと書いてある。驚き動揺したアーサーは、父親に会いにウェイン家を訪ねると、庭にいたブルース少年に出会う。手品を見せて警戒を解くのに成功するが、直ぐにウェイン家の使用人が現れ、アーサーに帰れと言う。自分は、ペニーの息子で父親はウェイン氏だと言うと、気の狂った女のいう事は全て嘘だと言われてしまう。
 
父親に拒絶され、職場はクビになり、病院も通えない。その上、母親が脳溢血で倒れて病院に搬送される。どこまでも上手く行かないアーサーは、直接、ウェイン氏に聞いてみようとコンサートホールに忍び込み、ウェイン氏を見つけて母と自分の事を聞くと、君は養子なんだよ、知らなかったのかと言われてしまう。衝撃の真実を知り、自分と母親の事を調べてみると・・・。 後は、映画を観てくださいね。
 

 

この映画、私は衝撃でした。もちろんアメコミのジョーカーの誕生秘話なのですが、これを観ると、現代の社会を鋭く描いていて、もう何も言い返せないほど、打ちのめされました。金持ちは優遇され、貧乏人は死んでしまえと言われているような世界で、どうやって生きて行けというんだよっ!って叫んでいる映画なんです。

 

アーサーは、母子家庭で貧困家庭なんです。福祉の支援を受け、アーサーは日雇いのような仕事をして、何とか暮らしているという家庭で、母親はほとんど寝たきりで精神病で診断を受けており、アーサーも、精神科のカウンセラーを受けており、母親もアーサーも、まともな職には付けないんです。それでも、アーサーは、コメディアンになりたいという夢を描いており、それに向かって努力をしているんです。

 

 

そんな家庭で育ってきているのですが、、社会では貧困層の援助カットが進んでおり、富裕層は自分たちだけが優遇されるように政治を動かしていて、ゴッサムはボロボロになり始めているんです。そんな中で、アーサーはもがいていて、自分が何をするべきなのかを知って行く過程が、この映画の中に描かれているんです。

 

私は、凄く感動してしまいました。あのね、この映画を観ると、ジョーカーが”悪”では無いんです。人間が悪なんです。欲望を追及する人間は、人より上に立ちたいと思い、他人を見下げて、自分だけが誰よりも上に立っていると認識したいんです。だからと言って、他人を思ってはいないという訳では無く、自分の配下になるなら可愛がってやっても良いというくらいに、他の人間を観ているんです。

 

 

もちろん、私だって社会に生きているので、他の人より稼ぎたいし、誰よりも上に行きたいと思いますよ。それによって誰かが負債を抱えるとしても、知ったこっちゃないです。でもね、もし、誰かが自分のせいで困ったことに直面したと言ってきたら、出来るだけ助けてあげたいと思います。それは、人間として当たり前でしょ。知ってしまったら、ほおっておけませんよ。でもね、このジョーカーは、反対に、もっともっとと言う感じで、誰もが不幸になれ!と悪意を放出し始めるんです。自分の中に溜まった灰汁のような”悪意”を、全て外に出し始めるんです。

 

現代のアメリカも日本も、大企業や富裕層は税金が少なくて、一般人は政府に言われるがまま増えて行く。所得税、市県民税、消費税と払い続けなければならない。不満は溜まるばかりですよね。今までおとなしかった日本人だって、そろそろキレ始めると思いますよ。私でさえ、こんなに間違っていると思い始めているのに、もっと世界を見ている人々には、もう限界だよねって思われているんじゃないかな。大企業に勤めている方々には問題無くても、中小企業に勤めていたり、フリーターだったり、派遣だったりする人々には、不公平な状態が続き過ぎですよ。このままなら、きっと近い内にどこかで爆発すると思います。

 

 

今、誰かを虐めたりしている方に警告する映画でもあるかな。もし、虐めをしているなら、その内、凄い復讐を受けることになります。覚えておけ、いつまでも同じ状態など続かないんです。必ず反転する世界に変わる時が来ます。その時に、どんな目に会おうとも、自分がやったことの報いなんですから受けるしかありません。首を洗って待っている事をお勧めします。

 

そんな危険を孕んだ作品なので、アメリカ当局が注意喚起をして、メイクを制限するなどの措置をした意味が判りました。そこまで、沢山の人を考えさせられる映画なんて、ほとんどありません。素晴らしい作品だと思います。

 

 

私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。こんなにも心が震えた作品は久しぶりです。アーサーの心の動きが伝わりすぎて、ある場面では悔しさと哀しさで涙が溢れました。これはダメですよ。悪と言いながら、彼が悪ではなく、もしかしたら彼を追い詰めたこちら側の人間すべてが悪なのではないかと思いました。衝撃でした。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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