「WALKING MAN ウォーキングマン」初監督作品とは思えないほど感動してしまいました。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「WALKING MAN ウォーキングマン」を観てきました。トーキョー女子映画部(@TKJoshiEigabu)で試写会に当たりました。

 

ストーリーは、

川崎の工業地帯で母と思春期の妹ウランと暮らすアトム。極貧の母子家庭の家に育ち、幼い頃から人前で話すことも笑うことも苦手なアトムは不用品回収業のアルバイトで生計を立てる毎日を送っていた。ある日、母が事故により重病を負ってしまうが、一家は家計が苦しく保険料を滞納していた。ソーシャルワーカーからアトムたちに投げつけられる心ない言葉。そんな過酷な日常の中、アトムが偶然出会ったのがラップだった。

という内容です。

 

 

川崎の工業地帯で母と妹・ウランと暮らすアトム。極貧な母子家庭で、小さな頃から吃音があり、人前で話をすることが苦手で、笑う事も苦手だった。不用品回収業のアルバイトをしていたが、車の免許が無い為に、先輩の山本さんと一緒でないと仕事が出来ず、彼が休みの時は、仕事が貰えない。

 

ある日、母親が、仕事の為のダンスを練習中、台から落ちて脊椎損傷をしてしまう。重症で意識が戻らず、いつ起きるかも分からない。病院に入院しているのだが、保険料を滞納しており、ソーシャルワーカーから、滞納している保険料を払えば保険診療になるから、その手続きをしてきなさいと言われてしまう。そして「自己責任って聞いたことあるでしょ。何でも社会のせいにしちゃダメだから。」と冷たい言葉を投げかけられる。

 

 

毎日のように、アトムに投げつけられる冷たい言葉。ただでさえ、上手く話せないアトムは、どんどん苦しくなっていく。そんな時、ある清掃現場で見つけた古いウォークマンを聞いてみる。そこにはラップが入っており、何故かアトムを惹き付けた。今時、カセットテープなんて聞いている奴などいないが、彼は聞き続ける。そして、あるチラシを見て、清掃現場に落ちていたチケットを思い出す。ラップのライブチケットだ。それをゴミの中から探し出し。ラップのライブに行ってみる。

 

ライブ会場では、凄い人たちが楽しんでおり、楽しくなったアトムは、つい、檀上へ上がってしまうが、一言も言葉が出ずに終わってしまう。しかし、この時から、アトムは自分が好きでやりたい事を見つけ、前に進む道を探し始める。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

 

ある青年のサクセスストーリーです。凄く良く出来ていました。実は、ラッパーの方が監督で、初めての作品との事で、あまり期待していなかったのですが、これが、凄く良かったんです。粗削りではありましたが、川崎の”おおひん地区”という地域の特性を良く捉えていて、この地区を知っていると、本当に、この映画で描かれていることが、とてもリアルに感じられると思います。

 

この”おおひん地区”とは、川崎市と横浜市にまたがる工業地帯にある桜本・大島・浜町・池上町の4地区の名前から取られたもので、労働者や在日コリアンが集まっていたことから、差別され、昔から荒れていた地域です。現在は、東京・横浜に近い事もあり、タワーマンションなどが建ち並び始めましたが、その一方、元々は在日が多かったために、外国人が入りやすく、現在は、フィリピンやブラジルなど、多くの中南米、東南アジア、中東などの国から来た方が住み始めています。

 

 

そんな訳で、表面は美しく見えても、裏では現在も何が行われているのかは分かりません。私は仕事でこの地域に関わっておりますが、中に入ってしまえば友好的な人々ですが、敵対したらどうなるのか分かりません。そんな地域で、ラップのスター「BAD HOP」というグループが生まれました。この映画にも出演されている”T-Pablow”さんが所属するグループです。

 

映画の感想を書くには、どうしても”おおひん地区”の事を書いておかないと、どんな状況の町のお話なのか分からないので、書かせていただきました。そして、そんな町で生まれたアトムという青年は、子供の頃から上手く話せず、笑いも出来ない子です。この地区で貧困家庭に生まれてしまうと、周りの環境も悪く、良い働き口が見つからないことが多くて、ここから抜け出すことは難しいんです。アトムも、そんな一人で、仕事を探しても、良いツテも無く、この地域から出ることが出来ません。そんな中でもがいていて、ラップに出会います。

 

 

事故死した男性の家の掃除をしていて、ラップに出会うのですが、その男性もこの地域から抜け出したくて、ラップで自分の心を訴えていたらしく、それが、アトムの心を動かすんです。そしてアトムも、自分が上手く話せず、心に溜めていた沢山の不満や哀しみ、苦しみを、ラップで訴え始めて、それが、人々の心に伝わり始めるんです。

 

思ったのですが、やっぱり野村さん、本当に上手いです。明るい好青年も演じているけど、今回は話せず、笑えず、目で訴えたくても怖くて人の目が見れないという、本当に難しい役だったと思うのですが、そんな表情を見せられない役でも、その動き方や態度で、アトムという青年の心を観る人に伝えられているんです。凄いと思いました。感動しました。

 

 

そうそう、渡辺真起子さんが試写会にいらしてくださって、監督とトークをしてくださいました。渡辺さん、好きなんですよぉ。この映画では2役?を演じています。でもね、こういう人、この地区には居そうです。表の顔と裏の顔がある人、いっぱいいそうですもん。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。私は好きです。まぁ、私の知っている面白い?恐ろしい?地域を舞台に描いているラップの映画なので、より身近に感じたのかもしれませんが、本当に良かったです。実は、試写を観た後に、感動して、どうしても監督にサインを頂きたいなぁと思って、受付の方にお話をしたら、とても丁寧にサインを監督に頂いてきてくださいました。ありがたかったです。感動すると、監督のサインを頂きたくなるんですよねぇ。お手数をおかけして、申し訳なかったのですが、本当に嬉しかったです。この映画、本当に良い作品なので、ぜひ、公開されたら観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。

 

 

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