【演劇】「アジアの女」世の中がおかしくなった時は人間の本質が出てしまう。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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舞台「アジアの女」を観てきました。

 

ストーリーは、

 

大震災によって壊滅した町で半壊した家に住み続ける兄と妹。兄、晃郎は酒浸りとなったが、かつて精神を病んでいた妹、麻希子はむしろ回復しつつある。そんな二人は、国からの配給で何とかくらしていた。

 

ある日、書けない作家一ノ瀬が現れ、元編集者の晁郎に「物語を書かせろ」と迫る。実は、一ノ瀬は作家ではあるが才能は無く、父親の権力によって、書かせてもらっていたのだった。晃郎はやりませんと突っ撥ねるが、一ノ瀬は食い下がって、帰るそぶりはない。

 

麻希子に想いを寄せる巡査の村田は、家を出ない兄妹の世話を焼き見守っている。純粋さと狂気のハザマにいる麻希子を心配して、配給の手配などは彼がやってくれているのだった。

 

ある日、一ノ瀬のために外出した麻希子は鳥居と出会い、生活のため「ボランティア」と称した仕事を始める。やがて、ついに家を出る麻希子、出る事が出来ない晁郎、麻希子をモデルにした物語を書き出す一ノ瀬。麻希子が動き出し、晃郎は心配しながらも、良い方向へ行くかも知れないと思い始めるのだが・・・。

 

というお話です。

 

 

何とも切なくやるせないお話でした。東京に震災が起こり、災害危険区域となった自宅に残り、暮らしている兄妹。何で出て行かないのかと言うと、2階建の自宅の1階が潰れて、2階だけになった家の、潰れた1階部分に父親が生きていると信じている妹の為に、その家に住み続けているんです。ガレキの中に畑を作り、もうすぐ芽が出てくるからといって、毎日、水をやり、巡査の村田に配給を貰ってきてもらうという毎日を続けています。

 

決して芽など出ない畑と、もう生きてはいない父親、そんなところでも、麻希子にとっては幸せな場所なんです。騒がしくて、思いやりのない社会の中で、壊れてしまった彼女は、その世界が壊れたことによって、少しづつ、正常な考え方が出来るようになっていくんです。

 

兄と、何故か一緒に住むようになった一ノ瀬の為に、壊れてしまった社会で働き始める麻希子ですが、ま、簡単に言って、デリヘルですよ。その世界では、既にお金の価値が無いから、配給券と交換なんです。未来が見えなくなった人々は、自分の欲望だけしか考えなくなっており、そんな仕事しか流行らないんです。これ、真実を付いていると思いませんか?笑っちゃいますよね。震災で社会が壊れたら、人間の汚い部分だけが残ってしまうって、恐ろしい話です。でも、これが真実なんでしょうね。

 

 

そんな社会の中で、自分が家族を守らなくてはと思った麻希子は、生き甲斐を見つけて、正常に戻っていくんです。それまでは男に執着して、酷いストーカー行為を繰り返したりしていたのに、自分がやるべき事を見つけて、生き生きとしてくるんです。

 

でも、社会が壊れている中で、正常も何もないですよね。やっぱり狂っているんです。本来なら、助け合って、生きて行こうという考え方になっていくと思うのですが、実際は、そんな事にはならないんだよって事を描いていて、人間の醜さを思い知らされて様な気持ちになりました。

 

この舞台の脚本は長塚さんで、演出は吉田さんでした。脚本は、長塚さんらしいなぁと思いました。演出は、とてもシンプルで解りやすくて、誰もが楽しめるように作っているんだなって思いました。こういう難しい脚本の時は、ストレートに解りやすくやってくれるのが一番ですよね。とても良かったと思いました。

 

石原さん、一瞬、儚そうに見えるのに、とても強い女性の役で、ちょっと笑えて、切なくなりました。山内さん、矢本さん、吉田さん、水口さん、確実で安心して観ていられました。良かったです。

 

 

私は、この舞台、お薦めしたいと思います。人間の辛い部分を描いているので、観ていて、ちょっと辛くなりますが、話としては、とても面白い内容だったと思います。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

ホリプロ「アジアの女」  

https://horipro-stage.jp/stage/asia2019/

 

 

 

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