「こはく」を観てきました。
ストーリーは、
長崎県に暮らす亮太は、幼いころに別れた父が営んでいたガラス細工の工場を受け継ぎ、なんとか毎日を送っていた。しかし、亮太自身も父と同じように離婚を経験し、子どもたちと会うことがかなわずにいた。ある日、亮太は定職に就くことなくブラブラした生活を送る兄の章一から、町で偶然父の姿を見かけたと告げられる。しかし、虚言癖がある兄の言葉を亮太はにわかに信じることができなかった。そんな折に現在の妻である友里恵から「お父さんになる自信、ある?」と妊娠を告げられた亮太は、自分が父のいない過去を引きずったまま生きていることに気づかされる。
というお話です。
この映画、主人公の亮太が、ずーっとトラウマになっていた父親の姿が今の自分の状況に重なり始め、あの頃の父親は何を思っていたのか、何があって母親と離婚をして消えてしまったのかが気になり始め、父親を探し始めるというお話でした。
離婚する当人たちはもちろん理由があって、どうしても一緒に居られないから離婚をするのだろうけど、子供たちにはその理由を事細かく説明はしないし、突然に一方の親が居なくなるというのは、小さな子供にとっては衝撃ですよね。小さな子供に説明は出来ないし、理解なんて出来ないだろうしね。でも、大人になったら、やっぱり話してあげるべきだと思うんです。子供が知りたがらなければよいけど、もし、知りたいと聞いてきたなら、話してあげないと、それがトラウマとなって、心にずーっと引っかかったままになってしまうのではないかと思います。
この二人の兄弟も、突然に居なくなった父親が忘れられず、自分たちを捨てていったのだという気持ちになり、それがトラウマになってしまっているんです。兄は引き籠りになり、弟は最初の結婚で生まれた子供との接し方が分からずに会わなくなります。弟の亮太は、新しい女性と結婚して子供が出来て、それと同じ頃に、自分の父親の過去を知っていき、段々とトラウマも無くなり、前の結婚の子供も、新しく生まれた子供も、大切に思う事が出来ていきます。
兄の章一は、父親を探すにつれ、その人となりを知ることになり、嫌っていた父親に向き合えるような気持ちになっていき、何となく引き籠って自分に自信が無かった状態から、少し明るくなって、外に出るようになって行くように見えました。
人間なんて弱いから、どこかで問題を解決しないと、ずーっと生きて行けなくなると思うんです。息苦しくて、辛くて、誰かが助けてくれればよいけど、でも、心の問題だからね。やっぱり、自分で解決するしかなくて、この兄弟は、父親を探し始めたことで、心の重荷を下ろせたんだと思います。子供には何も関係が無くて、親の問題なんだけど、この二人には、ずーっと”捨てられた”ということが引っかかっていたんです。本当なら、親が解決してやらなきゃいけなかったのに、それが出来なかったんでしょうね。まぁ、優しすぎる人間というのは、裏返せば、責任感が無い人間だと言い換えることが出来るのかもしれません。優しいだけじゃ、人間としては欠陥ですからね。
井浦さんは、もうベテランなのですが、兄役の大橋彰さんは、あの”アキラ100%”という芸人さんです。演技出来るの?と思ったら、素人っぽい感がイイ味を出していました。私、一瞬、彼があの”新井浩文”さんに見えて、ドキッとしました。少し、雰囲気が似ていました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。単館系の映画で、何か大きな事件が起こるとかではないですが、静かに感動出来るという作品でした。派手な作品ではありませんが、良質なヒューマンドラマだと思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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