「よこがお」愛が強ければ強いほど、その憎しみは強くなっていってしまう。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「よこがお」の試写会に行ってきました。Fan's Voiceさん(@fansvoicejp)の独占試写会で、上映後に監督のトークショーがありました。

 

ストーリーは、

訪問看護師の市子は、1年ほど前から看護に通っている大石家の長女・基子に、介護福祉士になるための勉強を見てやっていた。ニートだった基子は気の許せる唯一無二の存在として市子を密かに慕っていたが、基子から市子への思いは憧れ以上の感情へと変化していった。ある日、基子の妹・サキが失踪する。1週間後にサキは無事に保護されるが、誘拐犯として逮捕されたのは意外な人物だった。この誘拐事件への関与を疑われたことを契機に市子の日常は一変。これまで築きあげてきた生活が崩壊した市子は、理不尽な状況へと追い込まれていく。

というお話です。

 

 

初めて訪れた美容院で、髪を明るいブラウンに染めるリサ。

予約時に指名した美容師の和道は、彼女を知っている気がして、前の店にいた時のお客さんですかと聞かれ、曖昧に返事をするが、それは違った。
 
数日後の朝、リサは和道が使っているゴミ捨て場で彼を待ち伏せし、偶然会ったふりをして連絡先を交換する。出勤する和道を見送ったリサが戻ったのは、窓から向かいの和道の部屋が見える安アパートの一室。そこから和道とそこに訪ねてくる人の動向を探っていたのだった。
 
 
リサは偽名で、彼女の本当の名前は市子。半年ほど前までは、訪問介護師を務め、その献身的な仕事ぶりと、温厚で面倒見のよい人柄は、周囲から厚く信頼されていた。特に、訪問先の大石家とは家族みんなと交流があり、社会に馴染めず引き籠りがちだった長女の基子は、市子に懐いて、介護福祉士になる勉強を見てもらっていた。基子は市子に憧れていて、その憧れが段々とそれ以上の感情になっていたことに気付きもせずに・・・。
 
ある日、市子は近所の喫茶店で基子と基子の妹・サキの勉強を見ていた。サキは、そこから直接学習塾へ行き、帰宅途中に姿を消してしまう。直ぐに警察に通報し、やっと一週間後に無事に保護されるのだが、未成年略取の容疑で、ある人物が逮捕される。やがて市子は、この事件への関与を疑われ、マスコミやSNSによるねじ曲げられた真実や、予期せぬ裏切りによって、仕事も無くなり、結婚も破断になってしまう。
 
 
全てを失くした市子は、リサと名前を偽り、ある人物への復讐をしようとする。それに和道はどう関わっているのか。後は、映画を観てくださいね。

 

この映画、凄いんですよ。この市子という主人公は、よくいるような普通の女性で、普通に幸せを掴もうとしているんです。本当に普通に仕事をして、普通に好きな人がいる。きっと、誰もが共感するような女性なんです。そんな女性が、ある日、身近で事件が起こり、それに関与しているのではないかと疑われてしまうんです。

 

 

これね、”吉本”の芸人さんの闇営業の事件と被るんです。市子は頼まれて良かれと思って勉強を教えていたんです。でも、それが事件に繋がることになってしまい、直ぐに言おうと思うんだけど、ある人物から言わなくてよいと言われ、つい、面倒だからと言わなかったら、それがバレて、マスコミに追われることになっちゃうんです。最初に一言、言っておけば、もしかしたら、ここまでにはならなかったのにという部分が、今の闇営業の芸人さんの苦しみに似ているなと思ってしまいました。

 

芸人さんも、この市子もそうだけど、何もしてないのに、まるで極悪人のように追い立てられ、いかにも悪い事を率先してやったように誘導されそうになるんです。マスコミって怖いですよね。だって、彼らの良いように作ってしまうんですから。何の関わりも無かったのに、一度、マスコミに叩かれてしまうと、もう、それまでの生活は出来なくなってしまうんです。誰からも疑われ、何を言っても信じて貰えず、とても残酷でした。

 

 

そんな風に追い込まれて、人生を狂わされた市子は、復讐をすることにして、リサと名前を変えて、和道に近づくんです。恐ろしい復讐ではなく、ささやかな復讐と言ってよいと思うのですが、その復讐が実は・・・というのがオチになるんですけどね。

 

 

市子も、他の人々も運命が狂って行ってしまったのには、深い愛が関わっているんです。ここだけ、ちょこっとネタバレになっちゃうのかも知れないけど、深田監督のトークショーで、司会者の方がLGBTを扱ったのはどうしてですかというような質問をしたんですけど、この愛は、私、LGBTとは思えなかったんです。皆さん、同性を好きになったらLGBTだと思うかもしれないけど、その人間に憧れて、好きになって、それが恋愛と同じ気持ちになるってあると思うんです。私はLGBTでは無いけど、凄く好きな同性が現れてしまったら、恋愛感情になってしまうかもしれない。そこには性別を超えた人間としての愛というか、その人物を愛しているという気持ちが生まれると思うんです。私は、それはおかしなことじゃないし、誰にでも起こるかもしれない事だと思いました。

 

 

そして市子は、自分の生活を壊されて復讐したいという気持ちもあるんだけど、相手が人を愛してしまったという苦しい気持ちも理解出来てしまうので、もう、自分の中のモヤモヤしてドロドロした気持ちをどう吐き出してよいのか分からずに、心の中で叫ぶという姿が描かれていて、凄く感動したし、面白いと思いました。これは凄い映画ですよ。

 

 

主演の筒井さんは、美しくて恐ろしくて魅力的な市子を完璧に演じていらして、それに対する市川さんも、自分を上手く表現出来ない、感情がいびつな女性を、強い印象で演じられていて、そのバトルが素晴らしかったです。そして、そこに絡んでくる池松さんは、イイ味を出していらっしゃいました。いやぁ、もうピッタリの配役で、ぐうの音も出ません。

 

もっともっと書きたいくらいだけど、既に長いので、ここら辺で切ります。この映画、早く皆さんに観て欲しいなぁ。そういえば、この映画、「ロカルノ国際映画祭」の国際コンペティション部門に出品が決定したそうです。素晴らしいですね。繊細な心の動きを描いた部分を評価して欲しいなぁ。

 

 

私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。これは、心にグッときますよ。でも大人の方の方が、この心の動きは理解が出来るかなと思います。経験が少ないと、理解が難しいかもしれません。でも、苦しみを知っている方なら、ここに描かれていることが、心に刺さると思います。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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