舞台「ビビを見た!」を観てきました。
ストーリーは、
盲目の少年・ホタルに突然7時間だけ目が見えるようにしてやろうという声が聞こえた。そして、ホタルの目が見えるようになると同時に、彼のまわりの人々は光を失ってしまう。
突如、町が正体不明の敵に襲われ、人々はパニックに陥る。ホタルは盲目となった母とのりこんだ列車で、やぶれた羽と美しい触覚を持った緑色の少女・ビビと出会う。天津爛漫で無邪気なビビに振り回されるホタル。そして、ホタルたちの乗り込んだ列車を巨人が追ってくる。巨人は、ビビを追ってきているらしい。
列車に乗り込んだのは女性と子供であり、成人男性たちは、街に残って巨人と戦っていたが負けてしまったらしい。列車は凄い勢いで走っているが、運転手の目が見えているのか判らない。一瞬、衝撃が走ったかと思ったら、列車は脱線し、ホタルは外に投げ出されていた。直ぐに母を探すと、そばにいて、ビビも無事だったらしい。
そこへ、巨人が追いつきビビを探しているが、巨人も目が見えないらしい。ビビが何処にいるか教えなければ踏みつぶすという巨人に、ホタルは”ぼくが知って。”と言うのだったが・・・。
というお話です。
原作が絵本のお話なのですが、この原作は子供がトラウマになると言われるほど怖い感じの絵なのですが、内容が深くて、凄いんです。盲目のホタルは、ある日、謎の存在に”7時間だけ目が見えるようにしてやる。”と言われ、目が見えるようになります。でもね、生まれつき見えなかった訳ですから、見えないのが普通で、見えるという事さえ、よく解らないんです。そして、突然に光というモノを認識し、初めて世界を見ることになります。
絵本には、目が見える様子を、胎児から人間になる絵で表現しているのですが、舞台では驚きと不安でいっぱいになっている様子に見えました。目が見えて、普通ならめでたしとなるのですが、何故か、ホタル以外の人の目が見えなくなり、街は巨人に襲われ、恐ろしい光景ばかりがホタルの目に入ってきます。彼の目が開いてからは、酷い光景ばかりなんです。
そんな中、ビビという緑色の少女と出会います。もちろん、女の子という存在は知っていたと思いますが、目の前で見たのは初めてで、彼女には羽が生えていて、とても美しいんです。汚いものの中に、美しいビビ。世界には、酷い光景が広がっているけど、そんな中にも、ほんの少し美しいものが存在するという感じなんです。
舞台では、まず、極上の闇をお楽しみくださいという声が聞こえ、劇場が真っ暗になります。真っ暗なんだけど、恐いというより安心感があって、そこからホタルの目が見えるように明るくなります。そして物語が進んでいきます。ホタル役の岡山さんは、ドラマでも映画でも、とても上手いので、以前から好きでした。そしてビビ役の石橋さんは映画で活躍されていて、彼女もイイ役者さんだなぁと思っていました。今回は、そんなお二人が共演して、不思議な世界を作り上げていました。
無駄な舞台装飾は無く、少ないもので家の中も、列車の中も、そして投げ出された草原も表現されていて、とても創造力を掻き立てながらも解りやすい演出だったのですが、巨人が声だけだったので、イマイチ、臨場感が無いというか、その怖さとか、優しさとかが伝わりにくかったなと思いました。
元々、私は原作を読んでいなかったので、この話を舞台だけで理解しようとするのが難しかったのかもしれません。私は、帰ってきてから絵本を読んで、やっとホタルの気持ちというか、ここに描かれているなんとも言えない感覚が理解出来ました。
動いているホタルや動いているビビが見れて、私は幸せだったのだと感じました。ビビとは”美々”という意味で、人生には苦しいことがほとんどだけど、唯一、自分にとっての美しいものを見つけて、見ることが出来れば、それだけで生きている意味があるのだと感じました。
このお話、これからも舞台でやってくれれば良いなぁと思いました。とても良いお話なので、これだけじゃ勿体ないです。また、同じ配役で再演して欲しいけど、同じお話を、色々な方の演出で配役でやってみるのも良いかなと思いました。
私は、この舞台、超!お薦めしたいと思います。でも、既に公演は終わってしまったので、ぜひ、再演をお願いしたいと思います。この闇の演出は素晴らしいと思いました。本当に真っ暗だったもん。感動でした。ぜひ、再演の際には、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんでくださいね。
神奈川芸術劇場「ビビを見た!」 https://www.kaat.jp/d/vivi
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