「COLD WAR あの歌、2つの心」を観てきました。
ストーリーは、
ポーランドの音楽舞踏学校で出会ったピアニストのヴィクトルと歌手志望のズーラは愛し合うようになるが、ヴィクトルは政府に監視されるようになり、パリへと亡命する。夢をかなえて歌手になったズーラは、公演活動で訪れたパリやユーゴスラビアでヴィクトルと再会。パリで一緒に暮らすが、やがてポーランドに戻ることに。ヴィクトルは彼女の後を追ってポーランドも戻るのだが・・・。
というお話です。
1949年のポーランド、音楽家でプロデューサーでもあるヴィクトルは、仲間のイレーナと地方を周り郷土音楽を集めていた。ポーランドの音楽を伝えていくための音楽学校・マズルカを作り、歌やダンスが出来る若者たちを集め、音楽学校で教育をさせようとしていたのだった。若者を集めてオーディションを受けさせると、沢山の若者が集まり、ヴィクトリは、その中でズーラという女性に目を止める。歌も上手いし、美しかったのだった。ヴィクトルはイレーナに反対されてもズーラを合格させ、学校の一員に加える。
イレーナが反対したのは、ズーラが父親を殺して刑務所に入っていたという噂を聞いたからであり、ヴィクトルはズーラに噂の事を尋ねると、父親に性的虐待を受けそうになったために父親を刺し、死ななかったので傷害罪で捕まり、刑務所に入り、今も執行猶予中だということだった。
才能に溢れたズーラにヴィクトルはどんどん惹かれていき、二人は思い合うようになっていく。音楽学校マズルカは、純粋に音楽を伝えていくための学校として設立させたのだったが、段々と政治情勢が変わって行き、国からの融資を受けたいなら、政治色の入った音楽も行うようにとの圧力がかけられるようになっていく。イレーナは政治色が濃くなっていくのを良く思わずに学校を抜け、政府の圧力に反発していたヴィクトルも監視されるようになっていく。
音楽がプロパガンダに使われることを嫌がったヴィクトルはパリへ亡命することを決意し、一人、パリへ脱出する。ズーラはマズルカに残り、歌手として活躍し続け、ベルリン公演のために訪れたベルリンでヴィクトルと再会し、二人で西側に亡命しようと話しますが、ズーラは現れませんでした。
そして時は流れ、ズーラはイタリア人男性と偽装結婚し、ポーランドを出ます。そしてパリのヴィクトルの所へ行き、一緒に暮らし始めます。しかし、既にヴィクトルにも新しい生活があり、ズーラは彼のプロデュースで歌手としてレコードを発表しますが、どうしてもパリに馴染めず、ヴィクトルを捨ててポーランドへ帰ってしまいます。ズーラを手放したくないヴィクトルは、彼女を追って行こうとするのですが・・・。後は、映画を観てくださいね。
戦争に翻弄される二人の恋愛を描いていました。全てモノクロで、画面のサイズは、いつもの映画よりも正方形ぽかったかしら。このサイズの事を何というのか分かりませんが、古い雰囲気を醸し出していました。
世界情勢などは描かれていないのですが、雰囲気でそれが伝わるように作ってありました。ポーランドから亡命したヴィクトルは国籍が亡くなり、どうするんだっていう場面などもありました。ずーっと国から監視され、スターリンの唄を歌えとか強要されたら、そりゃ、亡命しますよ。だって、最初は、郷土音楽を伝える為の学校を作ったんですから。酷い時代だったんだなと思いました。
そんな時代でも、ヴィクトルとズーラは愛し合って、求め合うのですが、どうしても性格的に合わないのかなぁ。一緒に暮らしていても、嫉妬などで上手く行かなくなっていくんです。好き過ぎるとこうなっちゃうのかな。お互いに自分だけを見て欲しいという気持ちが大きすぎて、思い通りに行かないことでイライラしてしまうように見えました。そして、性格が激しいズーラは、ヴィクトルの元から去るんです。男と女は難しいですよねぇ。
でも、どんなに離れても、相手を愛している気持ちは変わらず、なんだか、もう、観ていてもイライラしました。そんなに好きなら、何で離れるの?お互いに素直じゃなさすぎるんじゃないかと思いました。だって、パリで暮らしている時は、最初は上手く行きそうなんですよ。ヴィクトルに恋人がいたりしたけど、でも、愛しているのはズーラって分かっていたのだから、ズーラも彼女と別れて欲しいと言えば良かったのに。プライドがあるから言わないんですよねぇ。そこで話し合っておけば、離れ離れになることは無かったと思うんだけど。
そして、世界は悪い方向に向かい、二人が幸せに暮らして行ける場所は無くなって行くんです。悲しいお話でした。時代が良ければ、もっと別の生き方もあっただろうに、二人は行く道を失くしてしまうんですよ。どこかで妥協出来る二人なら、もっと違っていたのでしょうけど、そうでなかったからこそ、二人は美しかったのだと思いました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。感動作でした。静かに二人の愛が心に沁みてくるような内容でした。映像も美しかったです。モノクロなのに、全く違和感が無くて、気になりませんでした。とっても大人の恋愛映画です。アカデミー賞の外国語映画賞にポーランド代表として出品された作品です。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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