「新聞記者」を観てきました。
ストーリーは、
東都新聞の記者・吉岡エリカのもとに、医療系大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届く。吉岡は、真相を突き止めるべく調査に乗り出す。一方、内閣情報調査室の官僚・杉原は、現政権に不都合なニュースをコントロールする任務に葛藤していた。そんなある日、杉原は尊敬するかつての上司・神崎と久々に再会するが、神崎はその数日後に投身自殺をしてしまう。真実に迫ろうともがく吉岡と、政権の暗部に気づき選択を迫られる杉原。そんな2人の人生が交差し、ある事実が明らかになる。
というお話です。
一方、内閣情報調査室の官僚・杉原は、現政権に不都合なニュースをコントロールする任務に葛藤していた。彼は外務省から出向している身であり、調査室に入る前は海外の大使館勤めをしていたのだが、ある問題が5年前に起きて、その後、ここへ移動してきたのだった。
良くここまで描いたと話題の映画ですが、確かに、今までこんなえげつない事を政府内部でやっていることを描いた映画は無かったかも知れないけど、でも、これくらいやっているのは、皆さん、知ってましたよね。まさか、ネット上で流れる噂が、全て確かな情報の上に成り立っていて、正しい情報だと思っているような人はいないでしょ。週刊誌や新聞で報道されている事だって、売れる為に作っているんだから、多分に嘘が混ざっているのは当たり前という事を知っていますよね。”百聞は一見に如かず”と言うように、自分の目で見ていないものに、確かなものは無いんです。
地方に医療系大学が新設されるという情報がリークされ、それを新聞記者が調べていくと、軍事転用が出来るような細菌やウィルスなどを研究する施設だという事が分かってきて、その上、総理大臣の友人の会社が絡んでいることが分かってきてという内容だったのですが、結構、直ぐにその内容は解るんだけど、証拠が無いからという事で、記者の吉岡と内閣の杉原が、証拠を探すために協力して奮闘する話でした。
杉原は、自分の仲間を調べることになる訳だから、裏切り者ですよね。それでも、真実を追求して行くのですが、それって、どうなのかなぁと考えてしまいました。それって正義なのかしら。確かに軍事転用出来る細菌などの研究をすれば、悪用されることもあるかも知れないけど、もし、どこかから化学兵器で攻撃を受けた時に、研究施設が無いと、その化学兵器に対処する方法が見つけられないんじゃないの?
サリンだって、事件当時は直ぐに解らなかった訳でしょ。急いで沢山の専門家を招いて研究したけど、それでも被害者が沢山出たじゃないですか。もし駅などに簡易検査キッドなどが置いてあれば、対処法が分かったかも知れない。それって、研究施設で前もって試験を何度もしていなければ出来ない事でしょ。一概に軍事転用出来ることが攻撃するという事に繋がるとは限らないんじゃないの?
総理の友人が得をするように大学が新設されると言うのは、許したくないけど、でも、もし自分が総理の友人だったらやって欲しいなぁ。どーせ誰かにやらせるなら、友人の方が良いんじゃないの?例えばアルバイトをしているレストランに友達が来たら、そっと1品持って行くとか、量を増やしてあげるとかするでしょ。それは友達が望まなくても、やってあげようという好意でしょ。でもそれも忖度って言われちゃうって事よね。イイじゃん、好意なんだよ。忖度上等です。あ、怒られそう・・・。(笑)
正義って何なんでしょうね。自分の立ち位置によって正義は違ってくる訳で、決して一方方向から見ただけで正義を判断するべきじゃないと私は思っています。この映画、主人公の側から見れば政府は悪だけど、田中さんが演じる内閣の上司の側から見ると、色々な操作は、日本を守る為かも知れないし、自分たちの生活を守る為かも知れない。だからそちらも正義なんです。だって家族を守るのは正義ですよね。
権力者が、その力を自分の利益に使ってはいけないという大原則はもちろんありますし、理解しています。だけど、それが守られていないという事も分かっていて、日本のマスゴミはそれを追求出来てないのは事実ですよね。だから、もっとアメリカみたいに、映画やドラマ、イラストなどで一発ギャグ的に批判すればよいのに。弱い者に対しては追求するのに、政府に対して全く出来ないのは、自分たちが政府から優遇されて良い立場にいると感じているので、それに対しての”忖度”なんでしょ。マスゴミも忖度上等じゃないですか。
ふぅ~、映画の話をしなくちゃ。松坂さん演じる杉原は、やっぱり間違った行動をしたと私は思います。彼は新聞社側に付くべきではなく、もっと引いて、広い視点で見るべきだったと思いました。あの記事は外に出てもうやむやにされて、杉原は処分を受けることになり、家族は辛い思いをすることになるでしょ。子供も生まれたばかりなのに、どうすんの?子供の未来の為にとかって思ったとしたら、それ間違ってるから。世界と戦って行くのに、いつも綺麗ごとを優先させたら直ぐに潰されます。汚い事も平気で出来る強靭な精神を養うべきです。
新聞記者の吉岡は、父親と同じ道を歩むことになるのかしら。女の方が図太いから、何があっても死なずに戦って行けば嬉しいなぁ。一時は政治記者から外されようと、海外に飛ばされようと、それでもジャーナリストとして貫いていくという立場を続けるなら、いつか、政府を敵に回して戦えるようになるのではないかと思います。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。ここ何年かで聞いたことがあるようなニュースの内容で、それを題材にしているのは、面白いと思いました。でも、どーせ映画としてやるなら、もっとメリハリを持たせて、悪い奴は悪魔みたいに描いてやれば、フィクション風になるので、もっと本当の内容に近づけて描けたと思うんですけど、ちょっと遠慮していたかな。やると決めたら、もっと”バイス”のようにガッツリ悪者に描いてやれば良いのになぁ。でも、面白かったですよ。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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