フランス映画祭にて「シノニムズ」を観てきました。この作品は、第69回ベルリン国際映画祭の金熊賞を受賞した作品です。
ストーリーは、
パリ在住のイスラエル人・ヨアヴは、フランスに帰化しようと奮闘中。
フランスが自国の狂気から自分を救ってくれると信じて…。
というお話です。
ヨアヴは、自分を助けてくれたフランス人カップルとの交流を続けており、オーケストラの一員として働く彼女と一夜を共にしてしまう。そして彼の方は、フランス人になる為に彼女と結婚すれば良いのではないかとヨアヴに提案をする。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画は、自国を捨てて出てきた男性が、フランス人になりたいと奮闘するのですが、ふと気が付くと、何処にいても一緒じゃないかって事に気が付くという内容です。良く日本では、”隣の芝生は青く見える”と言いますが、まさにそれではないかと思いました。日本人にも、このヨアヴと同じような人って、結構、いるんじゃないかしら。SNSとかで、ずーっと政治に対しての文句を言っている人とかいるでしょ。そんなに日本がイヤなら、他の国に行けばよいじゃんって思うけど、きっと、日本より良い国なんて、そんなに無いんですよ。何処の国も同じように問題を抱えているんです。この映画では、そんなことが描かれていました。
私は、一度は、こうやって外から自分の国を見てみる事も大切なのかなとも思いました。ずーっと外の世界を見ずに、内部だけでぐじぐじ文句を言っているより、よっぽど建設的な考え方ですよね。自分の国の中だけで、何の見ずにぼんやり暮らしているだけの人間も、問題なのではないかと思います。かといって、この映画のヨアヴみたいに、全てを捨てて、海外に出ていく勇気も無いので、私は、仕方なく、ネット上で、世界を少しづつでも観察していくしかないのかな。うーん、若ければ、一度はヨアヴみたいなことをしてみたかったな。
でもね、どんなに世界を見て、沢山の知識を身に着けたとしても、やっぱり自分のアイデンティティを完璧に捨て去ることは出来ないし、自分が生きてきた軌跡は、大切に持っているべきだと私は思いました。一つ一つが、大切な自分の一部だし、成功しても失敗しても、それもすべてが自分でしょ。全てを受け入れて、全てを背負いながら生きて行くことが、自分というものの存在を示すことになるんじゃないかな、とこの映画を観た後に思いました。自分の生き様には、自分で責任を持つべきなんです。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。考えれば考えるほど、哲学的で面白くて、考えさせられる内容だと思いました。まだ、日本公開は決まっていませんが、ヨアヴが”まっ裸”で部屋をうろうろしますので、ち〇こが丸見えの場面が多数存在します。なので、どうなるのかなぁ、ボカシが入るのかなぁ。こんなに良い映画、本当は大々的に日本公開して欲しいけど、難しいのかも知れません。でも、もし観る機会があったら、ぜひ、観てみてください。
ぜひ、楽しんでくださいね。
「シノニムズ」
http://www.unifrance.jp/festival/2019/films/1175/