フランス映画祭にて「ディリリとパリの時間旅行」を観てきました。
ストーリーは、
ニューカレドニアからやって来たディリリは、パリで出会った最初の友人オレルとともに、少女たちの誘拐事件の謎に挑む。キュリー夫人やパスツール、ピカソ、モネら時代を彩った天才たちに協力してもらいながら、エッフェル塔やオペラ座、バンドーム広場などパリの街中を駆け巡って事件解決を目指す2人だったが・・・。
というお話です。
ベル・エポックの時代のパリ。 ディリリは、どうしても外国に行ってみたくて、ニューカレドニアから密かに船に乗りパリにやってきた。ディリリは、ニューカレドニアのカナック族とフランス人のハーフであり、既に両親はいなかった。カナックの地にいても、他の人々よりも色が白い事で良く思われず、自分の居場所を求めて出てきたのだった。
開催中の博覧会に出演し、偶然出会った配達人のオレルとパリで初めてのバカンスを楽しむ約束をする。その頃、街の人々の話題は少女の誘拐事件で持ちきりだった。男性支配団と名乗る謎の集団が犯人だという。ディリリはオレルが紹介してくれる、パリの有名人たちに出会い、男性支配団について次々に質問していく。
洗濯船でピカソに“悪魔の風車”に男性支配団のアジトがあると聞き、二人は向かうが、そこでオレルは狂犬病の犬に噛まれてしまう。三輪車に乗ってモンマルトルの丘から猛スピードで坂を下り、パスツール研究所で治療を受け、事なきを得る。オペラ座では稀代のオペラ歌手エマ・カルヴェに紹介され、彼女の失礼な運転手ルブフに出会う。
ある日、男性支配団がロワイヤル通りの宝石店を襲う計画を知った二人は、待ち伏せし強盗を阻止する。その顛末は新聞に顔写真入りで大きく報じられ、一躍有名になったディリリは男性支配団の標的となり、ルブフの裏切りによって誘拐されてしまう。ディリリはオレルたち仲間の力を借りて男性支配団から逃げることができるのか? 誘拐された少女たちの運命は?後は、映画を観てくださいね。
この映画、素晴らしかったです。お話は子供向けで解りやすく作ってありますが、とにかく、美術が素晴らしいんです。本当に芸術作品と言って過言ではないと思いました。ベル・エポック時代の明るくて色とりどりの美しい色彩が画面の中で踊っているんです。そんな絵の中に、南の島から来た色の濃い女の子・ディリリ。そして白人のオレル。
二人が出会うのは、その時代に美術、音楽、文学を賑わせた有名人たちや、化学、医学、建築を進歩させた偉人たち。本当に有名人ばかりで、笑ってしまいました。そうそう、以前フランス映画「ショコラ」で描かれていた黒人で初めてコメディアンとして活躍した人とか、女優のサラ・ベルナール、エマ・カルヴェなども出てきました。特にエマは、2人に協力して、男性支配団から女の子たちを奪還するのに一役買います。
この男性支配団っていう怖い集団ですが、その頃、女性の力が段々と大きくなっていき、女性も男性にモノを言うようになっていたらしく、それを良く思っていない男性たちが集まって、女性を服従する動物に教育しなおすために運動をするという集団なんです。酷いでしょ。そんな奴らに怒りの鉄槌を与えそうだけど、まぁ、どうするのかは、映画を観てくださいね。
このディリリという女の子は、ニューカレドニアにいても、ハーフなので色が白いと言われて奇異な目で見られ、フランスに来ても、今度は色が黒いと言って奇異な目で見られるんです。何処にいても居場所が無くて、世界を旅したら、居場所が見つかると思って旅だったんだと思うんです。そして沢山の冒険をして、居場所を見つけるまでが描かれているんです。最後は温かい気持ちになりました。
この映画、沢山の本を読み、知識が豊富な人ほど、楽しめると思います。だって、本当に沢山の有名人がこぞって出ているんですもん。一瞬、名前が出る人もいるけど、全く名前が出ないけど、それを見れば画家のロートレックだとか、ミュシャだとか、マティスだとか、分かるんです。そしてサティがグノシエンヌNo.1を弾いてくれて、エマの衣装を手掛けるのはポール・ポワレ。もぉ~、凄すぎるって言うくらいの名前が並んで、笑っちゃいました。あの酒場には、きっとヴェルレーヌやプルースト、コクトー、サン=テグジュペリ、カミュ、サルトルなどなどが座っていたんだろうなぁ。
これは、アニメが好き嫌いという事ではなく、芸術映画として観るべき作品だと思いました。それに、もしアニメ関係を目指している方がいらっしゃるなら、このミッシェル・オスロ監督の作品は必ず観るべきです。「キリクと魔女」の時とは違う、また一段も二段も上がったアニメ芸術を楽しんで欲しい。本当に、日本のアニメとは違う美しさと迫力が、この作品にはありました。
私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。満点以上の作品で、驚きと感動でいっぱいになりました。ぜひ、沢山の人に観て欲しい作品です。アニメ以上の芸術です。ぜひ、観に行ってみてください。8月末に公開です。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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