「ウィーアーリトルゾンビーズ」を観てきました。
ストーリーは、
火葬場で出会ったヒカリ、イシ、タケムラ、イクコは、両親を亡くしても泣けなかった。ゾンビのように感情を失った彼らは自分たちの心を取り戻すため、もう誰もいなくなってしまったそれぞれの家を巡りはじめる。やがて彼らは、冒険の途中でたどり着いたゴミ捨て場で「LITTLE ZOMBIES」というバンドを結成。そこで撮影した映像が話題を呼び社会現象まで巻き起こす大ヒットとなるが、4人は思いがけない運命に翻弄されていく。
というお話です。
ヒカリは、仲の良い両親がバス旅行に行くのを見送ったが、両親はバス事故で亡くなってしまい、一人になってしまう。悲しいはずなのに、何故かヒカリは泣けなかった。火葬場で待っていると、3人の子供に出会う。
イシは、中華料理屋の息子だったが、店がガス爆発し、家族は死亡、一人残ってしまったが泣けなかった。タケムラは、工場経営をしているDV父親と母親、兄と暮らしていたが工場の経営が悪化し、借金を苦に両親は自殺。兄もどうしたか分からず、一人だった。イクコは、両親に愛されていたが、家庭教師の男がイクコのストーカーとなり、イクコを手に入れるために両親を刺し殺し、一人となった。
4人とも泣きもせず、感情も無く、未来への夢も希望も無い、ただ生きているだけのような、こんな4人の13歳の子供が出会い、何となく歩き出す。どーせ、僕たちゾンビみたいなもんだから、何となくやりたい事だけしてみようと話し、武村が持ってきたベースギターを使い、バンドでもやってみるかという話になる。
そして何となく音楽をやってみた彼ら4人を、望月という芸能プロダクション関係の男が見つけ、バンドをやらせて儲けようという計画を練り、自分がマネージャーとなって、大手芸能プロの売り込みに行く。そして「LITTLE ZOMBIES」というバンド名で売り出したところ、超売れてしまい、大騒ぎになる。そして・・・。後は映画を観てくださいね。
うーん、面白いと言えば面白いし、俳優は豪華だったのですが、インディーズっぽくて、持って行き方が強引なんです。だから、単館系でも起承転結が解りやすく、ちょっとほのぼのしちゃうような映画が好きな方には、これ、受け入れられないだろうなぁって感じでした。一般受けしないと思うんです。でも、飛んでしまっている話の間に、自分で想像したものを入れ込んでいくと、結構、楽しいんですよ。
例えば、4人とも、両親に愛されていたとは思うのですが、その愛の方向が、どの親も自分を一番愛していて、大好きな自分の子供だから大切にしているのかなって思えたんです。ヒカリの両親は、ヒカリも大切だったけど、2人でバス旅行に行くんです。息子を一人家に置いてね。そしてタケムラの両親は借金苦で子供を残して自殺でしょ。イシはどうだったか忘れたけど、イクコの両親も冷たい感じなんです。
子供を愛していない訳じゃないけど、その愛を子供が感じられるほど、まだ成長していなかったのかなと思いました。だから、4人の子供たちは、自分たちでバンドをしたりして、社会の事をしって仲間も知って、精神的に成長し、外から自分たちの事を見て、自分たちが親に愛されていたのだという事に気が付いたのかなと思いました。それでやっと親が亡くなったことを自覚し、悲しさを感じたのかなと思いました。
ガチャガチャしていて、色彩も多いんだけど、イマイチ、バランスが悪いんです。色の使い方が、まるで色紙をぺたぺた貼って作ったような感じんです。カラフルなのは良いけど、例えば蜷川実花さんの作品のようにバランスを考えてくれると、暑苦しい感じがしないかなって思いました。大画面でバランスが悪いと、画面いっぱいに押し付けられているような感じがして、息苦しくなるんです。もう少し、さっぱりして欲しかったな。
始めての長編映画だそうなのですが、話は良くまとまっていたし、子供たちが成長して一人で歩きだせるようになる姿は、良かったと思います。ファミコン時代っぽいドットの粗いイラストも、私にはアクセントになっていて笑えました。懐かしいです。あの音も懐かしかったなぁ。ドラクエを、長い呪文で保存してたことを思い出しました。
この映画を観て、確かに13歳で両親を亡くした子供たちって、言われてみれば泣いてないかもしれないなぁと思いました。きっと、何が起こったのか理解出来ずに、自分が一人になった不安と未来が見えなくなった不安で、押しつぶされそうで泣けないと思うんだけど、この映画の子供たちは、ちょっと違うようでしたね。でも、根本的にはこの不安があるからこそ、ゾンビになっちゃったような気がします。
この映画、私は、お薦めしたいと思います。ちょっと、観る人を選ぶ映画だと思いますが、ハマると面白いし、感動出来ると思うんです。ゾンビに感情が生まれていく様子がよく解るように描かれているので、そこを理解出来ると、面白いと思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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ウィーアーリトルゾンビーズ
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