「海獣の子供」を観てきました。
ストーリーは、
自分の気持ちを言葉にするのが苦手な中学生の琉花は、長い夏休みの間、家にも学校にも居場所がなく、父親の働いている水族館へと足を運ぶ。そこで彼女は、ジュゴンに育てられたという不思議な少年・海と、その兄である空と出会う。やがて3人が出会ったことをきっかけに、地球上でさまざまな現象が起こりはじめる。
というお話です。
コミュニケーションをとるのが苦手な中学生の琉花は、夏休みを楽しみにしていた。ハンドボール部で活動するのが楽しかったからだ。休みに入ってすぐの部活の日、試合中に転ばされ怪我を負った琉花は、転ばした女子に今度は肘鉄を食らわせ、仕返しをしてしまう。部活の先生は、相手には怒らず、自分にだけ謝れと言い、納得出来ない琉花は謝らなかった。すると、先生に部活に出てこなくていいと言われてしまう。
夏休み初日から部活に出れなくなった琉花は、家にはいたくないが行くところも無く、父親が働く水族館に行ってみる。バックヤードで父親を捜していると、どこからか男の子が出てきて仲良くなる。彼は”海”という名前で、兄弟がいるらしいが病院に入っているという。不思議に思っていると、父親が、彼らはジュゴンに育てられたんだと琉花に話す。
”海”は明るく純真無垢であり、”空”は何もかも悟っていて人の心の中まで見透かしそうな冷たさのある男の子だった。空は琉花に近いものを感じ、琉花も何か感じるものがあり、3人は一緒に行動をするようになって行く。そんな3人を待っていたかのように、海ではクジラが歌を歌い、イルカなどの哺乳類が大移動を始めていた。
ある日、”海”が人魂が来ると言うが、琉花には分からない。そして待っていると大きな流れ星が2つ飛んでいく。海の言う人魂とは流れ星の事だった。しかし海はあれは人魂だと言う。それからしばらくして、空が町から消えてしまう。海と琉花は探すのだが見つからない。海と空を調査している海洋学者や政府関係者らしき人物たちは、「誕生祭」が近いので空の居場所を突き止めようと動き出す。
海洋学者のジムは、実は空がいる場所を知っており、それを誰にも言わずに隠していたが、海には見つけられてしまう。空と会った海と琉花だったが、またも空は海に消えてしまい、琉花に隕石の欠片を残していく。そしてとうとう”誕生祭”が始まる・・・。後は、映画を観てくださいね。
これ、どこまで解説して感想を書いたら良いかしら。今回は、ネタバレをさせていただこうかな。だって、これ、ネタバレしないと無理でしょ。謎だらけなんだから。という訳で、今日はネタバレ&考察をさせていただきます。但し、私が理解した内容なので、人とは意見が違うかも知れません。なので、一つの見方と思って読んでくださいね。
琉花はまだ子供の精神であり、海と空はジュゴンに育てられたので長生きが出来ないみたいだって言ってたので、3人とも子供のままという事で通じるところがあった。海と空は命の卵として宇宙により生みだされたのかなと思いました。そして、流れ星が精子ということなので、命の卵に流れ星の精子が受精することで、命が誕生する=誕生祭なのだと思いました。
人間が壊して殺してきたので命の数が少なくなり、再度の”誕生祭”が必要となったのでしょう。宇宙は地球に命を生み落とし、地球はゆりかごとしての役割を担っていて、地球で生まれた命は宇宙に広がり、また新しい世界を作り出す。命は地球だけのものでは無く、宇宙のモノ=コスモゾーンとなると、またも手塚治虫先生の”火の鳥”に繋がっちゃいますね。火の鳥の中に沢山の命が混ざり合いそこから誕生して行くように、地球に産み落とされた命の卵と宇宙の精子が混ざり合い、この世界を新しくしていくのかなと思いました。
人間がごちゃごちゃ無駄な事をしていても、宇宙は命が少なくなれば新しい命を生み出していく。地球も人間も、そのサイクルの一つだけど、必要無くなれば人間は排除され、他の命たちが世界を司っていくんです。その決定権は海にある。海は全ての母なんです。そんな風に思えました。
空が最初の隕石により、受精して沢山の命を生み出し、そして琉花が持っていた隕石の欠片を海が手に入れて、受精して命を生み出しました。でね、空は海だけは生かしておこうと思って、琉花に隕石を渡したのかもと思いました。隕石を持って誕生祭の場所へ行き、命を開放する役割を琉花に託し、海は地上に残そうと思ったのに、海は琉花が持っていた隕石を飲み込んで自分も受精して命を生み出してしまった。空と海は別々にはいられなかったのだと思いました。でも、きっと、空は海に生きていて欲しかったのかな。大人になって欲しかったのかもしれません。確か、誰かが琉花に海は一緒にいると危険だと言っていたと思うので、それがこの事だったのだと思います。
新約聖書”コリント人への第一の手紙”の13章11節の「童のときは 語ることも童のごとく 思うことも童のごとく 論ずることも童のごとくなりしが 人となりては童のことを捨てたり~」という”ゴーストインザシェル”に出てくるフレーズが、この話でも効いてくると思います。子供の頃は子供の考えだけど、大人になったら子供の頃の考え方を捨ててしまいます。完全なものが現れたら不完全なものは無くなるんです。でも、そこに残るのは愛だと言う締めがあります。
子供の姿で現れた空と海は何者だったのでしょう。命を生み出すためだけに地上に遣わされた宇宙の愛だったのかもしれません。そんな彼らと少しでも一緒に過ごして、命や愛を知った琉花は、夏も終わり、成長し、大人になってしまいますが、きっと、子供の頃のひと夏を忘れることは無いのでしょうね。そんな人間が一人でも残っていてくれれば、少しは良い世界になって行くのかもしれません。
凄く哲学的というか、宇宙と生命、愛、そして人間の原罪を考えさせられるような映画でした。これは、ゆっくり家で観たいなぁと思いました。なので、きっとDVDを買っちゃうだろうなぁ。ペンギンハイウェイに似た部分があったよね。
アニメも素晴らしく、美術的にも最高の出来だと思いました。もう、感想を書きすぎているので、あまり絵に関して書けませんが、素晴らしい絵画のようなアニメでした。
あ、そうそう、声もピッタリだったのですが、父親と母親の稲垣さんと蒼井さん、話題も相まって取り上げられていましたね。蒼井さんは上手いのは知っているけど、稲垣さんも声優、上手いですね。安定している声なので、とても聴きやすかったです。好きな声でした。
声にもまして、米津さんの「海の幽霊」素晴らしいですね。もう、最初聞いた時に感動して、配信されて直ぐにダウンロードしました。毎日聞きたい曲です。この曲を聞きながら、海でボーっとしたいなぁ。
私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。私は、こういう映画大好きなのですが、ちょっと理解するのが難しいので、好き嫌いがあると思います。でも、難しい所を理解しないで、雰囲気で観ても、素晴らしい映画だと思いました。観ていて気持ち良くなるんです。この揺蕩うような感覚をぜひ味わって欲しいと思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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