「魂のゆくえ」神を崇める為に必要な資金を得るのに、悪魔に心を売るのは間違ってると思うけど・・・。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「魂のゆくえ」を観てきました。

 

ストーリーは、

ニューヨーク州北部の小さな教会「ファースト・リフォームド」の牧師トラーは、ミサにやってきた女性メアリーから、環境活動家である夫のマイケルの悩みを聞いてほしいと頼まれ、彼女の家を訪れる。そこでマイケルが地球の未来を憂うあまり、メアリーのお腹の中にいる子を産むことに反対しているという話を聞かされる。また、トラーは自身が所属する教会が環境汚染の原因を作っている企業から巨額の支援を受けていることを知り・・・。

というお話です。

 

 

ニューヨーク州北部の小さな教会「ファースト・リフォームド」の牧師トラー。年報に掲載するための記事を書いていたが、どうしても満足できずに破り捨ててしまう。彼は従軍牧師として活動していたが、自分の息子が戦死したことをきっかけに辞め、教会の牧師となった。息子に入隊を進めたのはトラーであり、自分をずっと責め続けており、自分などに誰かが助けられるのかと自問自答しているのだった。

 

ある日、トラーは、ミサにやってきた女性メアリーから環境活動家である夫のマイケルの悩みを聞いて欲しいと頼まれ、彼女の家を訪れる。マイケルは、環境汚染の問題を訴えており、このまま汚染が続いてしまえば、地球が壊れてしまい、その未来の地球に住むであろうメアリーのお腹の中にいる子供が 生きられるような環境ではなくなってしまうと考えていた。そして子供を降ろすべきじゃないのかと、酷く悩んで、鬱状態になっていた。

 

 

メアリーは、そんな夫を心配しながらも、子供は産みたいと思っており、マイケルの心の悩みを慰めて欲しいとトラーに頼み込む。トラーは、マイケルが訴える環境汚染の事を調べ始め、製薬会社の環境汚染に行きつくことになる。その製薬会社とは、教会に多額の寄付をしている会社だった。ヤバい話に行きつき、悩むトラーだったが、そこへメアリーから連絡があり、自宅のガレージで自爆用爆弾を見つけたという。マイケルが用意したらしく、マイケルに話を聞くために公園で待ち合わせをするが、彼は待ち合わせ場所でショットガンにより自殺をしていた。

 

 

その頃、教会では25周年記念式典の為の準備が進んでいた。式典では、市長や製薬会社の関係者がスピーチをする予定だ。教会で大きな力を持つ支援者たちに環境問題をについて話をするが、製薬会社からの寄付が大きい為に、誰も問題について語ろうとはしない。

 

マイケルの自殺、そして神に背くことになる環境問題に目を瞑る教会、どちらも止めることが出来ない自分の力の無さを実感するトラーは、医者から胃がんであることを告げられる。追い詰められたトラーは、マイケルが残した自爆用爆弾を身体に巻き、式典に出席しようとするのだが・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

 

ポール・シュレイダー監督の人生の集大成という作品です。アカデミー賞の脚本賞にノミネートされ、世界で64の映画賞受賞、112のノミネートをされました。確かに凄い作品なのですが、この映画の内容を普通の人間が、どこまで理解出来るのかと考えると、難しいかなと思いました。キリスト教信者で、戦争の経験があると、理解しやすいのかもしれませんが、日本人には難しいかなぁと思いました。

 

トラーという牧師は、心に傷を負って、この教会に派遣されてきたんです。そしてここで人々を救いながら、それまでの自分が犯した罪を償って行こうという気持ちで来たと思うんです。それなのに、自分が相談を聞いていたマイケルを助けることは出来ず、マイケルが訴えていた環境問題を考えるべきじゃないかと教会関係者に訴えても、環境汚染をしている会社から寄付を受けている教会は、関わらないことにしてしまうんです。これじゃ、神を信仰していながら、神に背いていることになりますよね。

 

 

表面だけの進行を続けることに意味があるのかという問題にぶち当たり、トラーは悩みに悩みます。自分の身体を傷つけてみたり、自爆をしてみようとしたり、そんな事しても何の意味も無いんだけど、どうしようもないジレンマに、おかしくなっていくトラーの姿が描かれていました。

 

最後の最後、おかしくなったトラーの前に、ある人物が現れます。式典に出席せずに、家に閉じこもっていたトラーは、誰が来てもドアを開けず、鍵もかけていたのに、何故か、彼の部屋に入ってきたその人物は、いったい誰だったのか。それは、観た人が想像するべきなのですが、私は、悪魔だったのかなと思ってしまいました。トラーに、もう諦めて、周りと同じように、悪に飲まれてしまえということだったのかなと。

 

 

その人物とベッドに入るトラーは、”ヨハネの黙示録”に出てくる”7つの頭と10の角を持った赤い獣に乗った女”に、自分も飲み込まれたというように見えました。トラーも、他の”地の王”たちと同等になったと、私は思ってしまったのですが、もしかしたら、違うかも知れません。その人物は天使であり、彼を救うために来て、彼をそのまま連れて行ったのかも知れません。それは、観た人が選択するべきであり、ハッピーエンドかも知れないし、バッドエンドかもしれない。

 

とても考えさせられる映画でした。実は、もう半月から1か月前に観た映画なのですが、直ぐには感想が書けずに、時間が経ってしまいました。内容が深いので、どう解釈して良いのか分からず、私はキリスト教徒でもないので聖書の理解も浅く、環境問題もどこまでヤバい所まで来ているのかも理解出来ていないので、何とも難しかったんです。でも、やっぱり良い映画なので、感想を書かなければと思い、やっと書きました。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。しかし理解するのは、簡単ではないと思いました。環境の問題を考えながら、神への信仰も理解し、人間の原罪を考える内容なので、頭の中がぐちゃぐちゃしてしまうと思います。でも、何度か考えるうちに、自分の考えが決まるかなと思いました。出来たら、沢山の人に観ていただいて、考えて欲しい内容だと思います。悪魔に飲まれた方が楽だけど、やっぱり環境問題とかは、自分たちの子供の為に考えた方が良いよね。そんな事を考える映画でした。ぜひ、観てみてください。もうすぐ、日本版もDVDが出るんじゃないかしら。レンタルでも良いので観て欲しい。

ぜひ、楽しんでくださいね。カメ

 

 

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