イタリア映画祭2019「ある日突然に」を観てきました。11作目です。
ストーリーは、
17歳のアントニオは、南イタリアの小さな村で息子を溺愛する母と2人暮らし。父に捨てられて精神的に病んでも3人一緒の生活を願う母を支えながら、プロのサッカー選手を目指して練習に励んでいた。ある日、スカウトが現れてチャンスが到来するが・・・。
というお話です。
カンパーニャ州の田舎町に暮らす17歳のアントニオの夢は、サッカー選手になり有名チームでプレーをすること。幼い頃に家族を捨てた父親カルロの代わりに、アントニオは学校を辞め、昼は小さな農園で育てたレモンなどの作物を売り、夜はガソリンスタンドで働き、母ミリヤムを支えている。
精神的に不安定なミリアムは、同じ町で店を営んでいる元夫カルロに執着し、店に行っては問題を起こしていた。そんな母親に手を焼かれながらも、仲間たちと一緒にサッカーに打ち込み、いつの日かを夢見ていた。
ある時、彼の才能に目を留めたスカウトマンのミケーレから、パルマのユースチームへの入団トライアルのオファーを受ける。夢の実現に向けてのチャンスをつかんだと喜ぶアントニオだったが、それには、今の町を出て、他に引っ越さなければならない。元夫に執着するミリアムも、この町を離れれば安定するのではないかと思ったアントニオは喜ぶのだが、この町を離れたくないミリアムは、段々と精神が荒れていき・・・。あとは、映画を観てくださいね。
この映画、うーん、息子と母親の関係の映画なのですが、精神を病んでいる母親を息子が面倒を見ているんですね。行政の福祉の方が、アントニオがまだ17歳なのに学校を辞めて面倒を見ているというので、とても心配しているんです。本当なら、今の母親の病状だと、病院に収容するという事になるようなのですが、アントニオが頑張っているので、猶予期間を持たせているんです。そんな状態なのに、ミリアムは、元夫の酒場で暴れたり、元夫の家に行ってドアを叩いて叫んだりと、色々やってくれるんです。そしてアントニオは、どんどん追い詰められていくんです。酷いでしょ。
アントニオは、母と自分を捨てた父親カルロを憎んでいるのですが、もし、私がカルロだったら、当たり前だと思います。精神を病んで、賭け事はするは、酒は飲むは、暴れるは、では、面倒見切れないですよ。もし、ミリアムを病院に入れて、アントニオが一人になるのだったら、カルロも引き取ったと思うんです。でも、ミリアムがアントニオを離さないので、二人とも捨てたのだと思いました。立場の違いはあるけど、相手も辛かったんだろうなと思ってあげて欲しかったと思いました。
ミリアムは、精神的DVをアントニオに行っていると同じだと思いました。だって、可愛がる時は凄く可愛がるけど、何もしないでお金も息子が稼いでいて、自分は元夫のところにふらふら行くだけ。時々、自分の思い通りに行かないと、息子にも酷い言葉を浴びせていて、何て酷い母親なんだろうと思いました。
でも、アントニオは母親が好きで、母親から離れられないんです。精神的に病んでしまった原因は分かりませんが、それを他人のせいにして、自分の面倒を見るのは当たり前みたいに言うのは、やっぱり間違っていると思うんだけど。精神を病んでしまったのは可哀想だと思うけど、その責任を周りに押し付けるのは違うでしょ。周りの方が可哀想です。それでもアントニオの母親への思いは深く、どこまでも母親を守ろうとする姿は、愛おしく感じるほどでした。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。でも、微妙な内容なので、日本公開はどうかしら。ちょっと難しいかなぁと思いますが、もし、公開されたら、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんでくださいね。
イタリア映画祭2019 http://www.asahi.com/italia/2019/