イタリア映画祭2019「彼女は笑う」+「サンテンハチジュウナナ」を観てきました。9作目です。
ストーリーは、
翌日には葬儀が控えているが、妻のカロリーナは、夫の死にどう振る舞えばいいか分からなくて泣くこともできず、そんな様子の母に息子は不満げだ。自分と同じ工場で息子を失った父は、その死に向き合えない。
同監督の短編『サンテンハチジュウナナ』も上映。
ある工事現場で事故が起きる。アッと思ったら、落ちていたのだが、何故か、何の問題も無く、美しい女性が近づいてきて、彼の横に寄り添う。まだ仕事が残っているのに・・・。という彼の意識は段々と無くなり、救急隊員の女性が救助を始める。そして・・・。
というお話です。
まず、”サンテンハチジュウナナ”ですが、これは「3.87」の事で、現場作業中に亡くなる方=労災で亡くなる方の確立だそうです。イタリアの数字ですが、日本ではどれくらいなんでしょうね。ある日、突然に亡くなってしまい、本人も殆ど気が付かないまま亡くなってしまい、残された者たちは・・・、というお話でした。
そして、その続編ともいうべき作品が「彼女は笑う」であり、ある日、突然に夫が仕事に行ったっきり亡くなってしまい、あまりに突然の事で、簡単には受け入れられない家族の様子を描いています。そりゃそうですよね、だって、普通に行ってきますって言って、朝、出て行っただけなのに、突然、もう帰ってこないなんて告げられても、何も考えられないと思います。
映画の内容は、突然の状況に対処出来ない妻の姿と、そんな母親を見つめる息子、そして亡くなってしまった男の父親が納得できない思いを仕事場にぶつけに行く姿を描いていました。それ以上の内容はほとんどありません。この悲しみのみを、詳しく描写しています。
妻は、あまりにも突然の事に、涙も出ず、動くことも出来ません。周りが何を言っても、一応、その場は対処しようとするのですが、気持ちが付いて行かないんです。確かに、あまりにも予想だにしない出来事にぶち当たってしまうと、こんな風になってしまうのかと思います。ふと、振り返ると、そこに夫が立っているような気がして、でも、永遠に夫が帰ってくることは無く、心が無くなってしまったような姿になってしまいます。
息子は、あまりにも母親の様子がおかしい事に気が付き、父親が亡くなった事を悲しみながらも、それ以上に母親を心配して泣くことが出来ません。そんな息子も、とても可哀想でした。思い切り泣かせてあげれば、それで一区切りがついたかもしれないのに、それが出来ない小さな子供の姿は、あまりにも不憫で可哀想でした。
労災ってどんな仕事場でも起こるし、デスクワークでも、突然に心臓発作とか脳梗塞などが起きる可能性もあり、誰もが、この映画の中の家族のような状態になる可能性がありますよね。仕方が無いと言われれば、確かに起こってしまう出来事かもしれませんが、会社側が少しでも対処をすれば、この確率も小さくなるのではないかと思います。良好な仕事環境を整えることが、会社側の責任ではないかという事を描いていて、考えさせられる映画でした。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。あまり派手な映画では無いし、観ていて凄く盛り上がるとか、そういう映画ではありませんが、労災は家族を非常に悲しませるという事が描かれていて、良い映画だと思いました。日本公開は決まっていませんが、これも人気が出る内容ではないので公開はどうかなぁ。でも、良い内容なんですけどね。もし、観る機会があったら、ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんでくださいね。
イタリア映画祭2019 http://www.asahi.com/italia/2019/
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