イタリア映画祭2019「私の娘よ」を観てきました。4作目です。
ストーリーは、
育ての母と生みの母、その間で揺れ動く少女の三角関係を通して、母性や母子の絆、母親という存在について問いかけるドラマ。10歳の少女ヴィットリアは、サルデーニャ島の小さな村で彼女を深く愛するティーナと暮らしていた。ある日、ティーナとは正反対の気質の女性アンジェリカに出会い、少しずつ自分の出生の秘密に近づいていく。
というお話です。
10歳の誕生日をもうすぐ迎えるヴィットリア。優しい母ティーナと父と共にサルデーニャで暮らしていた。ある日、暴れ馬に乗るイベントに行くと、影で男とヤッている女性を見てしまう。実は、その女が自分の母親とは気が付かない。
ヴィットリアの本当の母親は、近所に住むアンジェリカであり、妊娠して島に戻って困っているところをティーナが助けて、生まれた子を引き取って自分の子として育てているのだった。夜ごと酒場で男を漁る若いアンジェリカは、生活が困窮し、家畜を売って島を出ていく事を決める。
ヴィットリアからアンジェリカを遠ざけていたティーナは、彼女が生母だという事を隠して娘に会わせるが、ヴィットリアは何か惹かれるものがあり、アンジェリカを一人で訪ねるようになってしまう。そして、彼女が生母だと知ってしまい、育ててくれたティーナを離れてアンジェリカから離れず、10歳のバースデーパーティを開いてヴィットリアを待っていたティーナを裏切ってしまうのだったが・・・。あとは、映画を観てくださいね。
うーん、考えさせられる映画でした。生みの親と育ての親、どちらも娘の事を思っているのは判るけど、娘のどちらかを選べとは言えませんよねぇ。育ての親のティーナは、アンジェリカの生活を助けると約束した代わりに、娘のヴィットリアには関わらないようにするという取り決めをしていたらしいのですが、一度、会ってしまうと、やっぱり本当の母子だと惹かれてしまうのかなと思いました。
ヴィットリアは何も知らないのにアンジェリカが気になってしまい、アンジェリカの方は、知らないふりをすると決めていても、娘の姿を見ると可愛くなってしまうのだろうと思いました。確かに、血のつながりはあるからそういう事もあるとは思うけど、でも、それまで育てたティーナの気持ちを考えたら、酷い話ですよね。別に、彼女だってアンジェリカから取り上げる気持ちは無かったと思いますが、やっぱり可愛がってきた娘が人の元に行ってしまうのは、悲しかったと思います。
このアンジェリカという母親が、一番質が悪いと思うのですが、酷い生活をしているんです。十分にティーナが生活の助けをしていて、自分で立ち直ろうという気持ちがあれば立ち直れたはずなのに、全くやる気が無くて、夜は酒場に行き男を漁っていて、昼も家畜の世話はしているけど、それだけじゃ生活なんて成り立たないって分かっているのに、何もしていないんです。ホント、こういう生活力の無い人間は困るよなぁと思いました。
そんな二人の母親の間に立ち、色々な思いをして、小さいながらも考えて、自分もしっかりしなくちゃと子供ながらに思ったのだと思うのですが、ヴィットリアは、しっかりした一人の人間として、二人の母親の前に立つようになって行きます。その姿が、何とも美しくて良かったです。まぁ、まだ10歳なので、もう少し、甘えさせてあげて欲しかったなと、ちょっと思いました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。ちょっと、日本で同じような映画を作ったら、違う感じになっただろうなぁと思うような展開で、面白かったです。日本公開は決まっていませんが、これは、もしかしたら公開があるかなぁと期待をしています。楽しめました。もし、観る機会があったら、ぜひ、観てみてください。
ぜひ、楽しんでくださいね。
イタリア映画祭2019 http://www.asahi.com/italia/2019/