「マイ・ブックショップ」を観てきました。
ストーリーは、
1959年イギリスのある海岸地方の町。書店が1軒もないこの町でフローレンスは戦争で亡くなった夫との夢だった書店を開業しようとする。しかし、保守的なこの町では女性の開業はまだ一般的ではなく、フローレンスの行動は住民たちに冷ややかに迎えられる。40年以上も自宅に引きこもり、ただ本を読むだけの毎日を過ごしていた老紳士・ブランディッシュと出会ったフローレンスは、ブランディッシュに支えられ、書店を軌道に乗せる。そんな中、彼女をよく思わない地元の有力者夫人が書店をつぶそうと画策していた。
というお話です。
1959年イギリス東部の海岸の小さな町に住むフローレンス。夫を戦争で亡くし途方に暮れていたのですが、夫との夢だった書店をこの町で開業しようと思い立ちます。この町には書店が1軒も無く、昔から本が好きだったフローレンスは、ある物件を見つけます。その物件は、古く歴史的な建物でしたが、誰も目をかけずに放置されていました。彼女は、その物件を購入し、本屋を開くことにします。
保守的な田舎町では、女性が店主となり店を開くなど良く思われず、住民たちは冷ややかな目で見ていました。そんな中、40年以上も自宅に引き籠って本を読むだけの毎日を過ごしていた老紳士と出会い、彼にお薦めの本を届ける事で自信を持ち始めます。そして、本屋も軌道に乗り始め、お手伝いの女の子も来てくれるようになり、喜んでいたのですが、その町の有力者の夫人が、本当は、その歴史的な家が欲しかったと言い出します。
有力者の夫人は、その建築物で小さな町の歴史館を開きたかったのに、自分が購入する前にフローレンスが買ってしまったと言い、本屋を手放すようにフローレンスに嫌がらせを始めます。銀行に手を回したり、お手伝いの女の子が未成年であることを役所に言いつけたりと、色々なことをするのですが、頑としてフローレンスは本屋を手放そうとはしません。
夫人は、とうとう政治家の甥に手を回し、歴史的な建築物は強制的に行政が取り上げることが出来るという法律を作らせ、フローレンスを追い出しにかかります。本好きな老紳士も有力者なので、フローレンスを助けようと動いてくれるのですが・・・。あとは、映画を観てくださいね。
女性が独り立ちすることを良く思わない時代に、本屋という城を作った女性のお話です。でも、辛い映画だったなぁ。フローレンスは、どこまでも正直で、真向から色々なものに立ち向かうのですが、相手が大きすぎて、腹黒すぎて、勝負になってないんです。この映画を観ると、正直者はバカを見るという言葉を本当に感じます。現実って、こういう事なんですよね。物事を知らないというのは、本当に勝負にならないんです。
この映画の時代は情報社会ではないので仕方ないと思いましたが、現代なら、情報は調べようと思えばいくらでも調べられるので、絶対に負けないぞと思いました。フローレンスは、本が好きで、上品で優しく、素敵な女性でしたが、やはり守られるべき女性だったのだと思いました。精神的には戦ったんですけどね。そんな映画の中で、本屋に手伝いに来ている女の子だけが、しっかり前を見つめ、戦う気持ちを持っていたのだと思いました。潰されるだけではなく、必ず、一矢報いてやるという感じですかね。私も、この少女と同じタイプなので、こんな時代に生まれたとしても、同じように戦ったと思うなぁ。
それにしても、本屋を開いたフローレンスのセンスは良かったですねぇ。ビル・ナイ演じる老紳士・ブランディッシュ氏に送るお薦め本として、レイ・ブラッドベリの”華氏451度”を送るんです。すると、ブランディッシュが、もっとレイ・ブラッドベリの本を送って欲しいと言うんです。うん、解かる解かる。レイ・ブラッドベリの本って、一冊読むともっと読みたくなるんですよ。私なんて、もう、何十年とレイ・ブラッドベリの本を愛読しています。色々読んで、また最初の頃に読んだ本が読みたくなるんですよねぇ。私は、”華氏451度”も良いけど、レイ・ブラッドベリは、短編良いんです。”霧笛”と”みずうみ””金の凧銀の風”が好きなんです。
話を戻して、この映画にも出てくるけど、自分と同じ考え方をしない人間を排除しようとする有力者の夫人ですが、こういう人っていますよね。良くママ友とかの集団でも同じだと思うんです。自分よりも目立ったりする人間がいると、どうしても邪魔する奴っているでしょ。私はそういうのを味わったことが無いのですが、友達の話とかを聞くと、驚くようなことを聞いたりします。気にするなと言っても本人は悩んでいて、どうしてあげようもなく話を聞くしかありません。助けてあげられれば良いのですが、関係ない人間が入っていく訳にもいかず、こういうのは、いつの世も無くならないなぁと思った次第です。
この映画、内容もさることながら、映像がとても美しいです。フローレンスの優しい人柄を表現するような温かい映像があったと思うと、嫌な夫人の冷たい雰囲気の映像もあったりして、雰囲気でもその人物たちを表していて、上手いなぁと思いました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。とても美しくて、良い映画ですが、はっきり言って、後味が良いとは言えません。単館系映画に慣れている方なら良いですが、そうでないと、え?どうして?って思うかも知れません。そういう心づもりで行ってください。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
![]() |
ブックショップ (ハーパーコリンズ・フィクション)
1,836円
Amazon |
![]() |
テムズ河の人々 (1981年) (ダウンタウン・ブックス)
1,296円
Amazon |
![]() |
華氏451度〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)
929円
Amazon |
![]() |
10月はたそがれの国 (創元SF文庫)
1,188円
Amazon |
![]() |
太陽の黄金(きん)の林檎〔新装版〕 (ハヤカワ文庫SF)
1,015円
Amazon |
![]() |
何かが道をやってくる (創元SF文庫)
864円
Amazon |