舞台「イーハトーボの劇列車」を観てきました。
ストーリーは、
22歳から35歳までの賢治の姿を4つのタイミングを題材に描く。本作の特徴は、賢治の生涯の中で描く対象をその上京に絞った点であり(本作では1918年・1921年・1926年・1931年が対象)、舞台も東京に向かう列車内と東京での滞在先のみとなっている。さらに、この「賢治伝」のパートは、実は「現世に思い残すことがありながら世を去った人々」が、来世へと向かうまでの間に演じた寸劇という構成が取り入れられている。
詩人にして童話作家、宗教家で音楽家、科学者で農業技師、土壌改良家で造園技師、教師で社会運動家。そんな肩書を持つ、しなやかで頑固な信念を持ち、夭逝(ヨウセイ)した宮沢賢治。
短い生涯でトランク一杯に挫折と希望を詰め込んで、岩手から東京に上京すること九回。
そのうち転機となった四回の上京を、あの世に旅立つ亡霊たちや自ら描いた童話の世界の住人と共に、夜汽車に揺られてダダスコダ、ダダスコダ。
行き着く先は岩手か東京か、星々が煌めく宇宙の果てか・・・。
「世界ぜんたいが幸福にならないうちは、個人の幸福はありえない。」そう信じた宮沢賢治が夢見たイーハトーボは果てしなく遠かった。
というお話です。
この舞台、良かったです。宮沢賢治の一生を、かいつまんで描いているんです。若い賢治は、沢山の人々を幸せにしたいと思って親に逆らって新しい宗教に改宗したり、思想を述べてみたりするのですが、何処まで行っても人を幸せにすることが出来ず、親に迷惑をかけることばかりになってしまうんです。それでも、きっと、自分は何か出来ると、一途に思い込んで、東京へ行って、なんだかんだ、色々な事をしてみるのですが、何処まで行っても、ダメなんですよねぇ。
で、その転機になる時に、必ず、電車の車掌さんがやって来て、賢治に、”誰々さんの思い残し切符です。”と切符を一枚づつ置いて行くんです。それが何なのかわからないのですが、段々と、若くして亡くなって、思い残しがある人からの願いなんだろうなぁと思えて来るんです。
普通の電車に乗っているのですが、何故か、それが銀河鉄道のようで、どこかにジョバンニが乗っているかなぁなんて思えるような感じでした。電車の揺れる音は、役者さんが声でガタンガタンと表現したり、色々な音を声で表現するところが、とても面白いと思いました。そして、いつも舞台のどこかに、電車の乗客がいるような気持ちになる演出で、賢治の一生は、ずーっと銀河鉄道に乗っていたのかもしれないななんて思ってしまいました。
雰囲気が、つげ義春の「ゲンセンカン主人」で描かれているような空気感があり、私は、とっても素敵だなぁと思って、好きになりました。内容
も、宮沢賢治が考えたり、感じていたりしたであろう雰囲気が伝わる様になっていて、何とも良かったです。私、この舞台、とても好きでした。
松田龍平さんが賢治を演じているのですが、彼は凄く賢治っぽいですね。朴訥とした感じが、何とも賢治っぽくて、私が考える一番の賢治だと思いました。
私は、この舞台、超!お薦めしたいと思います。今も、上演中ですので、もし、チケットが手に入るようでしたら、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
こまつ座「イーハトーボの劇列車」
https://enterstage.jp/db-drama/2018/010681.html
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