「サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所」の試写会に行ってきました。cocoさんのご招待でした。
ストーリーは、
「美しくなりたい」という思いを抑えられずにいる青年ユリシーズは、ある夜、ストリートで出会ったトランスジェンダーのグループに「サタデーナイト・チャーチ」に誘われる。そこは静かで厳格な昼間の教会とは異なり、ダンスや音楽を楽しみながら、同じ境遇の仲間と語らう場として開放されていた。ユリシーズは、その自由な雰囲気に魅了され、少しずつ自分を解放してゆくが、ある日、隠していたハイヒールが家族に見つかってしまい・・・。
というお話です。
父親を亡くし、悲しんでいる家族。長男のユリシーズは、まだ父親を恋しがっていたが、仕方が無い。母親が働きに出なければならず、まだ小学生の弟と二人、頑張らなければならない。実は、ユリシーズは、男としてではなく、女として生きたいと思っていたが、両親にハイヒールを履くのを禁止され、面倒を見に来ている叔母には男らしくしなさいと咎められていた。
しかし、思春期に入り、自分の女性としての気持ちを抑えきれなくなってきたユリシーズは、ひとり、ドラグァクイーンなどがたむろする桟橋などに出かけて行き、そっと彼らを観察するようになっていく。そんなユリシーズに気が付いたエボニーは、ユリシーズに声をかけて、一緒に”サタデーナイト・チャーチに行く?”と誘ってくれる。サタデーナイト・チャーチとは、LGBTの人々が集まり、それぞれに楽しむ所だった。
ユリシーズは、やっと自分の心を解放出来る場所を見つけ、トランスジェンダーの彼らと一緒に、食事をし、話をし、夜を楽しんだ。毎週、そこで出会う人々に触れて、自分が間違った事をしようとしている訳では無いと感じたユリシーズは、自分で自分のハイヒールを買い、履いてみようと試みる。しかし、そのハイヒールを隠している場所を叔母に見つかってしまい・・・。後は、映画を観て下さいね。
黒人家族に生まれ、ニューヨークのブロンクスという街に住むユリシーズは、土地柄もあり、トランスジェンダーだなんて許されないような環境に育ってきました。でも、彼は昔から女性になりたいと思っていて、父親に構って貰っていた時は抑えられていたのですが、父親が亡くなり、そのタガが外れたように、女性への憧れを増していきます。
コッソリと母親の化粧品を使ったり、ストッキングを履いたり、靴を履いたりと、抑えられないのですが、弟は気味悪がって母親に言いつけ、叔母は強い口調でユリシーズに男らしくしろと命令します。気持ちと現実とのギャップに、もう、どうしようもなくなり、サタデーナイト・チャーチ(土曜日の教会)に逃げ込むんです。彼らと居る時だけが、ユリシーズが生きていると感じられる時間なんです。
家では普通にしていようと思っているのですが、どうしても段々と本当の自分が出てきてしまい、上手く行かなくなって行くんですよ。うーん、これ、もしサタデーナイト・チャーチが無かったら、ユリシーズの心は壊れていたかも知れません。それくらい、追い詰められているように感じました。だって、誰からも自分が認められないんですから。
出会ったトランスジェンダーの友人たちは、ユリシーズの様子は、自分たちが、一度通った道なので、静かに見守っています。上手く、家族と解り合えれば良いのですが、ほとんどの人は、家族に拒否され、一人孤独に生活をしているので、ユリシーズが家族に拒否されたら、助けようと見守っているんです。そんな周りの優しさも、とっても心に沁みてきました。
本当の自分をいつまでも否定されていたら、本当に苦しいですよね。解かってくれる友人たちも大切ですが、出来れば、家族に理解して欲しいと思うのは当たり前です。家族に拒否されるほど、苦しい事は無いんですから。そんなユリシーズの姿を、優しい映像で描いている映画でした。何だか、とっても優しい映画なんです。そりゃ、辛い部分もありますよ。辛い内容を描きながらも、温かい気持ちも描いていて、本当の自分の姿を受け入れて欲しいという願いが伝わってきました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。難しい現実を描いているのですが、それでも、自分を理解して欲しいと願う青年の姿を描いていて、それを見守る周りも暖かくて、良い映画でした。いつまでも、男とか女とか、白黒つけるんじゃなくて、色々な人々がいて、それが人間なんだと思うことが、大切なんじゃないかなと思わせてくれる映画でした。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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