舞台「出口なし」を観てきました。
ストーリーは、
あの世で一室に閉じ込められた死者、ガルサン、イネス、エステル。
ガルサンは徴兵忌避の罪で銃殺され、
イネスは同性愛の相手とガス心中し
エステルは嬰児殺しを犯し、肺炎で死んだのだった。
イネスは同性愛の相手とガス心中し
エステルは嬰児殺しを犯し、肺炎で死んだのだった。
わけありの過去を語り合いながらも、理解し合えない彼らは、
死ぬこともできず、出口のない密室でお互いを苦しめあう。
というお話です。
少し前に、大竹しのぶさん、段田安則さん、多部未華子さんの3人で演じられた舞台も観たのですが、今回は、同じサルトルの題材を、首藤康之さん、秋山菜津子さん、中村恩恵さんの3人で、ダンスと演技のコラボ舞台として作られました。
とにかく首藤さんのガルサンの色気が凄いんです。最初に白井さん演じる案内人に案内されて入ってくるのですが、地獄に落ちた天使のようで、清く美しい人物に見えるんです。そして、彼は、個々が地獄なのかと聞くのですが、もちろん案内人は答えません。ま、地獄なんですけどね。
そんな美しいガルサンの後に、同性愛者の強い女性のイネスと、ドロドロした女の欲望を纏わせたエステルが入ってきます。エステルは、ガルサンを欲望のはけ口としようとし誘惑をします。イネスはエステルを手に入れたくて、ガルサンに冷たい言葉を叩きつけます。
密室に閉じ込められた3人は、一人になりたいと思ってもなれずに苦しみますが、お互いに関心を持たないようにすると、今度は心配になってしまい、関わろうとする。人間の無様な様子が描かれていて、とても面白い作品なんです。これこそが地獄というお話なんですよ。サルトルって凄いよなぁ。
ダンスと演技のコラボは、素晴らしかったです。こういうのを言葉で表そうとするのは無理ですね。言葉には表現が出来ません。独特の世界に引き込まれて、まるで、同じ水槽の中に落とされたような、そんな感覚が味わえる舞台でした。世界観に飲まれて、トランス状態っぽくなるんです。ステキでした。
今回の舞台は、既に終わっていますが、ダンスと演技のコラボという舞台、またあったら、観てみたいと思いました。やっぱり、美しいものを観ると、気持ちが穏やかになりますね。
こんな企画があったら、ぜひ、行ってみて下さいね。
KAAT 「出口なし」