「十二人の死にたい子どもたち」密室劇の金字塔ベースの脚本はやっぱり面白い。12人~と言えばねぇ。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「十二人の死にたい子どもたち」を観てきました。

 

ストーリーは、

閉鎖された病院を舞台に、それぞれの理由で安楽死をするため集まった12人の少年少女が、そこにいるはずがない13人目の少年の死体を見つけたことから始まる犯人捜しと、その過程で少年少女たちの死にたい理由が徐々に明らかになっていくことで、変化していく人間関係や心理を描いた。

というお話です。

 

 

ある廃病院に入って行く高校生くらいの少年がいる。メールを確認しながら裏口へ向かい、ドアのロックを開けて、メールに書かれた指示通りに、金庫から番号を受取り、地下の部屋へ向かっていく。その後を追うように、ゴスロリの少女や黒ずくめの少女、金髪の少年少女、そして帽子にマスクをした少女が入って行く。

 

ノブオが地下へエレベーターで下りようとするが、6階でエレベーターが止まっているらしく、いつまで経ってもエレベーターは下りてこない。これはダメだと考えている所へ、セイゴがやってくる。二人は、エレベーターを下ろす為に、二人で6階へ上がって行くと、2基のエレベーターに椅子がかましてあった。そして、6階から屋上へ出てみると、そこにタカヒロがいる。地下へ下りる前に空を見に来たようで、3人一緒に地下へ下りて、目的の部屋へ向かう。

 

 

部屋には12人の人間が集まる様にセットされており、そこに集まったのは、自殺志望の少年少女だった。彼らは、それぞれ訳アリで死にたいと思っており、一緒に自殺をする事を選んだのだった。何故か、既に1番のベッドに一人寝ており、既に息が無いようだ。先に死んだのかと思い、彼を入れて12人そろったので話し合いを始めようとすると、そこへ、サトシという主催者が現れる。12人と言っていたのに、1人寝ているので13人になってしまった。そして、既に1人は死んでいる。これは殺人ではないのかと考えた彼らは、犯人がこの中にいるはずだと考え、犯人捜しを始める。何故なら、彼らは集団自殺がしたいのであって、殺人事件の犠牲者を混ぜる訳にはいかないのだ。

 

 

親が警察だというシンジロウが推理を話し始める。彼を疑う人間に、シンジロウは、自分が病気で余命が少ないことを話し、自分は犯人では無い事を話す。そして、シンジロウの推理を実証する為に、彼らは分かれて動き始める。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

この映画、私はとても面白いと思いました。これ、本当は舞台でやったら、もっと面白かったでしょうね。映画を観る人って想像することに慣れてないから、彼らがセリフで説明している過去などを、分かり易く映像で説明してくれないと、そんなに面白いと思わないかもしれません。私は舞台で慣れているので、セリフでの説明で想像して、その世界に入るというのが、とても楽しめました。この12人、全員が死にたいような過去を持っているんです。大きい小さいにかかわらず、彼らにとっては、非常に辛い事なんです。

 

 

その中でも、病気で余命が少ないシンジロウは可哀相だなぁと思いました。辛くて死にたくなるような治療も多いだろうから、解かるなぁと思いました。

 

親に虐待されていた、又は、虐待されている子たちが可哀想だなと思いました。親がトンデモナイ人間で、その親に復讐する為に自殺を望む子がいるんです。その中に一人、ファザコンで、父親の会社が倒産しそうなので自分の保険金で助けたいというメイコという少女がいるのですが、話を聞いていると、どう考えても、それも精神的虐待の果てにメイコの考え方がおかしくなってしまっているというのが解るんです。彼女自信は、父親が大好きで、父親の為なら死んでも良いと考えたのだろうけど、どう考えても、父親がメイコを追い詰めたとしか思えないんです。酷い虐待でしょ。許せないと思いました。

 

 

全員の事を書いてしまうと、マジなネタバレになってしまうので書きませんが、高校生の頃って、ちょっとしたことでも死に結び付けてしまうことってあるんですよね。ああー、死んじゃえば楽になれるなって思いますよ。もちろん私だってそんな頃があったし、でも死ななかったから、今、オバサンになっているんだけどね。高校生の頃って視野が狭いから、少しの事でも悩んでしまうのよ。そんな時に、親とか年配者が力になるべきだと思うんだけど、何故に助けられないのかな。

 

虐めにあって逃げられないと悩んで死のうと思っているようなら、転校させたり、家で勉強させたり、いくらでも対処方はあるでしょ。通り一辺倒に、学校に行けとか先生に訴えるとか、無駄だからね。どうしても行かせたいならボディーガードでもつけてやれば良いの。学校にも文句を言わせなきゃいいのよ。人の命がかかってんだから。そうでなきゃ、家で勉強すれば良いの。自分の身を護ることしか考えない教師たちを当てにすんなっつーの。文部科学省が、虐めを見つけて対処したら報奨金を出すとか昇給するとかすれば、能無し教師も必死になって虐めを探すんじゃないの?ご褒美大好きだもんね。

 

 

なんたって、12人もいるから、本当に内容が深いんです。でもね、それが病院の中で、セリフ劇で進んで行くから、舞台などの慣れていない人は、あまり理解が出来ないだろうなぁ。12人の俳優さんたちも凄く上手いんですけど、その上手さが、想像力の無い人達には伝わらないんです。本当に勿体ない。面白くて良い脚本なんですけどねぇ。もちろん、演出も良かったです。推理をして、それを暴いていく過程で、個々の個人の過去も現れていくから、2方向で楽しめるんです。だけど、個々の話になった時は、頭の片隅に殺人の問題を覚えていく必要があるので、2方向理解が出来ないと、置いてけぼりになるかもしれません。

 

 

うーん、この映画の面白さを伝えるのは難しいなぁ。これ賛否が分かれると思うんです。ただ、映画を観る人と、想像して観る人と、全く楽しみ方が変わってしまうので、出来れば、普段はそのまま映画をストレートで見る人も、この映画ばかりは、想像して頭の中に彼らの過去を描いて欲しいんですよねぇ。そうすると殺人の事件と、ピッタリはまって行くと思うんですけど。

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。私は、好きです。元々、冲方丁さんの小説が好きなので、この映画も楽しめました。堤監督も上手いしねぇ。でも、今回は、堤監督のお遊び部分が無かったので、ちょっと寂しかったかな。と言う訳で、ちょっと、今までとは違って、想像しながら舞台劇を観ているような感覚で映画を観て欲しいです。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

P.S : ”12人の~”というのは、1954年頃の密室劇の金字塔と言われる有名な法廷劇サスペンスドラマから来ています。映画、ドラマと、何作も作られ、日本でも三谷監督が”12人の優しい日本人”という映画を撮っています。「物語は脚本が面白ければ場所など関係無い」という事を体現させた作品と言われています。この作品も、それがベースとなっているので、基本的な進み方は変えていません。

 

 

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