「ミスター・ガラス」を観てきました。
ストーリーは、
フィラデルフィアのとある施設に、それぞれ特殊な能力を持つ3人の男が集められる。不死身の肉体と悪を感知する力を持つデヴィッド、24人もの人格を持つ多重人格者ケヴィン、驚くべきIQの高さと生涯で94回も骨折した壊れやすい肉体を持つミスター・ガラス。彼らの共通点は、自分が人間を超える存在だと信じていること。精神科医ステイプルは、すべて彼らの妄想であることを証明するべく、禁断の研究に手を染めるが・・・。
というお話です。
十数年前、列車事故でただ一人生き残った男デヴィッドは、その時に覚醒した不死身の肉体と悪を感知する力で街の悪人に制裁を加えていた。そんな時、女性を連続で誘拐する事件が発生し、その犯人を捜し始める。
犯人は、24もの人格を持つ多重人格者のケヴィン。女性を誘拐し、以前と同じように楽しんでいた。工場跡地に女性たちを監禁し、その近所をうろついていた所にデヴィッドが現れ、ケヴィンの犯行を感知する。そして女性たちを逃がそうとするが、そこへ出かけていたケヴィンが戻ってきて、デヴィッドとの戦いとなってしまう。そこへ駆けつけた精神科医のステイプルは、ケヴィンとデヴィッドを拘束し、自分の病院へ収容してしまう。そこは精神病院であり、既にそこにはミスターガラスと呼ばれているイライジャが収容されていました。
ステイプル博士の前に特殊能力を持つ3人が並べられ、自分は特殊な能力を有していると思っているのかとの質問をしつこく受け、その後、それぞれの個室に入れられ、彼らが弱るように弱点を張り巡らされて監禁されます。そんな中で、ミスターガラスは周りを欺き、そこから抜け出せるように策を練ります。
ケヴィンも巻き込み、その上、デヴィットも挑発して、自力で抜け出せるように誘導をします。3人が精神病院を抜け出し、外で相対することになります。そこへ、ミスターガラスの母親、デヴィッドの息子、そしてケヴィンの痛みを理解出来る女性・ケイシーが現れます。実は、それもミスターガラスが予定した通りでした。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
「アンブレイカブル」と「スプリット」の続編となる「ミスターガラス」は、前作を観ていないと、ちょっと解り難いと思いました。前作の説明をしてくれないので、この映画だけ観ても、何でデヴィッドがヒーローの力を得たのか、何でケヴィンは誘拐をしているのかということが解からないと思うんです。なので、出来れば前作を観てから、この映画を観て下さい。ケヴィンの24の人格と言われても、前作を観ていないと誰が誰だか判らないですもん。
面白いのですが、ミスターガラスがそこまでしてヒーローを認めさせる意味が分からないと思ってしまいました。ミスターガラスは、何処までもヒーローを求めていて、その天才的な頭脳を全て使って、ヒーローを生み出そうとするんです。アンブレイカブルでもそうだったけど、自分が悪役になってまで、ヒーローを生み出す必要性ってあるの?って思ったのですが、最期の最後まで見て、彼がこだわった理由が、少し理解出来たような気がしました。
ヒーローを認めない世の中を作っている社会って、安定していて良いのかなぁ。ヒーローと言っても、誰かには正義だけど、誰かにとっては悪になっているかも知れませんよね。だから、どちらかに加担してしまうヒーローは必要無くて、普通の人間同士で解決していくのが一番なのかもしれません。ですが、やっぱり犯罪は解決して欲しいよね。誘拐とか、強盗とか、それは解決して欲しいと私は思います。もし、犯人が沢山の子供を抱えて生活に困って起こした犯罪だったとしても、それは犯罪だから、罪を償って貰っても良いですよね。
それにしても、ここまでしてヒーローを作りたい、広めたいと思っているミスターガラスは、何だか不思議なキャラクターでした。今回は、彼こそが、最終的なヒーローだったのかなと思えました。ボロボロでしたけどね。
それにしても、このステイプル博士、最初から胡散臭かったなぁ。どう考えても、コイツが一番悪い奴っぽいと思っていたんだけど、この終わり方だと、そうとも言えないのかな。彼らには彼らなりの言い分があって、それで活動をしていたのだろうから、全てが間違っていた訳では無いと思うんです。でも、もう少し、この3人に対しては、やり方があったんじゃないかしら。このやり方だと、ステイプル博士がショッカーの死神博士的になっちゃうよ。彼らのコンセプトを3人に提示して、理解を求めれば良かったと思ったのは私だけなのだろうか。
シャマラン監督は、どうしてもヒーローを孤独にさせたいようで、群れさせないようにしたように思えました。アベンジャーズやジャスティスリーグみたいに、集まっちゃえば良いのになぁ。でも、ヒーローが集まると、ちょっとウザいのよね。特に正統派のヒーローは、理屈が多いから、面倒なのよ。適当にヤッちゃってていう事は出来なさそうですもんね。
結局、ミスターガラスがアンブレイカブルで示した、悪人がいるからヒーローが必要となるという考え方は、今回で否定されたのかなと思いました。悪人がいなくても、ヒーローは、実はいるんです。そういう力を持っている人々はいるんだけど、表には出てこない。それが良いとされてきたのだと思います。そして、今回、ミスターガラスの行動によって、世界が変わって行くのかなと思わせる映画でした。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。私は、シャマラン監督のこだわった内容の映画、好きですよ。面倒臭いけど考えさせられて、楽しめました。私、映画を思い返しながら感想を書いていて、書いている途中でも考え方が変わって行くような、そんな多様性が感じられる内容の映画でした。観る度に観点が変わる映画って感じかしら。ぜひ観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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