「長いお別れ」を観てきました。原作は、レイモンド・チャンドラーの小説では無く、中島京子さんの小説です。
ストーリーは、
父・昇平の70歳の誕生日で久しぶりに集まった娘たちは、厳格な父が認知症になったという事実を告げられる。日に日に記憶を失い、父でも夫でもなくなっていく昇平の様子に戸惑いながらも、そんな昇平と向き合うことで、おのおのが自分自身を見つめなおしていく。そんな中、家族の誰もが忘れていた思い出が、昇平の中で息づいていることがわかり・・・。
というお話です。
父・昇平の70歳の誕生日に久しぶりに集まった娘2人は、厳格な父が認知症のようだという事実を告げられる。昇平は、元中学校校長であり、とても真面目で曲がった事が嫌いという性格だった。そんな父が、認知症になるとは。ショックを受ける2人だったが、今すぐにどうなるでもないので、様子を見ることにする。
長女の麻里は、夫の転勤でアメリカに暮らしており、言葉も分からず、子供の教育にも行き詰って、苦労をしていた。夫は、仕事中心の生活であり、麻里に全くかまってくれない。麻里の不満は限界だったが、そこへ父の認知症のという問題が起き、悩みは増えるばかりだった。
次女の芙美は、カフェを開く夢を叶えるために、ワゴン車を購入して、ランチの移動販売をすることにする。最初は、順調に行くと思っていたのだが、そう簡単にお客は付かず、苦労をしていた。そんな時、実家の近くで、中学時代の同級生・磐田に会い話をしていると、最近離婚を下らしい事を聞く。
そんな娘の現状の中に、昇平の認知症が入ってきて、母親一人では手に負えなくなり、娘を呼ぶことも増えてくる。徘徊をしたり、お漏らしをしたり、万引きをしてしまったり、驚くようなことが色々起こり、戸惑う家族だったが、家族で支えていく事に。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
家族が認知症になり、段々と進行して行く姿が、細かく、良く描かれていて、これを面白い映画と言って良いのか悩みます。良く出来ている映画でした。最近は、ちょっとの事でも、不謹慎だとか言われちゃうから、認知症になる映画で面白いと言うと、怒られそう。でもね、良く観察されていて、家族が認知症になったら、こんな風なんだろうと想像が出来ました。
真面目な人であればある程、脳が柔軟に対処出来ないから、認知症になりやすいのかも知れませんね。何でも適当に誤魔化せる人なら、なり難いかも知れないから、私は、何でも適当に出来るように頭を切り替えようっと。
でも、認知症になったお父さん、可愛かったです。もちろん世話をするのは大変そうだったけど、お母さんの手を握って、2度目のプロポーズをしたりして、幸せそうな風景もあるんです。時々、全てを理解しているようにしっかりした口調になって、マトモな事を言ったりするのも、面白いと思いました。でも、本当にこんな感じなのでしょうね。私は、認知症の方にほとんど関わったことが無いので、分からないんです。でも、これから両親がなるかも知れないし、自分も夫もなるかも知れない。他人事ではないんですよね。
話としては、ゆっくりと進んでいく父親の認知症を見ながら、家族はそれぞれの生活を立て直し、家族の大切さを認識していくという、何とも温かい内容でした。私、この「長いお別れ」という題名で、レイモンド・チャンドラーの方を思い出してしまって、頭の中を切り替えるのに、少し時間がかかりました。でも、良い映画でしたよ。
娘二人も良かったのですが、母親役の松原智恵子さん、美しいですね。これで70歳を過ぎているとは思えませんでした。上品で透明感があって、大好きな女優さんです。素敵ですよねぇ。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。そんなに明るく、面白い映画ですとは言えないけど、考えさせられる映画でした。認知症になると、こんな風に変わって行くんだという事が、結構、詳細に描かれていて、直ぐに何も分からなくなる訳じゃないという事を知りました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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