「この道」を観てきました。
ストーリーは、
天賦の才を持ちながら、酒におぼれ、隣家の人妻に手を出して姦通罪で入獄するなど、自由奔放な天才詩人・北原白秋。ドイツ留学を経て、日本初の交響楽団を結成した生まじめな性格の秀才音楽家・山田耕筰。児童文学誌「赤い鳥」を発刊した鈴木三重吉は「日本の子どもたちに、日本人による童謡を創ろう」と、性格も生き方も異なるこの2人に童謡創作の白羽の矢を立てる。2人は才能がぶつかりあいながらも、関東大震災の被害で意気消沈する子どもたちを元気づけるため、数々の童謡を世に送り出す。しかし、時勢は戦時下へと突入し、2人は子どもたちを戦場へ送り出すための軍歌を作ることを命ぜられてしまう。
というお話です。
昭和27年(1952年)、神奈川県小田原市で、「北原白秋 没後十周年記念コンサート」が開かれ、白秋が作詩した童謡「この道」が、少女合唱隊とオーケストラによって演奏される。指揮をするのは、この曲を作曲した山田耕筰。コンサート終了後、女性記者から白秋がどんな人物だったのか尋ねられ、耕筰は人物に関しては語らないと決めていると言うのだが、彼女の根気強い説得により、二人の出会いと交流を回想し、話し始める。
天才と言われ、与謝野夫妻に可愛がられていた北原白秋だったが、女と酒が大好きで、隣人の美しい妻に手を出して、姦通罪で逮捕されてしまう。与謝野鉄幹が保釈金を出し、保釈されて来た白秋だったが、隣人の妻・俊子が好きで、周りの人々の手を借りて、とうとう俊子と結婚までこぎつけるのだが、奔放な俊子は、しばらくすると、白秋の元から去ってしまう。
彼女が居なくなり落ち込む白秋だったが、大正7年(1918年)に鈴木三重吉が「赤い鳥」を創刊。鈴木に協力を頼まれた白秋は、この児童文芸誌にさまざまな童謡を発表し、新境地を切り開いた。三重吉の仲介で山田耕筰と出会った白秋は、一度はけんか別れしたが、大正12年(1923年)の関東大震災後、「僕の音楽と君の詩とで、傷ついた人々の心を癒やす歌がきっとできるはずだ」という耕筰の言葉で、二人は意気投合する。
大正14年(1925年)、日本初のラジオ放送で、白秋作詩、耕筰作曲の「からたちの花」が演奏された。「からたちの花」に続いて発表された「この道」も大評判となり、白秋、耕筰コンビの人気はますます高まった。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
北原白秋という人物を、童謡の作曲をしていた山田耕筰の目を通して、描いていくという映画でした。北原白秋という人物を童謡を聞いたイメージだけで想像していたのですが、本当の人物は、全く違いました。あんなに優しい詩を書く人だから、穏やかそうな優しい人物かと思いきや、全然、正反対で、酒を飲んで暴れるし、女性にだらしないし、ゲス?という感じの人で、笑ってしまいました。山田耕筰の方が、白秋っぽい感じがしてしまいましたよ。
与謝野晶子や石川啄木、室生犀星、高村光太郎など、文学の有名人が顔をそろえていて、みんな、白秋と同期だったのかと思うと驚きます。どうして、こう、同じ時代に凄い人が揃うのかしら。天才って、時々、出てきそうだけど、こんな風に、一気に集まって、みんなが天才って凄いと思いませんか。何か、時代が変わる時って、天才が一気に現れたりするのかしら。今も、スポーツ界に天才が一気に出てきているような気がするので、そういう時期ってあるのかなぁ。
彼らの生きた時代は、段々と戦争の影が迫って来て、結局、彼らも戦争に飲み込まれて行くんですけど、可哀想でした。好きな事を続けようとすると、どうしても戦争に関わっていかないと続けていけないという制約みたいのが出てきたりするんです。山田さんも、軍関係の歌を作ったりしなければならなかったし、軍服を着なければならなかったりと、思い通りに行かないことが辛そうでした。
それにしても、白秋さんって、隣の奥さんと不倫って、まぁ、ありそうだけど、身近に居た人で調達したっぽくて、イヤですねぇ。そういう、とりあえず的な感じで相手を見つけるって、いい加減な人っぽいなぁ。まぁ、いい加減だからこそ、浮いているような詩が考え付くのかも知れませんね。
白秋役の大森さんは、独自の白秋を活き活きと描いていて、やっぱり上手いなぁと思いました。山田役のAKIRAさんも、昔より上手くなりましたね。静かな演技も十分に間を持たせて演じていて、良かったと思いました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。良い映画ではありますが、ちょっと、途中でウトウトしてしまいました。進み具合がゆっくりなのに、突然に時代が飛ぶので、一瞬、あれ?今はいつ?って時がありました。若い方よりも、年配の方向けの映画かなと思います。
今時、「からたちの花」の歌とか、若い方はあまり知らないですもんね。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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