「チワワちゃん」の試写会に連れて行って貰いました。
ストーリーは、
ある若者グループのマスコット的存在で「チワワ」と呼ばれていた女性が、バラバラ遺体となって東京湾で発見される。チワワの元彼や親友など残された仲間たちは、それぞれがチワワとの思い出を語り出すが、そこで明らかになったのは、チワワの本名も境遇を誰も知らないまま、毎日バカ騒ぎをしていたということだった。
というお話です。
この映画、面白かったなぁ。良く出来ていました。原作は読んでいないのですが、これは、原作が読みたくなりますね。凄く魅力的な作品に仕上がっていて、私は、とても気に入りました。若者ウケを気にして、パーティー場面を沢山連ねて、音楽をガンガン入れてという作品は多いのですが、この作品は違いました。騒がしく楽しそうなパーティーは上辺だけの表情で、キャラクターそれぞれの性格や気持ちなどが丁寧に描かれていて、それぞれのキャラに感情移入が出来るんです。
そしてテンポ良く、チワワという女性の半生を描きながらも、それぞれの人物が見ていた”チワワ”の違う姿をコラージュしていくので、どの姿が本当のチワワなのか、誰が知っているのが真実なのか、判らなくなって行くんです。でも、今となっては、チワワがいなくなってしまったので、分からないんです。
ハッキリ言ってチワワの顛末は、田舎から出てきて、ちょっとチヤホヤされていい気になってしまい、持ち上げられて、イイように使われて、どん底まで落ちて行ってしまう、頭の悪い女の典型的なストーリーです。だけど、この描き方をされると、本当に彼女が輝いていて、良い子だったんだろうなぁと思えてしまうから不思議ですよね。
一人の女性が目の前に現れ、あっと言う間に”トウキョウ”という世界に飲み込まれて、揉まれて、吐き出され、忘れ去られて行くという姿を、こんなに美しく、まるで一夜の夢のように描き出していて、本当に良かったです。原作をまだ読んでいないのですが、岡崎京子先生の漫画がそのまま映像になったような空気感を醸し出す映像でした。
学生時代って、何をやっていても楽しくて、自分がこの先、何処に行くのかなんて、全然、考えもしていなかった。お金があれば、あるだけ使ってしまうし、どこで雑魚寝をしていても何も気にしなかった。直ぐに友達になって、その友達の本名なんてどーでも良かったし、凄く仲良くしていても、突然に、もう二度と会わなくなってしまう。そんな事が日常的に続き、その頃の空気感と触感のみは憶えていても、顔も名前も思い出せない。そんな時代でした。だから、この映画を観ていて、とっても懐かしい気持ちになりました。あの頃なら、600万のバッグをかっさらって、渋谷の街を疾走しても、遊びにしか思わなかっただろうなって思っちゃいました。
そんな誰もが一度は経験してきた、若い頃のめちゃくちゃでどーでもいいような生活の一時を切り取った様な映画です。輝いていて、騒がしくて、楽しくて、後から思い出すと、とっても懐かしくて、ちょっと哀しい思い出をこの映画の中に観る事が出来ました。
チワワちゃんを取り巻く人物には、若手の実力派が揃っていて、上手かったなぁ。本当に最近の若い役者さんは、上手くて驚いちゃいます。全員が主役を張れる人でした。監督がいらしたのでサインを頂きましたら、まだお若くて、20代後半だそうです。これからが楽しみですね。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。私は、この映画、大好きです。また観に行こうと思っています。これは、若い人にも年配の人にも、心に響くんじゃないかな。但し、ただ表面だけを見ていても、それぞれの人物の思いの深さは読み取れないと思います。それぞれの人物に共感してみると、描かれている深さが解ります。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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