「チワワちゃん」トウキョウに飲み込まれた一人のオンナの子の真実は何処にあるのか。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「チワワちゃん」の試写会に連れて行って貰いました。

 

ストーリーは、

ある若者グループのマスコット的存在で「チワワ」と呼ばれていた女性が、バラバラ遺体となって東京湾で発見される。チワワの元彼や親友など残された仲間たちは、それぞれがチワワとの思い出を語り出すが、そこで明らかになったのは、チワワの本名も境遇を誰も知らないまま、毎日バカ騒ぎをしていたということだった。

というお話です。

 

 
ある日、東京湾バラバラ殺人事件の被害者の身元が判明した。千脇良子・20歳・看護学校生。ミキはそれが、自分の知っている“チワワちゃん”のことだとは思わなかった。
 
ミキがいつものミュージックバーで、仲間のヨシダ、カツオ、ナガイ、ユミらと飲んでいる時、ヨシダの新しいカノジョとして“チワワ”が現れた。ミキは、以前ヨシダにナンパされ、一晩だけの関係で終り、友人となってしまったヨシダのことが今でも好きだった。なのでミキは、フクザツな気持ちで二人を見ていた。その時、バーテンダーのシマから、VIP席にいる男たちのバッグの中に、政治家に届ける裏金の600万円が入っていると教えられる。皆がザワつくなか、意を決したチワワが、あっという間にバッグを奪って、走り出し、仲間たちで協力し合いながら、何とか逃げきった。
 
 
翌朝、昨夜の男たちが贈賄罪の疑いで逮捕されたというニュースが報じられ、宙に浮いた大金をめでたく頂いて、バカンスに繰り出す。毎晩が豪華なパーティと最高のお祭り騒ぎ。そして600万円をたった3日で使い切り、皆は日常に戻っていった。
 
その気分が冷めやらぬある日、チワワはインスタを始め、それがきっかけとなり人気モデルとなっていく。サカタという有名カメラマンと付き合い始めていた。やがてチワワとミキたちは住む世界も違い始めていった。
 
 
ミキは、ファッション雑誌のライターのユーコから、チワワの追悼記事の取材を受けることとなる。何となくチワワの事が気になっていたミキは、一緒につるんでいた仲間たちに会いに行き、チワワの想い出を訪ね始める。すると、仲間たちそれぞれの記憶の中には、全く違うチワワの姿がある事に気が付く。一体、チワワはどんな子だったのだろうか。後は、映画を観て下さいね。

 

この映画、面白かったなぁ。良く出来ていました。原作は読んでいないのですが、これは、原作が読みたくなりますね。凄く魅力的な作品に仕上がっていて、私は、とても気に入りました。若者ウケを気にして、パーティー場面を沢山連ねて、音楽をガンガン入れてという作品は多いのですが、この作品は違いました。騒がしく楽しそうなパーティーは上辺だけの表情で、キャラクターそれぞれの性格や気持ちなどが丁寧に描かれていて、それぞれのキャラに感情移入が出来るんです。

 

 

そしてテンポ良く、チワワという女性の半生を描きながらも、それぞれの人物が見ていた”チワワ”の違う姿をコラージュしていくので、どの姿が本当のチワワなのか、誰が知っているのが真実なのか、判らなくなって行くんです。でも、今となっては、チワワがいなくなってしまったので、分からないんです。

 

ハッキリ言ってチワワの顛末は、田舎から出てきて、ちょっとチヤホヤされていい気になってしまい、持ち上げられて、イイように使われて、どん底まで落ちて行ってしまう、頭の悪い女の典型的なストーリーです。だけど、この描き方をされると、本当に彼女が輝いていて、良い子だったんだろうなぁと思えてしまうから不思議ですよね。

 

 

一人の女性が目の前に現れ、あっと言う間に”トウキョウ”という世界に飲み込まれて、揉まれて、吐き出され、忘れ去られて行くという姿を、こんなに美しく、まるで一夜の夢のように描き出していて、本当に良かったです。原作をまだ読んでいないのですが、岡崎京子先生の漫画がそのまま映像になったような空気感を醸し出す映像でした。

 

学生時代って、何をやっていても楽しくて、自分がこの先、何処に行くのかなんて、全然、考えもしていなかった。お金があれば、あるだけ使ってしまうし、どこで雑魚寝をしていても何も気にしなかった。直ぐに友達になって、その友達の本名なんてどーでも良かったし、凄く仲良くしていても、突然に、もう二度と会わなくなってしまう。そんな事が日常的に続き、その頃の空気感と触感のみは憶えていても、顔も名前も思い出せない。そんな時代でした。だから、この映画を観ていて、とっても懐かしい気持ちになりました。あの頃なら、600万のバッグをかっさらって、渋谷の街を疾走しても、遊びにしか思わなかっただろうなって思っちゃいました。

 

 

そんな誰もが一度は経験してきた、若い頃のめちゃくちゃでどーでもいいような生活の一時を切り取った様な映画です。輝いていて、騒がしくて、楽しくて、後から思い出すと、とっても懐かしくて、ちょっと哀しい思い出をこの映画の中に観る事が出来ました。

 

チワワちゃんを取り巻く人物には、若手の実力派が揃っていて、上手かったなぁ。本当に最近の若い役者さんは、上手くて驚いちゃいます。全員が主役を張れる人でした。監督がいらしたのでサインを頂きましたら、まだお若くて、20代後半だそうです。これからが楽しみですね。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。私は、この映画、大好きです。また観に行こうと思っています。これは、若い人にも年配の人にも、心に響くんじゃないかな。但し、ただ表面だけを見ていても、それぞれの人物の思いの深さは読み取れないと思います。それぞれの人物に共感してみると、描かれている深さが解ります。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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