「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」を観てきました。
ストーリーは、
筋肉が徐々に衰える難病・筋ジストロフィーを12歳の時に発症した鹿野は、いつも王様のようなワガママぶりで周囲を振り回してばかりいたが、どこか憎めない愛される存在だった。ある日、新人ボランティアの美咲に恋心を抱いた鹿野は、ラブレターの代筆を田中に依頼する。しかし、実は美咲は田中と付き合っていて・・・。
というお話です。
1994年、筋肉が徐々に衰える難病、筋ジストロフィーを12歳の時に発病した鹿野靖明。34歳になる今では、車椅子生活で、身体で動かせる部分は首と手だけになってしまった。彼は、20歳まで生きられないと言われていたが、今も頑張っている。24時間365日、誰かの介助がなければ生きて行けない身体であり、医師には入院しろと言われているにも関わらず、全く病院に入る気は無く、市内のケア付き住宅で、自ら集めた大勢のボランティアに過去荒れ、自立生活を送っていた。
わがままで、ずうずうしくて、ほれっぽくて、よくしゃべる鹿野。彼の介護ボランティアをする医大生の田中は、今日も彼に振り回されていた。田中と合コンで知り合い付き合い始めた美咲は、田中がデートをしてくれないことに業を煮やして、彼がボランティアをしているという鹿野の家を偵察に来る。田中が本当にボランティアで振り回されている姿を見て、二股では無いことに安心した美咲だったが、鹿野に気に入られてしまい、何故か自分までボランティアをさせられることに。
いきなりのボランティアで、その日に田中との深夜介護をすることになった美咲は、夜中の2時に突然”バナナが食べたい”と言いだした鹿野のために街を駆けずり回り、バナナを手に入れてくる。ムカつく美咲だが、田中と一緒にいられると思い、ボランティアを続ける美咲だったが、鹿野の我儘に我慢出来なくなり、とうとうキレて辞めると言って帰ってしまう。
さすがにやり過ぎたと思った鹿野は、手紙を書いて謝り、美咲は戻ってくるのだが、ある美咲がついていた嘘の為に、段々と田中と美咲、そして鹿野の関係が変わって行く。そんな日々の中、鹿野の身体は弱って行き、人工呼吸器が必要なほどになってしまうのだが・・・。後は、映画を観て下さいね。
やっと観れました。フリーパスなのでいつでも観れるのですが、年末年始は映画館が混んでいるので、ちょっと空くのを待ちました。
この映画、やっぱり感動しちゃいました。またも難病ものかと思い、少し引きながら観に行ったのですが、時代が今から25年ほど前で、携帯も無く、衣服も懐かしい感じで、医療や、障がい者に関しての認識も、今とは違っていたという事が良く分かり、ああー、こういう人たちの努力で、今の障がい者介護の状況が出来たんだなぁと、まず、そこに感動しました。今は、随分と障がい者の方も外に出る様になって、施設もそれに併せるように段差を無くしたりを進めてきて、障がい者だからって、珍しいものを見るような環境では無くなりましたよね。誰もが、同じ社会で生きる人だと認識出来るようになってきた。それは、素晴らしい事だと思っています。だって、自分だって、いつ障害を持つことになるか分からないんですもんね。社会が成長してきたのかなと思い、嬉しいです。
この鹿野さん、超わがままで、マジでハーレム状態。もう、笑ってしまいました。確かに、身体が動かないんだから、あれやって、これやってと言うのは当たり前なんだけど、こんな風に言われると、このクソ男~って思っちゃう。でもね、いつも”申し訳ないけどあれやって。”とか、”悪いんだけどこれお願い。”とか言われるより、よっぽど気にしないでやってあげられるよね。いつも気を使って頼まれると、やる方も疲れてきちゃうもん。こんな風に我儘に言ってくれる方が、よっぽど気を使わないで出来るし、間違えちゃっても”あーあ、ごめんね。”って事で、先に進めるでしょ。心配しながらやってて間違えたら、それがトラウマになって、介護が怖くなってきちゃう。だから、鹿野さんって、我儘だけど、優しい人だったんだろうなって思うんです。
そんな鹿野さんに関わったボランティアは、500人もいたそうで、凄い数ですよね。でも、きっと、その500人は、凄く良い経験をさせて貰って、人生が変わったんじゃないかな。何処までが実話か分からないけど、医大生の田中と、美咲は、本当にいたのかしら。もし、こんな2人が本当にいたのなら、良いお医者さんになっただろうし、素敵な女性になっただろうなぁ。若い頃に、人の痛みを知ったなら、それは本当に良い経験になったと思う。彼らにそんな経験を与えてくれた鹿野さんって凄いよね。
それにしても、鹿野を演じた大泉さん、上手いなぁ。やっぱり、この人は人気出るよね。本当に上手いし、役への向き合い方も凄いです。痩せているけど、ちょっとムクんだ感じを出したりとかしていて、身体が動かないからこその演技というか、そういうものに徹していたと思いました。これこそ役者という感じでしたね。
そして、田中を演じた三浦さん、上手くなったなぁ。イケメンで主役級だけど、ちゃんと脇役も出来ていて、情けないダメ男も演じられるようになって、良い役者になりました。沢山の役者の中の一人になれる所が素晴らしいと思いました。バイプレイヤーとしても頑張って欲しいです。彼はきっと、使い勝手が良い役者になりますよ。
美咲を演じた高畑さんは、もうマジで上手いっす。舞台「わたしは真吾」や「エレクトラ」を観たのですが、本当に上手いです。表情も良いし、可愛いし、歌も上手い。最近の若い女優さんは凄いなぁ。特に、彼女はトップクラスですね。何をやらせてもそつなく熟せて、これからも楽しみです。もっと舞台も観たいなぁ。
他の、萩原さん、渡辺さん、宇野さん、綾戸さん、原田さん、韓さん、佐藤さんと、上手い役者さんがガッツリ組んでいて、全体を支えてブレませんでしたね。良かったです。やっぱり萩原さん、渡辺さんは上手いなぁ。大好きなお二人です。
前田監督、ここ数年、彼の映画を観ていなかったのですが、やっと復活かな。「ブタがいた教室」は良かったよなぁ。確か映画祭で観たのですが、良い作品でした。今回も、良く出来ていたと思います。ちょっと気になったのは、カット割りかしら。ちょっとした部分のアップが、ん?って思って、気になっちゃった。ほとんどは良かったけど、少しだけアップがウザいと感じた部分がありました。でも、良かったですよ。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。良かったです。本当に。ストーリーもさることながら、役者さんたちの演技が良かったと思います。障がい者を描いた映画ですが全く暗く無くて、障がい者の方に、もっと積極的に関わって行っても大丈夫って思わせてくれると思います。怖がって関わらないのではなく、失敗しても良いから関わって助けちゃおうっていう気持ちになれました。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話|映画情報のぴあ映画生活
![]() |
こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち (文春文庫 わ)
950円
Amazon |
![]() |
こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話 (文春文庫)
648円
Amazon |