舞台「No.9 -不滅の旋律-」を観てきました。
ストーリーは、
第一幕 運命
1800年、ウィーン。初の自主演奏会を成功させたルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンは”新しい時代の音楽”を作るピアノを求めていた。末弟のニコラウスを伴って訪れたのは、アンドレアスとその妻ナネッテが営むピアノ攻防。そこに同居するナネッテの妹マリアは、無遠慮で横暴なルートヴィヒに憤慨する。
帰宅したルートヴィヒを待っていたのは、すぐ下の弟カスパールと、ルートヴィヒの恋人の伯爵令嬢ヨゼフィーネ。ルートヴィヒは、彼女が連れてきた商人ヴィクトルのことは気に入ったものの、ヨゼフィーネと貴族の結婚話をしると激高。難聴が進むその耳には、亡き父ヨハンの言葉が呪いのように甦る。
4年後、ルートヴィヒの聴力を疑うマリアは、警察官フリッツの口利きで、メイドとしてベートーヴェンの家に入ることに成功する。ルートヴィヒの耳はいよいよ悪くなり、幼少期の嫌な思い出が去来する。そんな彼のもとに発明家で興行も手掛けるメルツェルが訪れ、オペラを依頼。しかしヨゼフィーネが舞い戻り、なかなか着手できない。そして1805年11月、フランス軍に占領されたウィーンで自身初のオペラ「レオノーレ」がついに初演されるが・・・。
第二幕 歓喜
1812年、ウィーン。テプリッツへの旅から戻ったルートヴィヒは、ニコラウスの計らいで、弟ガスパールの妻ヨハンナと、その息子カールに対面する。しかし、弟の結婚自体を認めていないルートヴィヒは、彼らを拒絶。そこへ父ヨハンと瓜二つの腕利き医師ステファン・ラヴィックが現れると、さらに荒れるルートヴィヒ。そんなアkれを前に、マリアはある決断をする。
ナポレオン軍の敗北を機に、ヨーロッパの政情は保守・反動体制へと逆戻りし、ウィーンも官憲が幅を利かせる街になっていた。そんな中、ルートヴィヒが発表した戦争交響曲「ウェリントンの勝利」は大いにもてはやされるが、彼の気持ちが晴れることはない。さらん、カスパールの死が追い打ちをかける・・・。
甥カールの後見人となったルートヴィヒは、カールの音楽教育に執心する。その姿に、失望の色を隠せないマリア。しかし、ある日、ルートヴィヒから譜面を見せられる。それこそ、まだ作りかけの「交響曲第9番」の楽譜だった・・・。
というお話です。
3年前の同じ舞台を観たのですが、今回、大まかな内容は変わっていないけど、細かな部分は、随分、変わっていたような気がします。まず、ルートヴィヒの女性に対しての考え方ですが、確かにヨゼフィーネに最後まで執着しているんだけど、今回は、ナネッテに対しても、マリアに対しても、一応、女性として好意を持つ場面があり、以前はのルートヴィヒは、ヨゼフィーネ以外は、同志という感じの想いが強かった様に見えたのですが、ちょっと変わったのかな。
もちろん、キャストが変わっているから、雰囲気は随分変わったと思います。一番重要なマリアが、以前は大島さんだったのですが、今回は剛力さん。以前の大島さんは、柔らかい雰囲気で、優秀な姉に憧れているような雰囲気を持っていたのですが、今回の剛力さんのマリアは、もっと何も考えていないような雰囲気で、確かに姉を尊敬してはいるけど、もっと自分というものが強かったように見えました。どちらのマリア魅力的で上手かったのですが、一つだけ。剛力さんの最初の一言目が、大きな声を出そうとするからなのか、とっても苦しそうに聞こえて、観ていて辛かったんですよねぇ。そこが、ちょっと難点でした。
ヨゼフィーネは、前回、高岡さんだったので、とても妖艶で、これなら離れられないよねって感じだったのですが、今回は、とっても正統で高潔っぽい雰囲気だったので、ルートヴィヒが苦しそうな顔をして援助するという感じが、こちらの方が合っていたのかなと思いました。愛した女を見捨てられない男。既にそれは愛では無いのに気が付かないのかなって感じです。
カールへの執着も、今回は少なかったですね。それよりも、もっとルードヴィヒの周りで起こっていた戦争に関しての場面が増えていたような気がしました。ナポレオンが勝利して、その後、ナポレオンが敗れてという歴史を、今回は、キチンと描いていたような気がします。分かり易くて良かったと思いました。
それから、ルートヴィヒが随分と荒れていましたね。前回も、こんなに荒れたかしら。父親の幻想を見て、狂ったようにもがく彼の姿は、前回
今回もありましたが、前回の方が多かったかしら。父親に翻弄されるよりも、今回は、自分の内側との戦いをしているように見えて、生きることに苦しんでいるように見えました。
稲垣さんのルートヴィヒは、本当にピッタリになっていました。あのベートーヴェンの肖像画から出てきたように見える時もあり、極めてきたなぁという感じがありありと見えて、素晴らしいと思いました。
私は、前回のルートヴィヒは孤高の天才と出会った人々たちという感じでしたが、今回は、ルートヴィヒがもっと現実に居る天才の様になっていて、以前よりも、少し地に落ちてきてくれた人間らしいルートヴィヒに見えました。とても魅力的で、素敵だと思いました。
私は、この舞台、超!お薦めしたいと思います。これはイイ作品ですよね。もっと皆さんにも観て欲しいけど、チケットを手に入れるのは、本当に困難でしょ。何とかならないのかしらね。最近、転売屋が横行していて、何とか対策をして欲しいと思ってます。チケット代が10倍とかで販売していて、酷過ぎますもん。最近は、顔認証や指紋認証等々、いろいろな認証方式が出てきているので、チケットも他人は入れないとして欲しい。いけないようなら、販売会社にリセールを頼むという方式なら良くなるかも知れませんね。何とか対策をして欲しいです。
話を戻して、この舞台、素晴らしいです。何年かに一度、再演してくれると良いですね。特に、このクリスマス時期に第九が聞けるのは嬉しいです。もし、チケットが手に入るようなら、ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「No.9 不滅の旋律」 http://www.no9-stage.com/
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