【演劇】「民衆の敵」皆さん正しいけど、皆さん間違ってるんですよねぇ。人間の心は難しい。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

舞台「民衆の敵」を観てきました。

 

ストーリーは、

 

温泉の発見に沸くノルウェー南部の港町。

 

医師のトマス・ストックマンは、その水質が汚染されている事実を突き止める。主な原因は妻カトリーネの養父モルテン・ヒールが経営する工場からの廃液にあるようだ。トマスは廃液が温泉に混ざらぬよう、兄で市長のペテルに進言するが、ペテルは汚染の事実を隠蔽するよう、トマスに促す。

 

事態を知った新聞「民衆の声」の編集長ポヴスタと記者ビリング、新聞印刷所を経営するアスラクセンは、トマスの味方となって新聞で真実を明らかにしようとするが、配管交換工事の莫大な費用が市民の税金から賄われると知ったとたん、態度をひるがえす。

 

孤立無援となったトマスを擁護するのは、教師をしている長女ペトラと妻カトリーネ、トマス家の古くからの友人であるホルステル船長ぐらいしかいない。トマスは町の人々に真実を伝えるべく、集会を開くのだが・・・。

 

後は、舞台を観て下さいね。

 

 

感想を書くのが、随分遅れてしまいました。12月に観た舞台です。

お話としては、あらすじにあるように、真実を告げようとする人が民衆の敵になってしまう。正義とはなんなのか、真実は正義ではないのか。事実を隠蔽して、もし、何か起きてしまった時は、誰が責任を取るのか。ハッキリ言って、全てが他人事であり、自分に降りかかることのみに対して文句を言うんです。

 

人間は自分たちが住む環境や、広い世界に対して責任を持つべきなのに、小さな自分の生活のみを考えている、酷いエゴイズムがここに描かれていて、ああー、良く居るよねぇとか思っちゃいました。

 

でもね、ここで思ったのですが、本当は、どっちが正しいのかな?確かに、世界の事を考えなくちゃいけないけど、世界の為に、自分が犠牲になっていいのかというと、それも違う気がしますよね。人間、一人一人が幸せでないと、世界は幸せになる訳が無いのだから、自分が不幸だったら、世界に憎しみをまき散らすから、世界も不幸ですよね。

 

例えば、水質汚染を改善する為に多額の税金をつぎ込み、住民から取る税金が凄く高くなったとするでしょ。住民は、生活が苦しくて、食べる物も食べられず、飢えるほどになってしまったら、温泉への憎しみが大きくなって、温泉に毒を入れちゃうかもしれない。人が不幸だと、何をしても、幸せにはなれないと思うんです。

 

 

トマスの言う事は、確かに正しいかもしれないけど、住民達が不幸になる選択なら、少し考える余地が必要だったんじゃないかな。もちろん、水質改善は必要だろうけど、ストレートに公表して改善するのではなく、何か対策を考えるべきだったのだと思いました。学者って、頭は良いけど、人の心を読み取る才能は全く無いのよね。水質が悪いなら、汚染物質を出す工場を止めて、汚染物質を中和する薬品を考えるとか、他から水を引いてきて薄めてみるとか、やれる事はいくらでもあると思うんだけどね。

 

沢山の人々が住む町で、誰もが正義を訴えて、誰もが正義では無くなっているというのが、良く描かれていて、良かったです。

 

イプセンの作品を、英国などで演出をされていたジョナサン・マンビィさんの演出で、舞台化されました。とっても良かったし、やっぱり外国の作品を、外国の方の演出で観ると、また、何となく違って、良いんです。何となく、舞台の空気感が違って、好きでした。

 

 

私は、この作品、お薦めしたいと思います。でも、既に終わってしまったので、もし、またこの作品が上演されるようでしたら、ぜひ観に行ってみて下さい。やっぱり、イプセンの作品は面白いし、考えさせられます。

ぜひ、楽しんでくださいね。カメ

 

 

民衆の敵 シアターコクーン

http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/18_people/

 

 

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