「DAY AND NIGHT デイアンドナイト」善でも悪でも、自分が信じるものの為が正解です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「DAY AND NIGHT  デイアンドナイト」の完成披露試写会に連れて行って貰いました。

 

ストーリーは、

明石幸次は父の自殺で実家へと戻ってきた。明石の父は大手企業の不正を内部告発したことから自殺にまで追いやられ、家族も崩壊寸前となっていた。そんな明石に手を差し伸べたのは北村という男だった。北村は児童養護施設のオーナーとして、父親同然に孤児たちを養いながら、「子どもたちを生かすためなら犯罪もいとわない」という清濁を共存させた道徳観を持っていた。児童養護施設で生活する少女・奈々は、北村に傾倒していく明石を案じていたが、復讐心が次第に増幅し、明石の中の善悪の境界線が瓦解していく。

というお話です。

 

 

明石は、父親が自殺したと聞き、実家へ戻ってくる。そこは地方の閉鎖された地域であり、大手自動車企業の下請け自動車工場を経営していた父親は、親会社の部品のリコールを見つけ告発したのだが、その地域では誰もが大手自動車会社に世話になっている状況で、もし会社に大きな損害が出たら町民の生死に関わってきてしまう。結局、告発した父親の方が悪者にされてしまい、リコールは無かったことにされ、地域の人々から糾弾されてしまい、自殺してしまったのだった。

 

真実を知った明石は、正しい事をして、何故糾弾されなければならなかったのか、納得が行かず、悔しい思いをしていた。しかし、その地域では仕事も無く、負債もあり、明石は八方塞がりだったのだが、児童養護施設のオーナーである北村が現れ、お父さんに世話になったと言い、明石に仕事を与えてくれる。児童養護施設のコックをして欲しいと言われ、料理を作る時間以外は、他の仕事をして欲しいと言われる。

 

 

北村に与えられた仕事は犯罪であり、車泥棒をして、外国人労働者を管理し、薬の売人をボコるというものだった。犯罪ですよね、という明石だったが、子供を守る為には仕方が無いと割り切っている北村に引っ張られ、犯罪に手を染めていく。

 

裏の仕事をしながら、父親が持っていたはずの自動車会社のリコールの証拠が、同業者の工場に隠されているらしいことを知った明石は、そこに忍び込み、証拠の資料を盗み出す。これで復讐が出来ると思った明石だったが、実は、その証拠が父親の部下だった男が盗んで渡したものであり、父親には味方がいなかったことを知る。そして、その書類を新聞社に送って、告発しようとするのだが・・・。

後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、面白かったです。この善と悪、正義と悪、の違い、境界線は何処にあるのかというのは、昔から永遠の疑問ですよね。誰にとっての正義なのか、誰にとっての悪なのか、それは人の立場によって違うんです。でもね、それについての正解は、きっと、北村という人物が持っていたんじゃないかな。自分が正義だと思えば正義なんですよ。悪だと思えば悪なんです。社会がとか、あの人がとか、そんな事は関係ない。自分が正しいと思う事が正義なんです。それで誰かに何か言われても、意思を曲げない事。最後まで意思を突き通す事が、自分の正義だし、人間は、それで良いんじゃないかな。

 

 

リコールの告発とか、良くありますよね。車も多いし、建築関係も凄く多いんです。杭のデータ改ざんとか、腐るほどやっているよね。でもね、そのデータ改ざんだって、現場を分かっている人間なら、ここまでは許容量だという部分が解ると思うんです。だから、10cm必要と決まっていても、8cmでも大丈夫なのよね。建築関係のデータは、大体2割までは大丈夫なんですよ。壊れないし、事故らない、そういうものなのですが、自動車はダメだよねぇ。タイヤが外れたりして、人が死ぬんだから、それはダメですよ。

 

良い塩梅で渡っていける世の中なら良いのですが、今は、数値が完璧のような時代になっちゃって、良くないよねぇ。数字は目安なんだけどなぁ。明石のお父さんだって、告発するのではなく、辛抱強く説明して、会社にコッソリ治させればよかっただけなんだけどなぁ。リコールを大規模に出すのではなく、何かの部品の不具合とかで、ちょちょっと治せば済んだのに。そうすれば、誰も傷つかずに済んだと思うけど、そういう事が出来ないのかなぁ。

 

 

この北村の生き方は、本当に美しいと思いました。大切な物を守る為に沢山の犯罪を犯していたけど、その罪悪感をまったく表面に出さず、周りの人間は罪悪感を持たないようにしっかり統率して、全ての罪は自分にあると背負って、自分がやっているのは正義だと言い聞かせて動いていたんじゃないかな。でも、心の奥には、その罪悪感がびっしり詰まっていて、辛かったのだと思いました。カッコ良かったなぁ。

 

それに対して、大手自動車会社の三宅は、自分の会社を守る為に全てを隠蔽しようとする。それも、自分の大切な物を守る為に、自分の正義を貫いているでしょ。本当は、事故が起きたら大変な事だけど、今のところ起きていないし、車は買い替えられていくので、今から改善しておけば、何とか問題は防げると思ったのだと思います。確かに、事故が起きる確率を考えたら微々たるものなんですもん。公には許されない事だけど、リコールを出して会社が倒産してしまっては元も子もないんです。映画の中では悪役っぽいけど、彼だって、本当は大切な物を守るヒーローなんです。

 

 

明石は、そんな2人を見て、自分が大切にしたいものは何なのか、自分にとっての正義とは何なのかを、凄く考えて考えて、行動に移していったのかなと思いました。

 

それにしても、こういう閉鎖された地域で暮らしていくのって、大変ですね。誰もが、町の人の事を知っているし、共同体として強く繋がっている。そんなところに都会から戻って、上手く馴染んで行こうなんて無理でしょ。いつも監視されているような気分になって、恐いと思います。都会には監視カメラがあるけど、こういう閉鎖された地域では、人の目が監視カメラなんですもんね。マジで恐いです。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。私は、とっても好きな映画です。全てを善と悪に決めてスッキリ解決するのではなく、人間のとても曖昧な部分を良く描いていて、誰もがヒーローであり、悪役であり、それぞれに憎しみがあり、愛があるという事が何とも切なくて、良かったです。桜の木の下に死体が埋まっているように、誰かの幸せの下には誰かの苦しみがあるのかななんて感じました。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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