舞台「命売ります」を観てきました。
ストーリーは、
ある日「死のう」と思った若きコピーライター・羽二男は、「命売ります」という新聞広告を出す。最初に羽仁男の命を買ったのは謎のろうじん。ある男の愛人になってしまった妻・るり子と関係を持って、嫉妬に狂った男に妻と一緒に殺されて欲しい、という依頼だった。早速、るり子に近づき、関係を持つが、男に浮気現場を目撃されたにもかかわらず、なぜか殺されることはなく、帰されてしまう羽仁男。翌日、墨田川でるり子の水死体が発見される。
生き延びてしまった羽仁男は再び命を売りに出すのだった。その後も「図書館の貸し出し係の女」「吸血鬼の女とその息子」「部屋を貸す女」と次々と現れる羽仁男の命を買おうとする人物たち。なんとも不思議な人々と関わるうちに、思いもよらない展開に巻き込まれて行く。
羽仁男は無事?!命を売る事が出来るのか。待望の瞬間を迎えた時、羽仁男は何を思うのか。
というお話です。
この作品は、三島由紀夫原作の喜劇と言って良いと思うのですが、ただ、笑いが描かれているのではなく、社会の中にある不条理が描かれていて、何とも言えない笑いと嘲り、皮肉と軽蔑があって、不思議な気持ちになる小説なんです。それを舞台化していて、ほとんど原作通りに舞台で演じられて行きました。
面白かったし、ベテランの役者さんたちは上手かったのですが、ちょっと、私のイメージとは違っていたかな。羽仁男ですが、イケメンだけど色白で優男という感じで、背丈もそれほど大きくはないという私のイメージだったのですが、今回、演じていた東さんは、イケメンでカッコ良くて、ちょっと羽仁男としては、カッコ良すぎてしまったような気がしました。この雰囲気でヘタレとは思えず、うーんと思ってしまいました。羽仁男はヘタレでいて欲しかった。
舞台としては、とっても面白かったし、私は満足が出来ました。舞台の上にベンチのようなものをたくさん置いてあって、一段上がっているような雰囲気になっていて、そのベンチに座ったり、登ったり、下から見上げたりと、ちょっと変わっていて楽しめました。
依頼者の妻と親密になって殺されて欲しいという仕事の時、妻と親密になる部分をベンチの影でワザと見えにくいようにして、ちょっとエロさを出していたのだと思うのですが、私の席からだと本当に見えなくて、エロさも見えませんでした。ちょろっと見えていれば、イイ感じだったと思うのですが、ほとんど見えなくて、何をやっているのか分からなかったところは、ちょっと残念だなぁと思いました。
私は、この舞台、楽しめたので、お薦めしたいと思います。でも、同じ三島作品の「豊穣の海」と比べると、ちょっと落ちるかな。あちらの舞台が凄く良かったので、ちょっと残念です。この舞台、もう東京は終わったようで、大阪であるようです。良かったら観てみて下さいね。
ぜひ、楽しんでくださいね。
「命売ります」 http://www.parco-play.com/s/program/inochi/
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