舞台「スカイライト」を観てきました。
ストーリーは、
ロンドン中心部から離れた質素なアパートに暮らすキラの部屋に、ある夜、かつての不倫相手の息子であるエドワードがやってくる。妻を亡くして以来、不安定なままの父親トムを助けて欲しいと訪ねて来たのだ。彼は、二人に何があったのかは知らず、突然に家族の前から居なくなったキラに、まだ良い印象を持っているのだった。父親の事を言い残して帰るエドワード。
数時間後、期せずしてトムもまたキラの元へやってくる。3年ほど前に不倫関係が明るみになって以来、初めて再会した二人。未だ消えぬお互いへの思い、解けきれない不信感・・・共有する罪の意識の間で大きく揺れ動く二人の会話は、やがてそれぞれの価値観の違いをぶつけ合う激しいものとなって行く・・・。
というお話です。
この舞台、良かった・・・。本当に良い舞台でした。出演者は3人なんですが、話が良く出来ているんです。3人の会話だけで、主人公のキラと、その愛人だったトム、そしてトムの息子のエドワードが、それまでどうやって生きてきたのか、10年分くらいのお話が、ここに詰まっているんです。これ程に、惹き込まれるかというほど、何か、もう、真剣に見てしまいました。
舞台には3人なのですが、この3人を繋げているのは、既に亡くなっているトムの妻・アリスなんです。その会話の中に何度も出てきて、このアリスという女性が素晴らしい人だったと伝わってくるんです。それなのに、何故、トムが浮気をしてしまったのか。どうしてなんでしょ。
アリスという女性は、美しくて、教養もあり、頭も良かったようで、完璧な女性と言って良いほどの人だったんじゃないかなって思えるんです。もちろん、男性からだけ好かれるのではなく、同性にも好かれて、いつも話題になるような、そんな女性らしいんです。だけど、トムは、平凡な教師の娘であるキラに惹かれて、愛人関係を結ぶのですが、本当は、心からアリスを愛していたのではないかなと思います。だから、ずーっと罪悪感を抱きながら、でも、他のものも欲しくなっちゃったという感じなのかな。男性のここら辺の気持ちって、ちょっと理解が出来ないけど、そういう事なのでしょうね。
そんなアリスを慕っていたキラですが、トムと浮気をしてしまう。キラが最初に知り合ったのはアリスで、アリスの善意で、同じ家で住むようになったらしく、それでエドワードを弟のように可愛がっていたんです。
ある日、アリスがキラとトムの関係を知ってしまい、直ぐにキラは家を出て、一切の連絡を断っていたんですが、それから3年後が、この舞台です。アリスが亡くなって一人になったトムは、キラに会いに来るんですよ。きっとね、キラの事も、トムは愛していたんだと思うけど、でも、2人の間には、いつもアリスが居て、亡くなったからって、そう簡単には忘れられないし、そして、話をして行く内に、実は、二人が見てみない振りをしていた真実が表れてくるんです。それが、何とも、上手いなぁと思いました。人間の心は、そんなに簡単に出来てはいないんです。それぞれの心の中に、愛もあり、嫉妬もあり、そして罪悪感もある。そんな人間の気持ちが、本当に良く描かれていました。最後、泣きそうになっちゃいました。
キラを蒼井優さん、トムを浅野雅博さん、エドワードを葉山奨之さんが演じました。蒼井さんと浅野さんは、もうベテランですが、葉山さん、上手かったなぁ。彼の舞台、初めて観たのですが、良かったです。TVでは、何度も観ているのですが、舞台でも上手いんですね。これから期待しちゃいます。
この舞台「スカイライト」、ナショナル・シアター・ライブでもやっていたんですね。観れば良かった。また上映するかしら。キャリー・マリガンとビル・ナイで、イギリスでは上演したようですね。観たかったなぁ。
私は、この舞台、超!超!お薦めしたいと思います。これは良かったです。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「スカイライト」新国立劇場
https://www.nntt.jac.go.jp/play/skylight/
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