「A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー」を観てきました。
ストーリーは、
田舎町の一軒家で若い夫婦が幸せに暮らしてたが、ある日夫が交通事故に遭い、突然の死を迎える。病院で夫の死体を確認した妻は、遺体にシーツを被せて病院をあとにする。しかし、死んだはずの夫はシーツを被った状態の幽霊となり、妻が待つ自宅へと戻ってきてしまう。
というお話です。
この映画、上記のストーリー以上の事はありません。若い夫婦が戸建ての一軒家に住んでいて、ある日、夫が交通事故で亡くなり、死体安置所に白いシーツを被って置かれていて、妻が確認して悲しみながら家に帰り、その白いシーツを被った状態の死体が起き上り、そのまま、妻のいる自宅へ帰って行きます。
自宅では、妻が一人、寂しそうに生活をしており、その後をずーっと幽霊の夫が付いて歩くのですが、妻は全く気が付かず、その内、妻はその家を引っ越して行き、その家に憑いたままの幽霊は、ぼーっとしていると、家が取り壊されて、そこは大都会に変貌し、そんな大都会の高層ビルに建て替わった場所にまだ幽霊は憑いていて、そのビルを徘徊しているんです。
ビルに憑いていても何も起きず、もうイヤになった幽霊は、高層ビルから飛び降りるのですが、もちろん幽霊なので死にません。既に死んでますからね。でも、下まで落ちると、過去に飛んでしまいます。そこには、まだ、誰も住み着いていない大地が広がっていて、そこに、何処からともなくやって来た一家族が家を作り、住み着くのですが、襲撃者に虐殺されてしまい、誰も居なくなります。
そして、ぽつぽつと家が建ち始め、自分と妻がそこの家を見にきて、移り住んで来ます。自分と妻の生活を、幽霊となった自分が見ていて、何とも不思議な光景が広がります。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
何てことは無い、その土地に憑いてしまった男が、そこの過去から未来までを垣間見ているという内容です。その幽霊の話が、もしかしたら、生きている男が夢で見ているモノなのか、それとも、本当に幽霊が経験するものなのか、はたまた、その土地が観ている夢なのかもしれません。時間の流れの中に、人間は一時、その場所に留まり、時代を共有するだけ。土地からすれば、何てことは無い、時間の流れのひと時なのです。
そんな中で、妻が建物の壁にある”メモ”を忍ばせ、それを幽霊になった男が見つけるのですが、それはいつの時代なのか、本当に妻が置いて行ったメモなのか、それとも、惨殺された、この土地に最初にたどり着いた家族の娘が残したメモなのか、それも分かりません。でもね、その時代で何かを残して、後に繋げているんです。たとえ、一瞬の出来事でも、そこに何かを残している。時間の流れを感じる内容でした。
この映画は、何がどうなるとか言う、話を楽しむ映画では無く、雰囲気と、時間の流れの中に生きている人々の吐息を感じて楽しむ映画です。難しく考えず、ただ、雰囲気を感じれば良いと思いますよ。私は、何となく、とっても好きな映画でした。人間は、その時間時間で、人に憑くのかと思っていたのですが、この映画では、土地に憑くような描き方でしたね。それも良いかもしれません。でも、ちょっと寂しいですね。出来れば、人に憑いていて欲しい。亡くなっても、自分の側に居て欲しいなって思っちゃいました。反対に、自分が亡くなったら、好きな人の周りに憑いていて、何かの時に助けてあげたいなって思っちゃう。
何とも言えない雰囲気が、レイ・ブラッドベリの小説にとても似ているんです。話の内容は違うけど、人に与える印象が、とても似ているんです。ブラッドベリの「霧笛」「荒野」とか、「四月の魔女」とか。SF好きには、何となく理解しやすい内容だと思いますよ。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。何がって言われると、モヤモヤ~って感じなので、ハッキリ言えませんが、雰囲気が良くて、この何となくの感じを読み取れた方は、最期に感動出来ると思います。私は、ジーンとしちゃいました。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー|映画情報のぴあ映画生活
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