「銃」を観てきました。
ストーリーは、
友人たちと青春を謳歌していた大学生の西川トオルは、ある日、雨が降りしきる河原で一丁の拳銃を偶然拾い、銃を手に入れたことで、トオルの心は言い知れぬ高揚感を覚えるようになっていく。大切に家に保管してある銃を持ち歩き、街に出る。その緊張とスリルはトオルを満足させた。トオルは同じ大学のヨシカワユウコにも興味があったが、いつしか銃の存在感がトオルの中で圧倒的な位置を占めるようになっていく。そんなある日、トオルのもとに刑事が突然やってくる。
というお話です。
大学生の西川トオルは、何をやってもダルい気がして、面白いことが無いかと悶々とした日々を送っていた。ある日、雨が降る夜の河原で拳銃を拾う。何故、そんな所に拳銃なんてと思いながらも、銃を手にしたことで、言いようのない興奮を覚え、そのまま持ち帰る。
銃は、家の引き出しの奥の方に隠していたのだが、持ち歩いたらもっとドキドキするのではないかと思い、小さなバックに入れて持ち歩く事にする。警察に職質をかけられ、興奮しながらも平常を装い、何も知らない風を装うのも楽しくなり、段々と気持ちが大きくなって行く。
そんな日常の中、大学で気になっていたヨシカワユウコとの距離も縮まって行くが、友人としての付き合い以上に進まないことに苛立ちを覚え、いつも自分に高揚感を与えてくれる”銃”への依存が大きくなって行く。
ある夜、公園で喧嘩をしたらしい猫が血だらけになっているのを見つけ、銃で撃ってみたくなってしまう。今までも、銃が使ってみたくて堪らなかったのだが、我慢していたのだ。人のいない公園なら大丈夫だろうと思い、銃を取り出して、猫を苦しませない為に銃で撃った。そして、直ぐに駆け出して家に帰ったのだが、それからしばらくして、警察が家に訪ねてくる。
平静を装うトオルだったが、警察は、猫が撃たれて死んだことを話し、走り去るトオルを見たという人物がいるという。自分は、そんな事はしていないと言い張り、身に覚えが無いと言うと、警察は、本当は、猫が撃たれたという証拠は一切無く、その刑事が捜査しているヤクザの殺人事件からの捜査で、君に行き着いたと言う。そしてトオルの顔が、真実を言っているように見えないと話すのだった。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画の内容、中村文則さんらしい作品でした。私、まだ原作は読んでいないのですが、映画が原作通りなら、本当に彼の作品らしいなぁと思いました。壊れていく人間の姿を、細かく刻んで描いていくんですよねぇ。最初は、普通の男の子なのに、どんどん人が変わって行ってしまう姿が、何とも、凄くて、それを演じた村上さんも、上手くなったなぁと、またも感動していた次第です。
日常生活の中に、突然、”銃”というものが入って来たら、それは、ドキドキするでしょうね。だって、引き金を引いたら人が死ぬという武器なんて、生活の中に無いし、その殺傷力と言ったら、ナイフとか鈍器なんてもんじゃないでしょ。完璧に、自分が誰よりも優位に立てたという感覚になると思うんです。
そして、段々と使ってみたくなる心理も凄く分かるんです。そりゃ、人を殺すなんてしてはいけない事は、十分に解ってはいるのですが、それ以上に、目の前で人が死ぬという事、人を殺すという事、銃と言うモノを撃つという事を、やってみたくて堪らなくなるんだろうなぁと思います。だって、体験出来る事じゃないですもん。今まで、敷かれたレールの上を、ただ走って来たトオルは、レールには無かったことがしたくなってしまう。本当に、この心理、理解出来ました。
同級生たちは、普通の日常を過ごしていて、興味のあった女の子も、目の前にきて何となく自分に近づいてくるけど、でも、踏み込んでこようともしないし、どこか一線を引いている人ばかりで、やっぱり、自分に一番近い距離にあるのが、”銃”なんですよね。そして、段々とそれしか目に入らなくなって行ってしまう。その様子が凄かったです。
武監督、「百円の恋」の時も、凄いと思ったけど、マジで今作も凄かった。私は、大満足でした。モノクロで紡いでいく、銃を手に入れた時間と、正気に戻った色の付いた時間が、何とも悲しく見えて、感動でした。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。本当は、超と書きたいけど、私、もう一回観てから、書きたいかな。リリーさん演じる刑事が、銃がそこにあった理由を話してくれたんだけど、イマイチ、良く分からなかったので、もう一度、そこを観てきたいと思います。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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