舞台「セールスマンの死」を観てきました。
ストーリーは、
舞台は1950年代前後のアメリカ。かつて敏腕セールスマンで鳴らしたウィリー・ローマンは、60歳を過ぎて得意先も次々と引退してしまい、思うように成績も上がらない。かつてのような精彩を欠いており、二世の社長にはお荷物扱いされている。そんな夫を優しい妻リンダは献身的に支えているが、30歳を過ぎても自立出来ない2人の息子たちへの不満と不安もウィリーの心を押し潰す。ブルックリンの一戸建て、愛しい妻、自分を尊敬する自慢の息子。一度手にしたと思った夢は脆くも崩れはじめ、全てに行き詰まった男が最後に選んだ道とは・・・。
というお話です。
この戯曲、凄い内容でした。実は、”セールスマンの死”って、アーサー・ミラーの原作を読もうと思いながら読んでいなくて、一昨年くらいにイラン映画で「セールスマン」というのがありまして、それは、映画の中の夫婦が「セールスマンの死」の舞台に出ているという劇中劇で、ちょっと知っていた位だったんです。でも、本当のお話を知らなくて、こんなにも素晴らしい話だったなんて、驚きました。
これは、演劇をやっている方々なら、一度は演じてみたい、演出してみたいと思う作品なのでは無いでしょうか。これ、いつの時代に演っても、誰もが、自分に当て嵌めてみてしまい、心が苦しくなると思います。
その昔はバリバリのセールスマンだった男が、今は年を取ってしまい、時代も変わってしまい、全く物が売れなくなってしまった姿を描いていて、そんな夫を責めずに温かく優しく助けている妻という夫婦が住む家に、長男が帰ってくるんです。
父親は、長男は素晴らしい息子だと思っていて、成功出来なかった自分の夢を長男に託しているんです。でも、長男は、それが重荷になっていて、失敗ばかりしてしまうんです。次男は、そんな父親と長男を見て、ちょっとバカにしているというか、引いて見ていて、何に対しても、それほど真剣にならないんです。そんな家族4人の姿が、どれも自分に重なってくるんですよねぇ。
特に、お母さん=妻の姿を見ていると、辛くなりました。目の前で、自分の夫と息子が喧嘩をしていて、それがずーっと終らなくて、止めるんだけど、終わらないんです。どちらの味方にも付けず、本当に可愛そうでした。4人家族の中に、女は母親一人だけだと、本当に辛いですよね。誰も、自分の事は解ってくれないし、何でも母親がやってくれると思っている。もー、男どもったらと思うけど、往々にしてそうなっちゃうんだろうと思うんです。いやぁ、観ていて辛かった。
親に期待されて、夢を託されるのも、辛いですよね。私なんて、早々と期待されていなかったから、好き勝手にさせて貰えて良かったけど、親の為に頑張って勉強する子って、多いですもんね。でもさ、親の為に生きている訳じゃないんだから、自分の好きな事を見つけたら、自分の好きに生きた方が良いですよね。その方が、絶対に幸せになれると思います。親も、子供に夢なんて託しちゃダメですよ。可哀想です。
この舞台の素晴らしさは、言葉では表せないです。本当に凄かったもん。もう、ずーっと息が付けなくて、大変でした。父親を風間さん、母親を片平さん、長男を山内さん、次男を菅原さんが演じていたのですが、とにかく、皆さんが素晴らしいのですが、特に、風間さんと片平さんが素晴らしかった。やっぱり、TVでも何でも、主役を張る人っていうのは、レベルが違うんですね。もう、これぞ俳優という感じで、心に響くとはこの事という感じでした。脱帽です。
こんな素晴らしい作品、なんで映画やドラマにしないんだろう。まぁ、でも、この作品をベースにしているなっていう感じの作品は、多数あるので、今更なのかしら。でも、凄かったな。驚きました。何で、今まで、この作品を観て来なかったんだろう。そんなことを思うほど、素晴らしかったです。
この作品、超!超!お薦めしたいと思います。と言っても、神奈川での公演は終わってしまったので、地方公演を観て下さい。でもこれ、もっと観たいなぁ~。(笑)
ぜひ、楽しんできてくださいね。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「セールスマンの死」
http://www.kaat.jp/d/DeathOfaSalesman
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