「生きてるだけで、愛。」純粋であるが故に、周りの穢れに息苦しくなってしまう。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「生きてるだけで、愛。」を観てきました。

 

ストーリーは、

過眠症で引きこもり気味、現在無職の寧子は、ゴシップ雑誌の編集者である恋人・津奈木の部屋で同棲生活を送っている。自分でうまく感情をコントロールできない自分に嫌気がさしていた寧子は、どうすることもできずに津奈木に当たり散らしていた。ある日突然、寧子の目の前に津奈木の元恋人・安堂が現れる。津奈木とヨリを戻したい安堂は、寧子を自立させて津奈木の部屋から追い出すため、寧子に無理矢理カフェバーのアルバイトを決めてしまう。

というお話です。

 

 

躁うつ病で過眠症、引き籠り気味の寧子は、今日も一日、部屋の布団の中にいる。一緒に暮らしている恋人の津奈木が帰宅し、食事だと声をかけても、直ぐには出て行かない。起きてくれば、津奈木に文句を言い、優しい言葉の一つもかける事は無く、まるで恋人同士には見えない。

 

二人は3年前に知り合い付き合い始めたのだが、その頃から既に、寧子は躁うつであり、言っている事はめちゃくちゃ、酒を飲むと悪酔いし、津奈木にも絡んでいたのですが、何故か気が合い、付き合う事になりました。

 

 

寧子はいつも姉へのメールで心の均衡を保っていて、姉は寧子に寝てばかりいないで仕事をしろとか、妹への戒めの言葉を言うのだが、津奈木は優しく接するだけで、彼女の病気を見ようとしない。そんな津奈木にイラついて、つい意地悪な態度を取ってしまうのだ。津奈木は小説家志望だったが、編集社に入り、ゴシップ記事を書かされて、精神をすり減らしていた。そろそろ限界にきているようだ。

 

ある日、寧子の前に、津奈木の元カノが表れ、津奈木と別れてくれと言う。とにかく家から出ていって欲しいと言うが、仕事もお金も無い寧子は、出ていきたくても出て行けないと言うと、元カノ・安堂は、カフェバーのウェイトレスの仕事を紹介する。マスター夫婦が優しくて、寧子の病気を理解し、出来るだけ通えるようにを融通をしてくれて、何とか通い始めるのだが・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

 

なんか、こう、もやもや~っとした感じの映画でしたが、どうしても躁うつ病や過眠症から抜け出せない自分の弱さに苦しむ寧子の姿が、とてもリアルに描かれていて、ちょっと感動してしまいました。

 

この寧子の姿って、実は、誰の中にもあるんじゃないかって思うんです。いつも眠たいし、周りの人が何を思っているか分からないし、ふと気が付くと、自分の事を全て知っているんじゃないかと勘繰ってしまうし、堪らなくなって叫び出したくなってしまう。そんな事って、誰にでもありませんか?通常、そんな事があっても、理性というもので、何とか自分を抑えて、我慢して、周りの人間の視線も気にしないようにして、それで生活を続けていくのですが、この寧子は、抑えるとか我慢するという選択肢が無いので、こうなってしまうのだと思うんです。

 

 

純粋だからこそ、上手く受け流すと言うことが出来ない寧子は、本当に傍から見ていて、美しくて邪悪だと思いました。綺麗なんだけど、彼女に振り回されて自分も抑えが効かなくなって行ってしまうという事があるので、まるで悪魔に唆されたように見えてしまう。寧子自身は、何も悪気はないんだけど、純粋だからこそ、邪悪なんです。人間の本質を狂わせてしまう。だから、美しくて側に居たいけど、でも、一緒に居たら、きっと自分も壊れてしまうと思うんです。

 

寧子自身も、凄く可哀想でした。自分では、普通の人と同じように暮したいと思っているのに、どうしてもそれが出来ないんです。それは、怠惰だからとかでは無いんです。それが彼女の障害なんだと思います。でも、過眠症は治せるような気がしました。これ、興奮剤を与えれば良いんだよね。違うのかな?脳を興奮させていれば、きっと眠れないよね。あまり寝すぎると、脳に酸素が回らないから、どんどん脳細胞も劣化するし、良くないと思うのよねぇ。かと言って、覚醒させすぎると、脳が壊れちゃうって言うのもあるけど、でも、過眠は治した方が良いよなぁと思いました。私なんて、毎日、3時間半くらいしか寝てないと思うのよね。ま、それも良くないんだろうけど。もっと寝たいっ!

 

 

津奈木は、そんな綺麗な寧子に惹かれて、一緒に居たと思うんです。彼は、繊細な心を持っているのに、ゴシップ記事を書かされていて、以前、ゴシップ記事で自殺をした女性が出たらしく、もう、ゴシップ記事は書きたくないと思っているんです。でも、仕事はしなければならないので、心はボロボロ。そこに同僚の女性が”よくそんな仕事出来るね。”みたいな事を言ってしまい、心が折れるんです。マジで可愛そうでした。あのね、同じ仕事をしているなら、同僚の苦しさくらい解かれよ。ほっんとに、人の気持ちが解らない奴ってムカつくよね。

 

 

この映画の中に、沢山の人間の汚い部分が描かれていて、書いても書いても書き足りない位です。汚い部分ばっかりの人間の中に、美しいままで生きようとする寧子が居るから、どうしても異端に見えてしまう。”綺麗は汚い、汚いは綺麗”そんなマクベスの言葉が思い浮かぶような寧子の行動に、心が痛みました。

 

やっぱり趣里さん、素晴らしいです。もう、舞台でも大好きだけど、映像でもイイなぁ。めちゃくちゃだったりする役なんだけど、フッと映る表情がまるで天使のようなんですよ。この世のものでは無いような、そんな感じに見えるの。不思議な役者さんですよね。津奈木役の菅田さんもとても上手いので、彼女との共演は、本当に美しかった。映像も良かったのかな。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。この映画は、賛否別れるでしょうね。理解出来る人と出来ない人の真っ二つに分かれそうな気がしました。寧子という人物をどうとるかで、全く見方が違ってくるので、もしかしてイライラするだけで終わってしまうかも知れません。私は好きな映画なんですけどね。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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