「教誨師」大杉連さんの最初で最後の主演作品です。感動作でした。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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「教誨師」を観てきました。

 

ストーリーは、

受刑者の道徳心の育成や心の救済につとめ、彼らが改心できるよう導く教誨師。死刑囚専門の教誨師である牧師・佐伯は、独房で孤独に過ごす死刑囚にとって良き理解者であり、格好の話し相手だ。佐伯は彼らに寄り添いながらも、自分の言葉が本当に届いているのか、そして死刑囚が心安らかに死ねるよう導くのは正しいことなのか苦悩していた。そんな葛藤を通し、佐伯もまた自らの忘れたい過去と向き合うことになる。

というお話です。

 

 

この映画は、大杉連さんの初プロデュース作品で、初主演作です。そして、最期の作品になってしまいました。

 

プロテスタントの牧師、佐伯保(大杉漣)。彼は教誨師として月に2回拘置所を訪れ、一癖も二癖もある死刑囚と面会する。無言を貫き、佐伯の問いにも一切応えようとしない鈴木(古舘寛治)。気のよいヤクザの組長、吉田(光石研)。年老いたホームレス、進藤(五頭岳夫)。よくしゃべる関西出身の中年女性、野口(烏丸せつこ)。面会にも来ない我が子を思い続ける気弱な小川(小川登)。そして大量殺人者の若者、高宮(玉置玲央)。

 

 

佐伯は、彼らが自らの罪をしっかりと見つめ、悔い改めることで残り少ない“ 生” を充実したものにできるよう、そして心安らかに“ 死” を迎えられるよう、親身になって彼らの話を聞き、聖書の言葉を伝える。

 

しかしなかなか思い通りにはいかず、意図せずして相手を怒らせてしまったり、いつまで経っても心を開いてもらえなかったり、苦難の日々が繰り返される。それでも少しずつ死刑囚の心にも変化が見られるものの、高宮だけは常に社会に対する不満をぶちまけ、佐伯に対しても一貫して攻撃的な態度をとり続ける。死刑囚たちと真剣に向き合うことで、長い間封印してきた過去に思いを馳せ、自分の人生とも向き合うようになる佐伯。そんな中、ついにある受刑者に死刑執行の命が下されるが・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

 

公式サイトのあらすじの方が分かり易かったので、そちらを引用させて頂きました。本当にこの通りの作品です。大杉さん演じる佐伯は、プロテスタント教会の牧師で、それぞれの受刑者の話を静かに聞いていきます。ほとんどは、密室劇で、外での話はありません。でも、話だけで、受刑者たちが、どんな罪を犯したか、どんな精神状態か、どんな人物かということが、段々と解かってきます。

 

やっぱり、光石さんと古館さんは上手かったなぁ。その人物像がとても良く分かって、うんって頷いてしまいました。そんな中で、高宮を演じていた玉置さん、異彩を放っていました。劇団柿食う客のメンバーの方なんですね。今度、「劇団柿食う客」の舞台も観に行ってみたいな。高宮は、大量殺人犯なのですが、その言葉は冷たく突き刺さるようでいて、真実を突いている部分もあり、佐伯も、言葉に詰まるような部分もあって、その空気感が凄いなぁと思いました。

 

 

死刑制度って、どうなんでしょうね。世界では、死刑制度がどんどん無くなっていると言いますが、懲役150年とかいうのって、どうなのかしら。私が考えるに、死刑の方が幸せな気がするんだけど。ずーっと狭い部屋に入れられて自由が無いんでしょ。まぁ、引きこもりの方達も同じと言えば同じなんだけど、でも、自由が無いというのが何ともねぇ。死刑が残酷というけど、首に縄かけて150年飼われるのと、どっちが残酷なのかしら。私なら、殺して欲しいと思うような気がします。

 

 

そんな死刑宣告を受けた受刑者たちに心の平穏を与える教誨師という仕事。今まで見た事はありましたが、こんな感じなんですね。ボランティアと言っていましたが、大変な仕事だなと思いました。佐伯はプロテスタント教会の牧師さんなので、普通に結婚はしているだろうし、家族がいると思われるんです。カトリック教会の神父は神に使えるので結婚していないけど、牧師は人間として神に仕える使徒の一人だから、普通の人として生活は出来るんですよね。宗教って面白い。

 

だから佐伯は、我が子を思い続ける受刑者の気持ちも良く分かったと思うんです。他の受刑者たちの気持ちも、ある程度は理解出来ていたと思うのですが、この大量殺人犯の高宮の気持ちだけは、どうだったのかなと思いました。彼の気持ちだけは、もしかしたら、最期まで理解が出来なかったんじゃないかなと思います。だからこそ、最期まで寄り添う事しか出来なかったのかなと感じました。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。本当に良い映画だし、素晴らしい内容だと思いますが、内容が内容だけに、万人にお薦めして良いのかと考えてしまい、超!を付けませんでした。単館系の映画なので、静かで、密室劇でも集中して観られるかたには、お薦めしたいと思います。ハッキリ言って、凄く面白い映画では無く、感動する映画です。大杉さんの最後の姿を噛みしめて観ていただけたら良いと思います。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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