「あいあい傘」を観てきました。
ストーリーは、
25年前に姿を消した父の六郎をようやく捜し出した高島さつきは、父を連れて帰るつもりで小さな田舎町へやって来た。しかし、町を散策していく中で、六郎が苗字を変え、知らない家族と新しい生活を築きあげていたことが明らかになる。さつきは意を決し、父の新しい家族に会いに行こうとする。
というお話です。
ある小さな町の恋園神社の参道で茶屋をしている玉枝と、その内縁の夫・六郎。この界隈では仲の良い夫婦として知られている。今年も恋園神社の祭りが近づいており、的屋の清太郎や力也と日出子のカップルも集まって来た。
清太郎から六郎に連絡があり、今年は彼女が出来たらしい。どんな子かと楽しみにしているが会わせてくれない。清太郎はさつきと偶然出会い、盛り上がっていると思っているが、実は、さつきはには目的があり、その為に清太郎を利用しているのだった。
六郎は、自宅で学習塾を開いており、今はこの地で信用もあるが、実は、ある事があり、自殺をする為にこの地に流れてきたのだが、玉枝が彼を助けて、今は一緒に暮らしているのだ。六郎がこの地に辿り着いて25年。玉枝の娘も大きくなり、六郎と玉枝は、娘の事を心配しているが、一人住まいをすると言って出て行ってしまった。
清太郎が夢中になっているさつきは、実は、六郎が残してきた娘であり、さつきは六郎が生きていると知り、本当かどうか、確かめに来たのだった。やっと見つけた六郎は、新しい家族と幸せそうに暮らしているのを見て、捨てられた自分たちは苦労をしたのにと、六郎と家族への憎しみを募らせていく。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、元々は「東京セレソンデラックス」という宅間孝行さんの劇団の作品で、舞台を映画用に書き直し、宅間さんが監督をして映画となった作品です。私は、舞台の方は観ていないのですが、きっと、舞台は良かったんだろうなと想像がつきました。確か、舞台も再演でもうすぐやるんじゃなかったかな。
ある事情があって、家族の元を離れるしかなかった六郎が、25年後に娘が会いに来るという内容なのですが、話しとしては、良い内容だなぁと思いました。娘の心情としては、自分たちを捨てて出て行った父親ですから、その父親が新しい家族と幸せそうに暮らしていたら、複雑ですよね。一人で寂しく暮らしていてくれれば、近寄っていって、一緒に帰ろうと言えるけど、そうじゃないのだから困ってしまいます。
六郎は、好きで家族を捨てた訳では無く、もう、どうしようもなくて、死ぬつもりで家を出たのですが、何故か、生き残ってしまった。だからこそ、申し訳ないと思って、いつも手を合わせて祈っているのですが、そんな事は家族には伝わりませんよね。
彼を助けた玉枝さんって女性は、とても良く出来た女性で、何も言わなくても、彼の事も、娘の事も解っているようで、素敵な女性という感じでした。六郎が帰りたくても帰れない事情を知っていて、そんな彼の為に何が出来るかと考えていたんです。良い女性でした。
このお話で上手いなぁと思ったのは、六郎の前の奥さんが一切出てこないところかな。娘は出てくるけど、ドロドロする事は無くて、お互いに思い合っていることを確認すると言うところが、何とも良かったと思いましが。
でも、欲を言えば、やっぱり舞台の方が良かったんじゃないかなぁ。映画だと、どの場面も描かれてしまうでしょ。舞台だと、きっと役者の演技と言葉で見せる部分もあり、観るこちら側が想像をするから、自分の理想の場面になるんですけど、映画だと、その部分も描かれてしまうから、何となくギチギチした感じになるんですよねぇ。一つの場所で話しが展開するお話だと、やっぱり舞台の方が良いと思うんです。でも、映画も良いと思いましたよ。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。良い内容だと思いました。でも、もし、舞台を観る方がいらしたら、そっちの方が良いと思うかもしれません。何となくですけどね。でも、映画でも十分にその雰囲気が伝わってくるので、ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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