舞台「修道女たち」を観てきました。東京国際映画祭の前に観たのですが、ちょっと感想が遅くなってしまいました。
ストーリーは、
どこかはわからないが、ヨーロッパを思わせる山の麓に建つ山荘。その石造りの山荘は半世紀ほど前、かつて祠だった場所に建てられた。100年前、村の長老が病に倒れたため、ある修道院から修道院長が呼ばれたが、山中で豪雪に襲われ、彼女は祈りを捧げながら息絶えてしまった。すると驚くべきことに長老は元気を取り戻し、150歳過ぎまで長生きしたという長老は命と引き換えに自分を生かしてくれた彼女のために祠を建てるよう、村人たちに命じたのだった。それから毎年、寒さの厳しい時期に修道女たちがこの山荘を訪れ、巡礼の儀式を行うのが定例となっていた。
その年も、例年通り、修道女たちは、山荘を訪れる用意をしていた。実はその宗教は、国王から迫害され始め、少し前に陰謀により修道女が何人も暗殺されてしまっていた。少なくなった修道女たちは、亡くなった仲間の事を祈りながら、変わらずに祈りを続けようと心掛けていた。そして、山荘への準備を始めたのだ。
あまりに人数が減ってしまい、寄付も減ってしまった為、仕方なく、新しく入信した母娘を、直ぐに修道女として迎えてしまい、少し、内部でいざこざが起きていたが、とにかく山荘へと向かった。
山荘では、村人が準備をしていたが、王からの命令が入り、今年は修道女たちを迎えてはいけないと言われてしまう。しかし、村の少女オーネジーは少し知的障害を持っており、構わず、迎え入れてしまう。そして山荘で修道女たちは巡礼の準備をし始めますが、村人に喜ばれていないことを知り、悩み始めます。そして・・・。後は、舞台を観て下さいね。
この作品は、凄く考えさせられる内容でした。ケラさん、よく宗教問題に手を付けましたね。宗教は難しいんです。だって、信じている人は、何処までも信じているから、信仰を悪い事とは描けないし、かと言って、信仰の無い人から見ると、何だか面倒くさいし、イイ事ばっかり言って、胡散臭いと思いますよね。
例えば、どこかの国の王様が居たら、自分の国で宗教が蔓延したら、自分を崇める人が誰も居なくなるから、王政なんてしけないので、宗教を潰そうと思いますよ。当たり前なんです。だから、恐いですよね。勝手に信仰するのは止めないけど、かと言って、信仰が無い人に悪いことを吹き込んだりするのは良くないし、信仰が無い人が、宗教に対して騙されてるだけというのも間違っています。
だから、宗教を題材にするのは難しいのに、上手く作ってありました。誰も悪くなく、信じる事を責める事も無く、まとまっていました。
修道院に居る時に亡霊が出たりして、大騒ぎしながらも山荘までは来ることが出来ます。だけど、山荘で、それぞれの問題に直面し、考え始めるんです。人を信じることが修道女なのに、疑っちゃったりして、それはダメでしょと思いながら見ていると、やっぱり最後は信じるんです。神に使えるのですから、人を信じることが仕事です。修道女なのに、疑ったらダメですよね。
でも、修道女だけど、人間でもある彼女たちは、やっぱり、色々考えるんです。どうするべきか、何をすべきなのか。それまでは、祈っていれば神が助けてくれるくらいの気持ちだったのかも知れませんが、危険が迫ったりすると、やはりどうすべきなのか、考えるんです。ま、キリストが裏切り者が居る事を知っていながら最後の晩餐をしたのと同じように、自分たちがもしかしたら騙されているかも知れなくても、人を信じる事を辞めてしまったら、修道女では無くなってしまうと思ったのか、どうかは分かりませんが、信じるんです。
そんな内容なのですが、その中に、コメディ要素を取り入れ、ちょっと同性愛っぽさも取り入れ、何とも魅惑的な修道女たちの生活が描かれていました。とっても楽しめましたよ。
私は、この舞台、お薦めしたいと思います。悲しいお話ながら、コメディ要素も取り入れられ、鈴木さんなんて”木”になってたりして、楽しめました。戦争の問題も取り入れられており、色々、考えさせられる舞台です。ぜひ、お時間があったら、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「修道女たち」 http://cubeinc.co.jp/stage/info/shudouzyotati.html
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