東京国際映画祭2018 22作目は、コンペティション「ブラ物語」です。
ストーリーは、
鉄道運転士のヌルランは定年退職前の最後の乗車となるバクー行きの列車を運転している。目的地近くを走行中に、物干しロープから外れた青いブラが列車に引っかかった。ヌルランは退職後の孤独から逃れるため、自発的にこの可愛らしい下着の持ち主を探し出す決意をする。線路沿いの全部の家を訪ね、女性たちがそれぞれの事情を持ちながら極めてプライベートな領域に彼を招き入れてくれたが、彼女たちの亭主には気付かれずに済んでいる。状況が難しくなればなるほど、全女性にこのブラを試させようと決意を固めたヌルランはクリエイティブな方法を次々と編み出していく。
というお話です。
鉄道運転手のヌルランは、定年退職前の乗車で、バクー行きの列車を運転していました。いつも通り、住宅街の中を走っていると、物干しロープから外れた青いブラが列車に引っかかります。これまでにも、色々なモノが列車に引っかかりましたが、今回は定年退職前の最後の乗車であり、何故か、その洗濯物だったブラが気になります。
列車を降り、青いブラを持ったヌルランは、退職後、時間もある訳だし、そのブラの持ち主を探そうと思います。沿線沿いに住む人々を訪ね歩き、ブラを見せるのですが、変な顔をして不審者扱いする女性や、プレゼントかと思い喜んで招き入れる女性など、様々な女性がいるのですが、彼女たちの夫に気づかれたら大変な事になってしまいます。
隠れながら、そっと女性たちにブラを合わせて貰い、確かめるのですが、なかなかそのブラの持ち主は分かりません。既に、何度も住宅地を周っているので、男たちに疑われています。仕方なく、何枚かブラを購入し、ブラの販売員のように自転車にブラを展示しながら住宅街を歩き始め、持ち主を探しますが、どうしても見つかりません。
その内、乳がん検診の検査員に成りすまして、ブラのサイズを確かめたりとしていると、とうとう町の男たちに捕まってしまい・・・。後は、映画を観て下さいね。
舞台は、アゼルバイジャンの小さな町のお話です。何故か、列車の運転手だった男性が、定年を期に、落とし物のブラの持ち主を探し始めると言う奇想天外なお話で、見方を変えると、ブラでシンデレラを探している王子様なんですよ。従者のような子供と一緒に、その落とし物のブラを、何人もの女性に試させていくんですけど、普通、ブラって試さなくても、自分の物かどうか判りますよね。デザインが多いから、そんなに人とかち合うって無いだろうし、サイズが合ったからって、その人のモノとは限らないでしょ。だって、ブラのサイズなんて、それ程多い訳じゃないですもん。
それでも、一生懸命、持ち主を探して回るんです。日本でやってたら、只の変態だけど、アゼルバイジャンだと、女性は、結構、協力的で、みんな、招き入れてブラを合わせていて、驚きました。そんな不審者、家に入れたらダメですよ。それにしても、面白かったなぁ。
この映画、とっても面白くて、セリフが無いんです。周りの音と音楽のみで構成されていて、彼らにセリフは一切ありませんでした。ただ、その表情と息遣いと、身振り手振りだけなんです。それが、とっても何か温かい雰囲気がして、良い映画でした。
この運転手さんは、一人暮らしで、家族が無いんです。そして、連れている子供も、孤児で、茶屋の店先の犬小屋みたいなところに住まわせて貰っているような、そんな子供で、楽しそうに暮らしているけど、結構、大変な暮らしなんだと思うんです。そんな二人が、ブラの持ち主を探しに、町を周っていて、何で?と思うと思いますが、仕事も無くなり、何か生きる目的が欲しかったのと、家族が欲しかったのかなぁと思いました。
全くセリフが無いので、とても新鮮で、その上、とても温かい内容のお話だったので、とても好感が持てました。良い作品だと思いましたよ。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。これ、単館でも良いので、公開して欲しいなぁ。こういう取り組みをしている映画って、日本で沢山の人に観て欲しいです。機会があったら、ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんでくださいね。
東京国際映画祭2018 「ブラ物語」
https://2018.tiff-jp.net/ja/lineup/film/31CMP04